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九州大学のアントレプレナーシップ教育(QREC、その4)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

20/02/25

・前回は、学生の自主的な実践活動を支援する「S.I.P.(Student Initiative Program)」について解説した。今回は、QRECが文部科学省の事業を受託して実施しているEDGE-NEXT(エッジ・ネクスト)プログラムについて解説したい。
・このプログラムは、2014年から2016年まで実施されたEDGEプログラム(グローバルアントレプレナー育成促進事業)の後継として、2017年から5年間に渡って取り組むもので、全国で東北大学、東京大学、名古屋大学、九州大学、早稲田大学の5校(コンソーシアム)が採択されており、九州大学のコンソーシアムは、奈良先端科学技術大学院大学、大阪府立大学、立命館大学をメンバーとして様々なアントレプレナーシップ教育プログラムを展開している。
・九州大学は、IDEA(Innovation x Diversity x Entrepreneurship Education Alliance)コンソーシアムと称しており、地域間連携によるICP(Interstate Collaboration Program)、地域内連携によるRCP(Regional Collaboration Program)、各大学で独自に取り組むプログラム、の3層構造で構成されている。
・地域間連携のICPでは、九州と関西地域、更には世界をつなぎ、参画校の学生が相互に混じり合いながら実践的な学びを深めるコンセプトで、3つのプログラムを実施している。1つ目は「Multicultural Venture Life Challenge」で、日本・アジア・欧米の多国籍な学生チームが、異なる企業の課題解決に取り組むインターンシップ型のプログラムである。2つ目は「IDEA Asia Pacific Summer Camp」で、関係大学や機関(企業)が大分の立命館アジア太平洋大学に集まり、多文化環境で企業と連携しながら、課題発見と提案を合宿形式で行うものである。最後の「大学対抗マネジメントゲーム活用プログラム」は、フランスのビジネススクールが開発したオンラインの経営シミュレーションゲームを用いて、各大学から遠隔で参加しながら、イノベーション駆動形製造業におけるマネジメントと意思決定スキルを体験的に学ぶプログラムである。
・地域内連携のRCPも3つのプログラムから構成される。1つ目は「Entrepreneurship Bootcamp」で、米国ボストンでハーバード大学やMITなどの現地大学、現地企業やVCの協力を得て、ボストンの起業家が辿る起業のプロセスを10日間で体系的に実体験するプログラムである。2つ目は、「起業部活動プログラム」で、九大起業部員を中心に、起業家やVCからメンタリングを受け、学生起業を目指すプロジェクトである。これがきっかけで、コンソーシアム参画大学の立命館アジア太平洋大学や奈良先端科学技術大学にも起業部が設置されている。最後には「Woman-trepreneurship」という女性起業家の輩出促進にフォーカスしたプログラムで、女性ならではのユニークなアイデアで起業を促進する。
・このEDGE-NEXTの取組は、QRECがこれまで培ってきたアントレプレナーシップ教育のノウハウやコンテンツを、福岡地域内のみならず、全国にも積極的に普及させることを試みるものである。高いアントレプレナーシップをもった人材が世の中に多く輩出されることで、社会全体としてイノベーティブな視点や方法によって課題解決が促進されることになるのである。
・また学生は、アントレプレナーシップを学ぶことを通じて、自身のキャリア選択にも大きな影響をもたらす。従来から、九州大学の場合は、卒業後は関東や関西の有名大企業に就職しようという学生が多かったが、QRECの科目を多く履修した学生の中には、より主体的に自分自身のキャリア選択を行い、たとえ一度は大企業に就職したとしても、そこで数年間経験を積んだ後に、独立起業の道を選ぶ学生も出現してきている。あるいは研究者の道を選ぶ場合でも、より自分自身で取り組みたい研究テーマは何なのかを考え抜き、惰性に流されずに、自らの意志でしっかりと研究分野や研究室を選択するという行動に出る学生もいる。
・21世紀に入って、特にBI(Before Internet)からAI(After Internet)時代に移行したことで、様々なパラダイムが大きく転換し、予想もできない変化が頻繁に生じている。そのような環境下では、自分自身の主体性とともに、変化を読み取り、変化を受け入れながら重要な機会を見出して、そこから価値を生もうとするアントレプレナーシップは極めて重要な素養だ。
・QRECは、今年10周年を迎えるが、アントレプレナーシップ教育の重要性は益々高まりそうである。

【今回のまとめ】
・EDGE-NEXTの取組は、QRECのアントレプレナーシップ教育のノウハウやコンテンツを、全国に広く普及させるものだ。高いアントレプレナーシップをもった人材の輩出は、社会全体より良いものへと変えていく力を持ちうる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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