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九州大学のアントレプレナーシップ教育(QREC、その3)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

20/02/24

・前回まで、30科目以上にも及ぶ九州大学のアントレプレナーシップ教育のカリキュラム体系と科目群について解説してきた。今回は、QRECの教育もう一つの柱である「S.I.P.(Student Initiative Program)」について解説したい。
・通常の科目が単位取得を可能としているが、S.I.P.は、学生に実践の場を提供するプログラムである。具体的には、下記のプログラムを有している。

  1. アイデアバトル:学生個人やチームが独創的なアイデアを考案して60秒のピッチを行い、上限10万円の予算を使って、そのアイデアの妥当性を数カ月間かけて検証する(最初のアイデアではダメだとわかったらピボット=方向転換することも奨励)。

  2. C&C(チャレンジ&クリエイション):学生チームが提案内容をプレゼンし、50万円の予算を使用して、1年間をかけてプロトタイプの作成や顧客実証などを進める。

  3. QSHOP(九大祭起業体験プログラム):九大祭への出店をひとつの起業機会とみなし、会社設立から事業内容(出店で何をどのように売るか?)の検討、それに必要なメンバー(従業員)や必要資金の調達、2日間の店舗運営を行い、終了後は会計関連の報告を全て終えて会社を精算するところまで行う。

  4. J.O.C.(ジャンプアウト・チャレンジ):学外のビジネスプランコンペなどに参加し、他流試合を通じて自身のアイデアや事業計画をブラッシュアップする(その旅費を大学が支援)。

  5. G.C&C(グローバル・チャレンジ&クリエイション):諸外国のビジネスプランコンテストに挑戦し、グローバルレベルの他流試合を通じて、自身のアイデアや事業計画をブラッシュアップする(その旅費を大学が支援)。

  6. アカデミック・チャレンジ(A.C.):大学院生が研究室で取り組みたい独自の研究テーマを提案し、それに対し50万円の研究助成を行う。(研究は、基礎段階であっても、将来何らかのイノベーションに結びつくことが念頭に置かれている)

・例えば2018年までに、最も歴史のあるC&Cでは438人、アイデア・バトルでは217人、QSHOPでは416人、ACでは63人、G.C&Cでは32人が参加してきた。2011年(QREC設立)以来の累計は、1,242人がS.I.P.を利用して様々な実践活動に取り組んできた。
・その中には、例えば、独自の風洞製作に取り組む学生さんの場合、2013年と2014年にC&Cに採択されて最優秀賞を獲得し、2015年にはG.C&Cで台湾のGreen Tech Contestに参加し「最高技術賞」を受賞した。この学生さんは、その後卒業と同時に「日本風洞製作所」を設立し、独自技術を用いて、スキー選手や自転車競技選手の空力改善などに用いられる風洞を設計・製作・販売している。
・また、ジビエ(野生鳥獣の食肉)プロジェクトに取り組む学生さんは、2016年のC&Cで最優秀賞を受賞し、その後、「糸島ジビエ研究所」という会社を設立し、イノシシやシカなどの害獣駆除と美味しいジビエのレストランへの卸売を結びつけた事業を展開している。
・ディープ・ラーニング技術による病理画像診断ソフトの開発を行う学生さんは、2017年にC&Cで助成を受け、その後「メドメイン」という会社を設立し、シリコンバレーのコンペで優勝するなどした後に、現在ではJ-Startup(経済産業省が推進するスタートアップ支援プログラム)に認定されている。
・あるいは、G.C&C助成を受けたチームは、発展途上国の課題解決を目的とする世界的にも著名なHult Prizeの日本大会で最優秀賞を受賞している。
・以上のように、学生チームの主体的な実践活動を促すことで、教育効果を高める仕組みとなっているのが、QRECの教育プログラムの大きな特徴である。

【今回のまとめ】
・アントレプレナーシップ教育では、科目提供に加えて、学生(チーム)の主体的な実践活動を促すことが、教育効果を高めることにつながる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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