QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

新たなマーケティング対象としての宅急便

岩下仁 マーケティング

20/02/27

今日は丸和運輸という運輸企業についてお話をします。丸和運輸について説明する前に、宅配クライシスという言葉をご存じですか? ネット通販がこれだけ普及すると宅配便の数がどんどん増えていっている。結果としてドライバーが足りないために、人手不足が深刻になったり、長時間労働が話題になったりします。しかし、宅配クライシスと言われているこの状況を逆手に取り、急成長している企業もあるのです。それが今回ご紹介する桃太郎便を手掛ける丸和運輸です。

運輸会社である丸和運輸、どうして飛躍しているのでしょうか。きっかけは2017年に始まったAmazonジャパンとの取引です。Amazonによるネット通販の拡大で宅配便の総数は大きく増加しました。結果としてドライバーの人手不足が深刻になったわけです。ヤマト運輸は長時間労働に繋がるとして、最大の取引先だったAmazonの荷物の量を減らし、Amazonが特に力を入れる当日配達から完全に撤退したわけです。一方で丸和運輸の和佐見社長は、当日配達には消費者の根強い需要があるはずとして、首都圏でAmazonの当日配達を行うパートナーとなったのです。大手のヤマト運輸が手放した荷物を取り込みまして、丸和運輸の2019年3月期の売上高は前期比14%増の847億円、経常利益に至っては22%増の58億円となっています。和佐見社長は、Amazonの成長とともに成長出来れば良いと話しています。

一方で、当日配達を実現するとしてもドライバーがいないと成立しません。では丸和運輸はどのようにドライバーを取り込んだのでしょうか。それは、2017年秋から始めたドライバーの個人事業主化にあります。個人事業主化というのはつまり、ドライバーを社員として雇うのではなくて、個人のドライバーさんをフリーランスの個人事業主として丸和運輸と契約をするわけです。ドライバーは首都圏中心に約500名を超えるまでになっています。これは1年前の約3倍にあたります。

2018年の冬には当日配達のエリア拡大を見越して、群馬県や宮城県で新たに配送センターを立ち上げています。それでは何故、人手不足にもかかわらず500名程度の個人事業主のドライバーを集められたのでしょうか? それは、ドライバーの方々にとっての魅力的な働き方改革を行っているからで、次の三つが挙げられます。

取組の一つ目は、ドライバーの方々には集荷業務をさせないということです。センターに運ばれた荷物は専門のスタッフが各車に積んでくれます。なので、お客さまのお宅への配達に専念できますので配達スケジュールが組みやすくなって、時間の効率化が実現されました。

取組の二つ目は、企業が車両をリース契約してドライバーに貸すことで、ドライバーが払うリース料を抑えたのです。車両を会社がリース契約することで、個人事業主の負担分を減らしまして、彼らの取り分をより大きくしてあげたわけです。人手を確保したい企業としては、ドライバーが不足するより多少負担が増えても人手を確保できるということが大切です。

取組の三つ目は、一定以上の収入を保障してあげたことです。最低の年収を保障しつつ、取扱量に応じてインセンティブを上乗せするようにしました。そうすることによって最低限の賃金を保障しつつ、頑張ればさらに給与がもらえるようなやる気の出るシステムを実現しています。今では年収1000万円を超えるドライバーさんもいるようです。

さらに、丸和運輸が近年特に力を入れている施策もあります。北海道や山形などの地方の食品スーパー向けの物流サービスとして、産地の視察会を開きまして地元の生産者を紹介し、スーパーに産地直送の取引を提案しています。生産者とスーパーで直接契約してもらうので、手数料や紹介料は無料です。では丸和運輸はどこで売上を立てているのかというと、配送を受託するのです。スーパーは卸市場から仕入れるより、生産者から直接仕入れた方が約2割のコストを減らせるのです。始めて5年ほどで既に約15社がこの取組を導入しています。

更に今後丸和運輸では、ドライバーがスーパーの棚の陳列や在庫の棚卸までをするようにしたいそうです。これは宅配と同じように人手不足が深刻なスーパーの従業員の作業を15~20%削減できるそうです。正に人手不足というネガティブ要因を逆手に取った戦略と言えるでしょう。

今日のまとめです。今回は宅配クライシスに商機を見出して、ビジネスを拡大する丸和運輸を見てきました。世の中のネガティブインパクトでも、丸和運輸のようなユニークな仕組みを取り入れることで、実はビジネスを急拡大させることが出来るのです。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ