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心の理論

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

20/02/12

今日は、「心の理論」についてお話します。

「心の理論」とは、自分や他者の行動の意図や目的を推測出来ることを指します。
私も含め、心理学を専門にしている人達は「心理学を専門にしています」というと「人の心を読むことが出来るんですか?」と聞かれることがありますが、その「相手が言っている人の心を読む」時に、相手が何を考えているかを当てることが「心の理論」と捉えてもらうといいかと思います。例えば、相手がアイスを食べたいと思っているとして、私が「今アイスを食べたいと思っているでしょ?」と当てることを期待しているということです。

「心理学」という学問になると、今何を考えているということだけではなく、何故それを考えているのか、どうしてそういう行動をするのかといった人の行動の意図や目的を推測していきます。今日お話する「心の理論」については、心理学の世界では「人が他者の心を理解するのはいつからか」という研究が多く行われています。「心の理論」を確認する課題があるので、ご紹介します。良かったらみなさんも課題に挑戦してみて下さい。

まずご紹介するのは「サリーとアン課題」です。

『お部屋に女の子が2人います。1人はサリーでもう1人がアンです。サリーはボールを持っています。サリーはそのボールを自分のカゴの中に入れてお部屋から出ていきました。サリーがお部屋から出ていった後、もう一人の女の子のアンはサリーがカゴに入れたボールを取り出して自分のカゴに入れ替えました。やがてサリーはお部屋に戻ってきました。さて、ボールで遊ぼうと思っているサリーはどこを探すでしょうか?』

正解は、「自分が入れたカゴを見る」です。
解説は後にして、次の課題に行きたいと思います。

もう1つは「スマーティ課題」です。
みなさんはスマーティという物をご存知ですか?マーブルチョコのような見た目をしている欧米で売られているお菓子ですが、それを基にした課題になります。

そのお菓子の箱をまず相手に見せて、『この中に何が入っていますか』と聞きます。
何が入っていると思いますか。当然スマーティというお菓子の箱なので、スマーティというお菓子が入っていると思いますよね。この箱の中を見せて『実は鉛筆が入っている』と相手に伝えます。鉛筆を戻して、その次に相手に『この部屋に居ないAさんにこの箱を見せたら何が入っていると言うと思いますか?』と質問します。

正解は、「Aさんは中身を知らないのでスマーティというお菓子が入っていると言う」です。


整理すると、「サリーとアン課題」での答えは『サリーのカゴ』、「スマーティ課題」での答えは『お菓子』になります。先ほど仰って頂いたように、「サリーとアン課題」では、サリーはお部屋に出ている間アンがボールを入れ替えているということは知ることが出来ないですし、「スマーティ課題」ではお菓子の中に実は鉛筆が入っているというのはその場にいる人しか知らないはずです。それが「他者の意図を推測する」ということであり、その推測が出来ない場合はその状況を聞いたまま答えることになります。

では、このサリーが知っている範囲のことのからくりについては何歳くらいから分かるようになるでしょうか?
やはり、発達段階によって理解力は変わっていきます。これまでの研究では、およそ3歳~4歳くらいまでの子供はほとんど正しく答えられないとされており、4歳~7歳にかけて正解率がアップすると言われています。そして、ある程度の年齢に達している人の多くは理解出来るとなるのです。

この「心の理論」の中で志向性のレベルという物があります。これは、自分の心の関心から自分の心に関する相手の心を理解するという段階のことです。論理的には、この志向性のレベルは無限に上げることが出来るそうですが、人間に活用可能なのは5次元までとされているそうです。

まず、1次の志向レベルは「私は○○を思う」というレベルです。
この「私は○○を思う」は、例えば、"私は彼が好きだ"という状況です。
この時は、他者への志向性はなく自分の心の関心だけです。

2次の志向レベル以降から他者への志向性が出て来ます。2次の志向レベルは「私は思う、あなたが○○を思っているのだと」ということになります。
例:「彼は私が彼を好きだということを知っている」ということになります。

3次の志向レベルになると、「私は思う、私が○○を思っているとあなたが思っているのだと」になります。例:「私が彼を好きだという事を彼が知っているという事を私が知っていると彼は思っている」ということになります。

4次になると「私は思う、あなたが○○を思っていると私が思っているとあなたが思っているのだと」ということです。複雑になってきたので例は省きますが、5次では「私は思う、私が○○を思っているとあなたが思っていると私が思っているとあなたが思っているのだと」になります。

非常に複雑になってきましたね。つまり、自分が思っている事について相手がどう理解するか、そしてそれをまた自分が理解してそれを相手が理解していくというようににレベルが上がっていきます。それだけ、人は複雑に自分と相手の心を理解することが出来るということです。そして、それを意識せずに成長とともに、経験とともにやっていっているということです。

では、今日のまとめです。
今日は「心の理論」についてお話しました。「心の理論」とは、自分や他者の行動の意図や目的を推測出来ることです。「サリーとアンの課題」では4歳ごろから正解率が上がっていきます。その頃から年齢が上がるにつれて、相手の心を理解していくようになるのです。

分野: |スピーカー: 三上聡美

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