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伝える力がある人

村尾佳子 リーダーシップ開発、倫理、価値観

20/01/30

今日は、「伝える力がある人」について考えます。
「伝える」というのは、人間にとって欠かせない日常の営みです。私たちは絶えずコミュニケーションをとり、お互いに言葉で意味を伝達しあいながら生活しています。しかし、伝える力の有無によってはイメージ通りのものを相手に言葉で伝えられる人もいれば、実は思っていることの半分も相手に伝えることのできない人がいます。その差は一体何なのでしょうか。「伝える」というシーンを考えたとき、1対1のコミュニケーションもあれば、講演会のような1対多数の場面など様々な場面がありますが、今回は1対1のコミュニケーションに絞って考えていきましょう。

伝える力の本質の1つに、「構造化能力」があります。
人間はたとえ頭の中にいくらイメージがあっても的確な言葉を用いることができないと相手に伝えることはできません。頭の中にあるイメージには、既に言葉になっているものもあれば、モヤモヤした気持ちなどまだ言葉になっていない感覚的なものもあり、自分でも整理できていないことがあります。頭の中が散らかった状態ではそれらを人に伝えることはできないため、人に伝える前には、一度散らかった自分の頭の中の構造をしっかりと整えることが大事です。そこで重要となるのが、枠組みです。枠組みを用いることによって散らかったイメージを整理することができます。

ビジネスの世界でよく言われる枠組みとして、「環境分析」で使う3C分析があります。この3つCのとは、自社であるカンパニー(Company)のCと競合会社であるコンペティター(Competitor)のC。そしてお客様、カスタマー(Customer)のCです。この3つの枠組みについて「自分はどう思っているのか」をイメージすることで、頭の中に1つの地図ができ、順番に頭の中を整理することができます。

次に、因果関係をきちんと押さえることが大事です。Aが原因でBという事象が起こったのか、Cが原因でBが起こったのか、関係性を捉え間違うと混乱してしまいます。論理が飛躍していると指摘された場合には、この構造整理がきちんとできていない場合が多いです。纏まっていないのに話始める人はこのパターンが多いです。いきなり自分の考えを伝える前に、自分の頭の中をきちんと整理しましょう。

友達など気心の知れた相手との会話の場合は多少散らかった状態でも大目に見てもらえますが、特にビジネスのシーンなど、相手がクライアントの場合には頭の中が散らかった人とは話したくないと思われてしまいます。しっかりと頭の中を構造化してから話すことを心がけましょう。

構造化ができたら次に大切なのは言語化する力です。適切な言葉を選ばないと、全く異なる意味に誤解されてしまう可能性もあるため、丁寧に言葉を選ぶ感覚をもって言葉を発することが非常に大事です。適切な言葉を選ぶためには、語彙力はとても大事です。自分の持っている語彙数でしか自分のことは表現できません。最近では、何についても「やばい」の一言で表現する人がいますが、その「やばい」という一言で一体何を指してるのかを自分の言葉で表現できるようにしておく必要があります。同じ言葉を用いていても、前提文脈によって受け取りが変わるのも日本語の面白いところですが、しっかりと理解しておきましょう。

また、「事実(fact)」でしっかりと語っていくことも非常に大事です。"何かものすごく減っているんです"では抽象的で相手には内容が伝わりません。しかし、"前年比で20%減少しています"と具体的な数字を用いて伝えることでより相手に伝わりやすくなります。さらに、相手に前提知識がどこまであるかによっても、どこから説明しなければならないのも全く異なるため注意しましょう。そういったことも含めて、言語化や選択が非常に大事です。

そして、伝えた後には相手の反応を読み取る力も必要です。伝えた後の相手の反応を見て、相手にきちんと伝わったのか確認することができます。伝えるという行為は、双方向のやりとりです。言葉に表れていない背景をどれだけ読み取れるかというのもとても大事です。言葉だけではなく、声のトーンや表情なども読み取ることができます。

さらに、伝える目的は何なのかを考えることも大切です。「伝えた」という事実を作りたいだけなのか、最終的に納得してもらうことを目的としているのか、納得した上で自ら動いてもらいたいのかによっても伝え方が変わってきます。ビジネスシーンであれば、"俺は聞いていない"という上司に対して、「言いました」という事実を残したいだけであれば、伝えたという事実を何らかの方法で記録として残しておくことも大事ですし、心からその人の協力が必要だということであれば、空打ちするまで納得してもらうことがゴールになります。その前提によってどこまで何をやるのかが変わってくると思います。

では、今日のまとめです。
「伝える力」とは、論理思考力そのものです。「プレゼン力」などは表現するところだけに意識が行きがちですが、その前段階で「そもそも構造化できない」という課題もあるため、自分の伝える力に課題がある方は、その中のどこが課題なのかから考えるのが大事なのではないでしょうか。

分野: リーダーシップ開発/倫理/価値観 |スピーカー: 村尾佳子

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