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イギリスの歴史(59):メイの時代

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

20/01/08

前回はキャメロン氏がEU離脱の問題で頓挫したという話をしましたが、それを受けて保守党のメイ氏、サッチャーに続いて2人目の女性首相です。この方の在任期間は2016年から2019年です。もうボリス・ジョンソン氏に変わったということは皆さんご存知だと思うので、ほとんどがブレクジットに揺れた3年間でした。

メイさんは本当に見ていて気の毒になります。強硬に主張せざるを得なくて、心の中でどう思っていたか分かりません。ただこの方は基本的にはEUと一緒になる事には懐疑的だったと言われています。ただ投票にあたって自分は残留の方に入れると言っていました。従って境界線上にいたと思いますが、基本がEUと一緒になるのに抵抗感を持っていた人なので、キャメロン氏の後でブレクジットの国民投票の結果、離脱になったコンテキストを受けて、彼女が首相になることが出来たと言えると思います。国民投票にあたって残留に投票すると言ったからといって、首相になったら残留する方向に舵を切るかといえば、そういうことはしなかったわけで、あくまでも離脱はしましょう、ただし協定を結んでやりましょうという形だったわけです。

それで彼女が早々と総選挙をしたことを覚えていると思いますが、2017年の混乱している状態の中で、保守党が圧勝して体制固めをしようとしましたが、これがうまくいきませんでした。イギリスの議会は650議席があり、過半数が326です。保守党は当時330議席があり、かろうじて過半数はありましたが、それをもっと欲張ったのですが、逆に過半数を割って317議席になってしまいました。これで一気に事態が流動化し、労働党は当時30議席増やしましたので、勢いが逆転しました。どちらも単独過半数には届かないので、保守党は小さな政党と閣外協力し、その元で第二次の内閣を作り、かろうじて維持していくという形になったわけです。

そのあとはご存知の通り、2019年に色々な動きがあり、離脱期限の2019年3月末を巡って大荒れになったわけです。3月に入って、色々な動きがあったのを楽しく、あるいは苦々しく見た方がいると思いますが、最初にメイ氏が出した離脱の協定案が否決されたのは2019年1月のことです。この時は202対432という圧倒的大多数で反対でした。これは離脱したいと思っている人達も「こんな中途半端な内容で離脱出来るか」と反対しました。そのあと3月に入って2回目、今度は修正案を出しましたが、それも否決されました。この場合は242対391ということで少し歩み寄ってきましたが、それでも否決されました。それが3月12日です。その後3月18日に下院の議長が3度目の採決はしないことを表明し、メイ氏は非常に困ったわけです。さらに困ったことにその数日後、EUの方からは「3度目の議決をしないそうだけど、しないと駄目ですよ。しないと4月12日で期限にするから。」と言われました。とにかくメイ氏としては急がないといけなくなったわけですが、採決が出来るか微妙な状態になってしまったわけです。3月25日、離脱の数日前に下院で協定案は内閣に任せず議会が主導権をとってやると決めました。この時は329対302というぎりぎりの判断だったわけですが、それならば議会でやればうまくいくかというとそうはいかず、その後3月28日には議員が色々な提案を出してそれが全部否決されるという事態が起きました。メイ氏はこの時に自分が出した案が通らなければ辞任するという最後の手を出したのですが、3月29日メイ氏の協定案は286対344で否決され、結局EU側に泣きつくしかなくなりました。「協定案は出来ません、すみませんけどもう1回延期をしてチャンスを下さい。」という形になったわけです。ただ数字としてはメイ氏の案に対して賛成が最初は204、次が242、次は286と段々持ち直してきています。それがあってうまく協定案の中身を考えさえすればという雰囲気がイギリスの国内に出てきたのは間違いないと思います。

こういう形で結局EUとしては10月末まで再延長を認めたわけですけれども、そこに至るまでイギリス全体をうまくまとめることが出来ずに行き詰まりを見せて、もうやめますという形になってしまったわけで、多分イギリスの歴史の中でも一番苦労をした方だと思います。

今日のまとめ:
悲劇のヒロインと言っていい、メイ氏の苦労した3年間の時代のブレクジットの混乱の後を追ってみました。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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