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ソーシャル・ビジネス①

星野裕志 国際経営、国際物流

19/12/31

今日は私自身、ビジネス・スクールに所属すると共に、九州大学のユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター(SBRC)でも活動をしていますので、ソーシャル・ビジネスのことについて話をしたいと思います。

ソーシャル・ビジネスとは具体的にはどういったビジネスかというと、従来のビジネスが利益の最大化を目的としているとすれば、ソーシャル・ビジネスは社会的課題について、事業を通じて解決するということです。つまり、社会的な意義というソーシャルの面とビジネスとしての成功のふたつの目的を両立させるビジネスモデルと言えます。

以前であれば、企業は利益を重視するあまり、環境や就労環境や安全性といったことをないがしろにするということがありました。その結果が、環境汚染であり、安全性に問題のある商品を販売することなど、社員にとってブラックな企業といった様々な問題が生じて来ました。短期的には、それで利益の確保は可能ですが、それは企業の長期的な利益と持続性という点では、どうでしょうか。それを改善するべく、企業の社会的責任としてCSRという取り組みが定着してきました。さらに、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授は、CSV(Creating Shared Value)という共通価値を創造するということを提唱しました。共通の価値を創造するとは、企業が本業を行いながら、同時に社会的な課題も解決するということです。

また最近では、はやり言葉のように、SDGs(持続可能な開発目標)ということが言われますが、企業はまさに長期的な視野をもって、持続性のあるビジネスを行うことの重要性が指摘されています。長期的なスパンで考えれば、利益を追求するだけでは、企業としても存続できないということになります。

九州大学のユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センターには、おふたりのお名前が冠してあります。そのひとりのムハマド・ユヌス先生は、貧困層に対して、無担保で少額の融資を行い、こうした人たちが起業や就労によって自立を促進するための仕組みであるバングラディシュ発祥のグラミン銀行の創設者であり、ノーベル平和賞の受賞者です。もうおひとりの椎木さんは、九州大学にこの研究センターと新しいキャンパスに講堂をご寄付いただいた方です。

ユヌス先生は、ソーシャル・ビジネスについて、7つの原則を提唱されています。
1. 目的とするのは、利益の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、技
  術、環境といった問題を解決すること。
2. 財務的、経済的な持続可能性を実現すること。
3. 投資家は、投資額を回収しますが、それを上回る配当は還元されないこと。
4. 投資の元本の回収以降に生じた利益は、・ソーシャル・ビジネスの普及とよりよい実施
  のために使われること。
5. 環境へ配慮すること。
6. 雇用者は適切な労働条件で給料を得ること。
7. そして楽しみながら。

ソーシャル・ビジネスとは、これらの7つの要件を満たすとすれば、やはり従来のビジネスとはかなり違っているということになるでしょうか。必ずしもそうとも言えません。例えば、経済的な自立性、環境への配慮や適切な労働条件というのは、さきほどの企業の社会的な責任という意味では当然のことといえます。大きく違っているところがあるとすれば、それは貧困、教育、健康、技術、環境といった問題を解決するためのビジネスであることと、投資額を上回る配当はなく、ソーシャル・ビジネスに再投資されることでしょうか。

確かにビジネス自体の目的が社会的な問題を解決するというところは、大きな特徴かと思いますが、ただそれさえも、最近のSDGsでは、持続的な開発目標として、貧困や飢餓をなくすとか、働きがいと経済成長を目指すとか、海や陸の豊かさを守るといった17の分野が挙げられているので、企業の向かうべき方向と同じと言っても良いかもしれません。

また社会的な課題を解決するということについても、チャリティを目的としているわけではありません。別の見方をすれば、解消されない問題がそこには存在していることですので、解決する市場やニーズに対して企業が適切にアプローチをすることで、十分にビジネスになり得るということなのかもしれません。海外であれば、貧困や飢餓や教育問題かもしれないですし、日本国内であっても、子供の貧困対策や高齢者への対応などもそうかもしれません。

今日のまとめ:
ソーシャル・ビジネスとは社会的課題について、事業を通じて解決するというビジネスの形態のことです。社会的な意義とビジネスとしての成功のふたつの目的を両立させるビジネスモデルは、十分に存在し得ると思います。企業が社会的責任を果たすCSRから始まり、共通価値を創造するCSV、国連の掲げる持続的な開発のSDGsといった考え方は、企業が短期的な利益を追求するだけでなく、長期的かつ持続的に存続するためには、必要な考え方だといえます。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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