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ケンブリッジレポート2019(2):車椅子対応(1)

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

19/12/24

今年もケンブリッジに行きましたのでその時の話をします。

今回は学生の中に車椅子を使う学生がおり、本人に許可を得てその話をしたいと思います。なぜこの話題なのかというと、日本とイギリスで違う面もありますし、それから普段車椅子を使っていない人と使っている人で、やはり感じている事や身の回りの色々な便利・不便利が違いますので、いわゆる異文化なのです。

去年はこの研修に関して、パスポートの話をしました。今年も安全対策を色々と考えている中で、学生が車椅子を持っていくという話になった時、現地の受け入れ体制がどうか、実際に向こうで車椅子を押した時に、あるいは自分で動かした時に、安全について急に心配になり、色々な事を調べたりしました。先ずは現地の受け入れ体制、受け入れ側のケンブリッジ大学に車椅子の貸し出しをしてもらえるかと思いましたが、貸し出しはできないということでしたので、日本から持っていくことになりました。

車椅子を一ヶ月程借りると、今回の場合で7、8千円くらいだったようです。思ったほど高くはありませんでした。私はもの凄く高いので現地で借りないといけないのかな?と思っていましたが、それは大丈夫でした。この学生の場合は、短時間は歩行ができるので、車椅子がどこかにはまり込んで動かないという時はちょっと立って、その間に周りの人がケアするという事が出来る状態でした。これが全く歩けない方の場合だとまたやり方が違ってきますので、同じ車椅子でも、どの程度本人が動けるかによって支援する側の体制も変わってくると思います。それを踏まえた上で、この話を聞いていただければと思います。

福岡から羽田空港までの往復は、空港の中の航空会社から一時的に貸してもらえる車椅子もあるので、車椅子のレンタルとしては羽田空港の出し入れが便利だという事がわかりました。そうすると国内線の荷物で預けたりする手間も省けるという事にもなりますが、車椅子は国際線に預けると料金は無料です。これは支援という事になるのでしょう。手荷物の大きさ的にサイズに合わないと思いますが、無料なので、ありがたいことです。そして問題は実際に飛行機に乗って往復している間に色々あるという事です。例えば空港まで行った後、チェックインカウンターに行く、そして空港の中で手続きをして、手荷物検査などを経て搭乗口へ向かう間の移動、搭乗口から座席の中に入る時にどうしたらいいか、という事があるので、かなり綿密に事前に空港会社とプランを練って臨むべきものだということが今回よく分かりました。今回は場あたり的で色々と右往左往したりする面もあり、大変勉強になりましたが、ご本人が一番大変だったと思います。

それから借りていく車椅子ですが、人力のものと電動のものがあります。電動のものは非常に重いです。アシスト式の電動自転車でバッテリーが切れてしまった時にすごく大変なのと同じです。ですので、現地でどのくらい動くのかというリサーチをしておかないといけないという事を今回感じました。今回は人力だったので良かったのですが、バッテリーのものも通常で十数キロくらい利用可能、リチウムイオンのタイプだと20キロ台くらい利用可能だそうですが、それも使用条件によるので、町の中をグルグル回るとか、ちょっとしたハイキングをするとかというような事に付き合うとすると、電動だとかえって不便な場合があるかもしれない、と今回考えた次第です。

ケンブリッジ大学では寮生活なので、一階の部屋をあてがっていただけました。それで万事OKかというと、ケンブリッジ大学は何百年も経っていて、いわゆるバリアフリーという考え方がない時代の建物なので、一階だけれども、行ってみるとその入口のドアの所まで地面から3段か4段ステップがある、そういうことが多いです。それを現地から指摘されて、事前に考える時間もあったのでなんとかなりましたが、一人で3段でも4段でも車椅子を持ち上げるのが大変でしたので、事前のリサーチが必要だと思いました。そして古い建物なので、エレベーターもありません。したがって階段を使わないで済むよう、教室も一階にお願いしましたが、今回はそのためにキャンパス内ではなく、キャンパスの外に教室をもつということまでケンブリッジ大学は配慮してくれました。イギリスは、このバリアフリー、インクルージョン支援といったものが非常に発達しているので、そういうことはいともたやすく協力していただけます。非常にありがたいことだと思いました。

ただ町の中は大変でした。町の中はいわゆる石畳みたいなところが多くてデコボコです。私やその他介助に回る可能性のある学生の事前の講習会があるといいのかなと感じた次第ですが、そのかわり通行人は親切でよく手伝ってくれました。ということで、まだ沢山あるので、それは次回にいたします。


今日のまとめ:
車椅子で学生が短期海外留学に出る時に気を付けなければいけないことの最初のさわりをお話させていただきました。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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