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モチベーションの構造⑥ 期待理論

松永正樹 コミュニケーション学、リーダーシップ開発、アントレプレナーシップ

19/12/18

モチベーションの構造というテーマでお話しています。この番組では、これまで二要因理論や職務特性モデルなど、どんな要素やファクターがモチベーションに作用するのかについてご説明してきました。こうした「要素」に注目する理論は、「モチベーションの内容理論」と呼ばれます。それに対して、今回は、モチベーションがどのような心理的プロセスを経て高まったり、あるいは弱まったりするのかを説明する「モチベーションのプロセス理論」を一つご紹介します。

ヒトが動機づけられるプロセスに着目した理論の代表的なもので、「期待理論」というものがあります。ヒトはあらゆる物事に対して一定の期待を持つものであり、それが大きければモチベーションを感じて行動を起こし、逆に期待が小さいと、行動を起こしてもどうせ無駄だ、と思ってしまうため、やる気も起こらないとする理論です。この理論によると、期待は「努力すれば結果を出せるか」、「結果を出せば報酬が得られるか」、「報酬をどれぐらい望ましいと感じるか」の3つの要素の掛け合わせで決まるとされています。

まず目の前のタスクについて、自分の努力次第で結果を出せるか否か。例えば、営業の仕事で頑張れば頑張るほど成績がついてくる、と信じられる環境下にある、例えば商品は確かに魅力的で、伝え方次第で、お客さんの反応も良いし、結果もついてきている、となればヒトは努力することができます。逆に、結果が最初から決まっているとか、何をやっても結局は運次第である、となると努力することが馬鹿馬鹿しくなり、モチベーションが湧かなくなってしまいます。

次に、結果を出せたとして、それが報酬に繋がるのかどうか。いくら結果を出してもそれが評価や報酬に反映されないとなれば、わざわざ頑張ってまで結果を出そうとは思わないでしょう。例えばバックオフィス系の仕事で、所定の業務をこなしてさえいれば一律で同じ評価を受ける、となると、進んで工夫をしたり、効率を高めるよう努力したりすることはなかなか難しいものです。逆に、頑張っていればきちんと見てくれる人がいると感じられれば、それがモチベーションに繋がっていきます。

最後に、報酬として得られるものが自分にとって魅力的と感じられるか、ということもあります。例えば上昇志向が強い人にとっては昇進して、より上位のポジションにつけることが嬉しい報酬であるかもしれませんが、すべての人が必ずしも出世したいと思っているわけではありません。ですので、報酬の種類がその人が望むものにマッチしているかということが最後のファクターになります。

期待理論では以上の3つの要素が「足し算」ではなくて「掛け合わせ」で、仕事における期待度に作用するとされています。つまり、「努力すれば結果を出せるか」、「結果を出せば報酬が得られるか」、「報酬を望ましく感じるか」という3つのトリガー、いずれか一つでも「No」であれば、掛け合わせなので全体もゼロになって期待がしぼみ、モチベーションが湧かなくなる、と言われています。

この理論をメンバーのモチベーションを喚起したいリーダーやマネージャーの立場から捉えるとどうなるでしょうか。

まず、個々のメンバー1人1人のことをよく知る必要があります。彼女ないし彼が何を望ましいと思っているのか、どんな報酬がその人にとって嬉しいものであるのかを見極めることが必須となります。例えば管理職に興味が無くて、むしろ個人のスキルを伸ばし、専門領域のプロフェッショナルとしてキャリアを追求したいと強く思っている人に対して、「頑張れば沢山の部下を従えるマネージャーに抜擢するよ」と声を掛けてもなかなか効果がないでしょう。

次に、成果を出せばきちんと評価されて報酬にも繋がると、従業員に信じてもらえるように努めなければいけません。これは「評価の公平性」と呼ばれるもので、誰が評価するのか、どのような基準で評価がなされるのか、基準そのものと、その運用に納得感があるかということが影響してきます。たとえ自分が望ましいという報酬が示されていても、結局それが上司のお気に入りの部下や学閥の後輩に与えられるという事が既定路線になっていれば、やはり頑張ろうとは思えません。そうならないように、リーダーは評価が公平・公正になされていると部下に信じてもらえるよう努力する必要があります。

最後に、メンバーの努力がきちんと結果につながるように支援することです。ただし、必ず結果がでるようにと、一から十までお膳立てをしたりすると、前回お話したメンバーの「自律性」を損なってしまい、かえってモチベーションが低下します。答えを直接示さず、メンバーが自ら方向性を見いだせるよう、想定される問題点については、これについてはどう対処するのか?こうなったらどうするつもりなのか?といった問いかけをして、導くようなコーチングや、仕事を進める上で有用な人脈やリソースを提供しつつ、それをどう活用するかは本人の裁量に任せるメンタリングといった、間接的なアプローチによる支援が必要となります。

以上の話を別の観点からまとめると、モチベーションというのは最終的にはやはり、リーダーシップの問題に行き着くと捉えることが出来ます。期待理論によれば究極のところ、ヒトがモチベーション高く仕事が出来るかというのは、仕事を通じて得られる体験に対して期待が持てるかどうか、これに掛かっているとされます。そしてその期待を担保するのはやはりリーダーのコミュニケーションであり、公平性であり、細やかなコーチングやメンタリング次第であるということになるわけです。

今日のまとめ:
モチベーションは仕事に対してヒトがどれだけの期待を持てるかに左右され、そしてその期待は努力すれば結果を出せるか、結果を出せば報酬が得られるか、報酬をどのくらい望ましいと感じるか、という3つの要素の掛け合わせで決まるとされています。これらのプロセスはリーダーシップに強く左右されるものであり、言い換えるとモチベーションはリーダーシップの問題でもあると言えます。


分野: 企業家リーダーシップ 対人・異文化コミュニケーション論 組織行動 |スピーカー: 松永正樹

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