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戦略的提携(1):戦略的提携とは

目代武史 企業戦略、生産管理

19/12/12

今日は戦略的提携について話します。「戦略的提携」というのは古今東西の企業戦略において、とても重要な戦略的手段です。自社の事業を強化したり新たな分野を展開したりする際に、戦略的提携が度々用いられることがあります。他社と協力し合うことの重要性は皆さん理解されていると思いますが、その一方で最近のフランス・ルノーと日産の関係悪化に見られるように、戦略的提携のマネジメントはなかなか大変です。そこで今回は戦略的提携とは何か、どのようなタイプがあるのか、ということを話します。

まず企業は経済活動をする上で他の企業と関わる方法がいくつかあります。1つは市場というものを通じた関わり方です。必要な品物やサービスをその都度市場を通じて取引をするという方法です。これは基本的には1回限りの関係ですので、最も自由度の高い取引形態と言えると思います。これは市場がうまく機能していることが条件になります。ただ、繰り返し同じような取引をする場合には、その都度相手を探してきて取引条件を交渉したりするので、かなり非効率になってきます。そこでもう1つの方法として、必要な製品や技術・資産を持つ企業を買収してしまうという方法があります。いわゆるM&A、企業合併というものです。今まで市場で取引していたことが企業内部でのやりとりに変わってきますので、ある種思うままにコントロールがきくというメリットがあります。一方でこれまで違う会社であったものが1つになるということですから、結婚のように縛りの強い関係になるわけです。そういった意味ではやり直しの自由度は低くなると言えます。市場取引のようにその都度相手を探し出すのはなかなか効率が悪い、一方で企業合併のような後戻りのききにくい強い結合の関係も柔軟性が低いということで、その中間の形として戦略的提携があります。市場取引と企業合併の弱点を避けつつ、両者の利点を享受するための方法として、戦略的提携が選ばれることがあります。

では、ふたつの良いとこどりを目指す戦略的提携がどういったものか、ということですが、基本的には2つ以上の独立した組織が製品やサービスの開発、製造、販売などに関して協力関係を構築することを言います。これには大きく分けて3つのタイプがあり、1つ目は業務提携です。これはお互いに株式を持ち合ったりせずに契約を通じて企業間の協力関係を構築しようというタイプです。例えばアマゾンが商品の発送でヤマト運輸や佐川急便と協力関係にあるというのは業務提携の1つです。我々QBSもアジアトップクラスのビジネススクール16校と提携関係にあります。お互いに学生を派遣したり、海外スタディツアーを受け入れたりしています。QBSとしても上海分校やバンコク分校のようなスクールを自前で持てたらとても素晴らしいのですが、なかなかそういったことは難しいです。そこで現地のパートナー校と教育上の業務提携を結ぶことで、QBSで学ぶ学生達にアジアにおけるビジネスを学ぶ機会を広げる事が出来るわけです。

2つ目の形は資本提携と言われています。これは契約による協力関係を補強するために、一方、あるいは双方が提携パートナーに出資をする形をとります。出資を伴うだけに企業間の関係はより強いものになるということになります。自動車業界で有名な事例としては1999年に始まったフランス・ルノーと日産の資本提携があります。当時ルノーが6,430億円を出資して日産の株式36.8%を取得しました。一方で日産側もルノーの株式を15%程度所有している、という意味では株式持ち合いの関係にあります。こうした資本提携の下に部品などの共同購買組織を立ち上げたり、共同での工場建設をしたり、車種の共同開発を行ったりといった広範な協力関係を構築しています。

そして3つ目の戦略的提携の形がジョイントベンチャー、あるいは合弁会社と言われるものです。これは提携パートナーが共同で投資をし、独立組織を設立して、そこから得られる利益をパートナーと共有しようというものです。例えばルノーと日産の戦略的提携は資本提携ですが、この提携の下で2001年に共同出資会社を設立しています。Renault-Nissan Purchasing Organization (通称RNPO)というものですが、実は部品等を共同購買する会社を共同で立ち上げています。こういったジョイントベンチャーというのはある種の運命共同体的な乗り物を共同で作って運営をするために、業務提携よりもパートナーとの関わりがより強くなるわけです。一方でM&Aのように相手そのものを吸収合併してしまう場合というのは後戻りがききにくいのですが、ジョイントベンチャーの場合はそれよりも縛りが緩くなるという特徴があります。

戦略的提携というのは非常に広範に採用されていますが、常に思惑通りにうまく機能するというわけでもありません。その失敗の背景には戦略的提携で得られるメリットの読み間違いや、提携相手の選択ミス、提携関係のマネジメントの失敗など色々な要因があります。次回以降はこうした要因を順を追って解説していきます。

今日のまとめ:
企業の事業を強化したり幅を広げたりする方法に戦略的提携があります。戦略的提携とは2つ以上の独立した組織が製品やサービスの開発、製造、販売などに関して協力関係を構築することです。戦略的提携は市場取引よりは強く、継続的な関係をパートナー企業と構築する一方で、M&Aなどによる企業合併よりは緩やかな企業間関係を持つことが利点と言えます。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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