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トランプの弾劾可能性と対中貿易戦争

村藤功 企業財務 M&A

19/11/21

今日は、トランプ大統領の弾劾可能性の話と米中貿易戦争の話をしたいと思います。ウクライナ疑惑って知っていますか? ウクライナ疑惑には、バイデン疑惑とトランプ疑惑という2つがあります。バイデン疑惑ですが、バイデンの息子のハンターさんがウクライナでガス会社の役員をしていました。しかし、ウクライナの検事総長がどうも息子が関わっている会社を調べるというので、バイデンさんが検事総長をクビにしようとしたという疑惑です。これがバイデン疑惑と言われているのですが、民主党で次の大統領選で一番強そうな政治家であるバイデンの悪いスキャンダルを発見したので、トランプ大統領がラッキーと考えました。そこで、トランプが何をしたかというと、大統領の立場を利用して、バイデンをちゃんと調べてくれないと2億5千万ドルの軍事支援をしてあげないよだとか、ウクナイナとアメリカの首脳会談をしてあげないよと言ったのです。大統領選挙の政敵を追い落とす為に、アメリカの2億5千万ドルだとか大統領としての首脳会談を使ったという疑惑がトランプ疑惑です。そういう意味では民主党も苦しいのですよ。これを追求するとバイデンも駄目になってしまうのです。今、バイデンが落っこちてきてウォーレンという女性の人気が上がってきています。最近はひょっとしたら、クリントンさんがまた出るみたいな話も出てきています。

下院で弾劾の調査が始まったのですが、もしその疑惑が本当ならば、これは大変な事ですよね。弾劾調査した後に、下院には弾劾訴追権限があります。下院が弾劾訴追すると、今度は上院が弾劾裁判をします。上院には、3分の2の多数で大統領を罷免する権限があるのです。ただし、これまで1回もしたことがありません。下院の弾劾訴追は今回したら3回目。下院は民主党がマジョリティなので、弾劾訴追される可能性が結構あるのです。でも、弾劾訴追の結果上院が3分の2で弾劾罷免するかというと、アメリカの歴史で起こったことが無いですし、本当にそんな恥ずかしいことをするのか疑問です。

共和党は90%以上、トランプを支持しているとされています。でも、本当にそうなのでしょうか? 内心はそうでもない人が結構多い、という疑いがあります。最近共和党でなくてトランプ党になっている、トランプさん支持と言っていないと自分が選挙で落ちるというのが最大の恐怖になっているという説があります。下院の調査でトランプさんの悪いことが色々出てきて、国民がトランプを弾劾したいと思っていると共和党の大多数が思えば、共和党の人達がトランプを弾劾するのに賛成するかもしれません。弾劾に賛成しないと自分の選挙が危ないと思ったら、共和党の人達も弾劾するかもしれないのです。その調査を公開でやると言っているので、これからトランプ弾劾劇場が始まります。そこで国民が一体どのぐらいトランプを悪者だと思うかによって、弾劾の可能性も0では無くなります。ほとんど無いと言われていたものが、本当は共和党の人達の内心は違うかもしれないのです。例えば、この前トランプ大統領の独断でアメリカ軍がシリアから撤退したので、トルコ軍がクルド人を主体とするSDFを攻撃しました。しかし、一緒にテロ(IS)に対して戦ってくれたクルド人を裏切る事になるので、共和党は反対でした。その結果、クルド人はトルコ人に攻められたのです。クルド人は、アメリカに裏切られたのでアサド政権とロシアに何とかしてくれと頼って、それでトルコとロシアが合意してとりあえず停戦になったわけです。アメリカが裏切り者になり、ロシアの影響力が強化された事に、とんでもない話だと共和党の人達は怒っているのです。

それから、トランプ大統領の減税に対して共和党は大賛成なのですけど、一方で、2兆ドルのインフラ投資案というのもあります。これに対して、民主党は大きな政府側なので賛成ですが、共和党は大反対ですよ。双子の赤字といって、財政赤字と貿易赤字の両方とも1兆ドルぐらいあり、財務が大変な危機に陥っています。自分が選挙に受かるならばトランプは辞めさせたいと思っている共和党の議員達が、けっこうたくさんいそうだという話が出ています。テレビや新聞を通してトランプ大統領が何をやったのかがばれて、国民がどの程度怒るのかというのが弾劾話です。

さらに、米中貿易戦争も今交渉中です。すでに第1弾、第2弾、第3弾、第4弾の前半まで実行しました。第4弾の前半というのは、9月1日から1100億ドルに15%の関税をかけたという事です。今中国がアメリカから農作物を輸入する額で揉めていて、中国は貿易戦争前の200億ドルぐらいをとりあえず目指そうとしています。一方で、アメリカは2年で500億ドルを輸入してくれと要求しています。たくさん輸入するからよろしくといった何となくの合意はあります。9月にすでに導入した15%の関税は撤回して、12月15日から予定している15%の関税はやめる、あとの1弾から3弾までも段々と段階的に撤回していくということを合意した、と中国は発表しました。しかし、トランプ大統領がそんなことは約束していないと言って水を差しました。今交渉中で、年末までには何とか片を付けるみたいなことを言っているので、年末までに一体どのように合意するのか分からなくなってきています。

今日のまとめです。弾劾は今まで全然無理と思っていた人も結構多かったのですが、全然無理でもないかもという人が出てきました。弾劾捜査をテレビで見れるので、アメリカ国民と共和党の動向をウォッチしないといけません。米中貿易戦争では、中国とアメリカは2大マーケットであり2大大国ですから、どのように合意するのかされないのかも年末にかけてウォッチしないといけません。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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