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新たな学童施設の出現

岩下仁 マーケティング

19/11/04

ここのところ、富裕層へ向けた新しいビジネスを紹介しています。今日ご紹介するのは民間の学童保育です。ところで富裕層というのは、野村総合研究所の定義によると、ローンを除いた自由に使えるお金である金融純資産が1億円以上ある人々のことです。1億円越えの資産家というとなかなか身近にはいないと思いますが、例えば夫婦共働きでそれぞれが年収500万円以上稼いでいる世帯は実はそれなりに存在しています。その背景には、女性の社会進出や正社員の増加があります。今回は、共働きで世帯年収1,000万円以上のキャッシュリッチ世帯をターゲットにした、新しいタイプの民間の学童保育を紹介します。

キャッシュリッチ世帯は毎月かなりの給与が得られるため、ローンや生活費を引いた後でも毎年自由に使えるお金が十分にあります。さて、夫婦で合わせて年間1,000万以上となるとやはりどちらともフルタイム勤務という夫婦が多いでしょうから、小学生の子供がいる場合、学校が終わった後に誰が子供の面倒をみるかという問題は深刻です。一般的には学童保育に預けるという選択肢になるわけですが、近頃ではこういったキャッシュリッチな共働き世帯をターゲットにしたユニークな民間の学童施設が増えてきました。

公立の学童保育では、授業が終わった後に同じ敷地内にある建物で勉強をしたり本を読んだりして過ごします。天気のいい日には運動場で遊んだりしてとても楽しく過ごしているのですが、今回ご紹介するのはこのような公立の学童保育とはちょっと違うものになります。僕も子供の頃は、よく公立の学童保育でトランプですとかおままごとですとか、トランポリンとか跳び箱とかそういったことをやってよく遊んだ記憶があります。そこは、ボールもあって、室内ですがドッジボール等をすることが出来たという施設でした。

最近話題になっているユニークな民間の学童施設の中に、例えば、株式会社リソー教育が運営する「伸芽'Sクラブ」があります。そこでは、オプションでピアノ、バイオリン、英語、絵画、囲碁、ダンスなどを習うことが出来、さらに中学受験に向けて基礎学力を作る授業「Gタイム」といったサービスもあるそうです。単に子供を預かって遊ばせるだけでなく、個性や才能を伸ばすようなプログラムが色々と提供されています。習い事はさせたいけれどもどうしても仕事をしているとその送り迎えがネックになります。学童保育として子ども達を預けることが出来て、しかもそこで習い事もできるというのは確かに嬉しいかもしれないですね。

また、個別指導塾「スクールIE」が展開する「Kids Duo」は、英語のネイティブ講師が常駐し、小学生向けに放課後留学を行っています。なんと日本語禁止だそうです。2020年度からは小学校でも英語が正式教科となりますし、将来的には中学受験でも英語が科目の一つとなる可能性もあります。また2020年度に始まる大学入学共通テストでは、英検などの民間試験を使って読む・聞くだけでなく、話す・書くといった能力も問われるようになります。このような状況を受けて、子供向けの英会話スクールの需要が高まっている中、放課後に学童保育で子供を預けながら英語も学べるというのは正に一石二鳥ですよね。

Kids Duoは現在大都市圏を中心として140施設があり、11,000人の生徒が通っていて、2021年までに230施設に増やす計画だそうです。この伸芽'SクラブやKids Duoの他にも、最近では鉄道会社も学童施設ビジネスに新規参入しています。例えば京浜急行電鉄は、明光義塾を運営する明光ネットワークジャパンと組んで、今年4月に京急平和島駅の高架線下に学童を開校しました。他にも東急電鉄や阪急阪神ホールディングスも学童ビジネスに参入しています。これは、鉄道会社は駅ビルや高架下など利便性の高い場所に不動産を多く保有しているからです。ガードレール下等の遊休スペースの有効活用は勿論、学童児童の受け皿を整備すれば共働き世帯が住みやすくなるため、沿線価値の向上も狙える可能性があるのです。

今回紹介している学童施設は全て私立の民間施設になります。公立の学童施設が月額4,000~8,000円程度である一方で、伸芽'Sクラブは週5日利用出来て月額6万円、Kids Duoは週2日で月額35,000円程度と、決して安くはありません。それでも非常に人気があるのはトータルで考えれば決して高くないという考えがキャッシュリッチ世帯にあるからだと言えます。習い事の費用、保育時間の融通のしやすさ、学習指導のレベルの高さを考えると、高所得を得ている共働き世帯にとっては十分に納得できる金額なわけです。厚生労働省によると、2018年5月時点の学童施設の利用者は123万人以上です。この数字は5年前と比べると4割強、20年前と比べるとなんとおよそ4倍となっており、市場規模は3,000億円程度にまで成長しています。共働き世帯のキャッシュリッチ世帯が増える中、今後も学童施設ビジネスの動向から目が離せないと言えるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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