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幸福・成功のための哲学28空の哲学

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/11/14

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。
 前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

1 空の法則の意義
 心の法則の第10は、「空の法則」である。これは、人生で日常的に経験する苦しみをどのように考え、また、それに対応していけばよいのかを示すものであり、消極的な感情としての苦しみは、例えば、台風のように、縁起の法によって確かに一時的に現象として現れているが、それ自体の実体ないし自性はなく、永続的に存続する性質のものではない、ということである。このように、「現象を空と観る」ということは、概念によってそれを固定的な実体として設定しない、ということである。このことを明確に自覚して、消極的な考え方を捨て、常に積極的に生きることが、幸せや成功をもたらすこととなる。このように、この法則は、幸せになるためには、必須なものである。
 なお、幸せになるためには、苦しみとはどのような本質のものであり、どのように対処したら良いのかを正しく知り、その対処法を実践することが必要となる。そこで、以下では、苦しみの種類とその源泉及びそれへの対処法などについて具体的に見ていきたい。

2 苦しみの種類
 まず、人生における苦しみには、どのような種類のものがあるのであろうか。
 この「苦しみの種類」には、一般に次のような外的要因の苦しみと内的要因の苦しみに分けることができる。すなわち、「外的要因の苦しみ」とは、西洋的な物質文明で重視されている社会経済的な条件という外的な要因から生じる苦しみのことであり、例えば、衣食住が十分でない、お金が足りない、あるいは地位が高くないなどのものであり、経済的な状況、社会的な地位、能力などから生じるものである。
 他方、「内的要因の苦しみ」とは、東洋的な精神文明で重視されている人間の存在それ自体という内的な要因から生じる苦しみのことであり、一般に「四苦八苦」と呼ばれるものである。これは、その国で一番偉いと考えられる国王や大統領であっても、避けることができない苦しみであり、生老病死という「四苦」に、さらに、愛する人と別れなければならない苦しみ(「愛別離苦」)、例えば、嫌いや憎いなどの理由で、会いたくない人と会わなければならない苦しみ(「怨憎会苦」)、欲しいのに、それが得られない苦しみ(「求不得苦」)及び健康で盛んであるがゆえの苦しみ(「五蘊盛苦」)という四苦を加えたもののことである。
 なお、本当の幸せは、前述のように、極めて主観的なものである。それゆえ、これは、西洋的な物質文明で重視されている、例えば、お金、地位、名誉などという外的要因の追求(欲求の満足)によって得られるものではない。すなわち、例えば、お金については、それを得れば得るほど、それに満足することなく、これに対する欲望も果てしなく大きくなっていく性質のものであるからである。それゆえ、これらの「外的要因は適度に必要である」けれども、これらと幸せとの間に、直接的な関係はない。と同時に、反対の内的要因として、例えば、愛する人と永遠に一緒にいたいなどという感情の追求によっても得られるものでもない。なぜならば、その内容それ自体が不可能のことを望んでいるからである。それゆえ、このような外的要因の追求や内的要因としての感情の追求でなく、むしろ空の哲学を正しく理解することが大切である。すなわち、空の哲学によれば、喜びや悲しみという「すべての感情は空であり」、そのような感情による渇愛の追求を止めたときに、初めて苦しみから解放され、本当の幸せになれる、ということである。
 以下では、これらの苦しみのうち、主にこの人間の存在それ自体から生じる内的要因による苦しみと、その対処方法について考えていきたい。

3 苦しみの源泉
 私達の日常における悲しみや怒りなどの消極的な感情である苦しみは、どこから生じるのであろうか。
 この怒りなどの消極的な感情は、外部や内部の刺激に対して、自然発生的に生じるものであり、心の内から滲み出てくるものである。人間には感覚器官があるので、これらを感じることを拒否することはできない。しかし、この感情をどのように取り扱うのかというコントロールは可能であり、かつ社会で平和に暮らしていくためには、これを上手くコントロールすることこそが重要である。
 苦しみは、エネルギーの消耗、さらにマイナス(毒)のエネルギーであり、心身に悪い影響を及ぼすこととなる。それは、生きていく気力にもマイナスに働くので、健康に生きていくためには、それを上手に処理し、マイナスのエネルギーを消し去る(「解毒」する)ことが大切である。

4 苦しみの自己造出
 なお、長く深い瞑想修行などを行うと、悲しみや怒りなどの消極的な感情である苦しみは、実は自分自身の心で造り出していること(「苦しみの自己造出」)に気づくことができる、といわれている。すなわち、肉体などに付随する欲求である煩悩に満ちた私たちが、多くの場合において、自我(エゴ)の観点から悲しみや怒りなどの苦しみを自ら造り出しているのである。すなわち、通常私たちは、自我の観点から物事を比較し、好きな方を選び、嫌な方を避けようとして、苦しみを自ら作り出しているのである。言い方を変えれば、自我を捨てれば、このような消極的な感情である苦しみは生じないことが多い。それは、「本人」は外部刺激によって悲しみなどを一時的な現象として感じていることは確かであるけれども、そのことに利害のない「他人」はそのようには全く感じないことからも、客観的に説明がつくものである。それゆえ、苦しみや怒りなどの消極的な感情で心が傷つくか否かは、各人の思い方に依存し、自分で上手くコントロールすることが可能なのである。

5 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、苦から解放され、幸福に生きるために、「空の哲学」を活用することが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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