QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

ロシアと北極海

村藤功 企業財務 M&A

19/10/28

今日はロシアと北極海の話をしたいと思います。北方領土問題は何で起こったか、知っていますか? 元々、アメリカがロシアにあげるよと言ったという事ですが、アメリカは単にあげると言ったわけではありません。満州軍が本州に帰ってくるのが嫌だったので、ロシアが満州軍と大陸で戦っていてくれ、戦っていてくれるのだったら千島列島(ソ連的に言うとクリル諸島)をあげるよと約束したのです。これにより、彼らが南下して来ました。人の物なのだけど、アメリカがクリル諸島をあげると言っちゃって日本が戦争に負けたもので、あげられちゃったわけです。

また、千島列島は一体どこまでなのかという問題もあります。国後・択捉まで含むという説と、含まないという説と両方あります。4島返還論というのは含まないという説で、2島返還論というのは含むのでアメリカがあげちゃったという説です。この辺りは地図を見ながら位置関係を知って、どこからどこまでなのかというのを確認した方が良いですね。

日本とソ連、あるいはロシアは、今どういう関係あるのでしょうか。日ソ共同宣言があり国交は回復しているのですが、平和条約は結んでいません。1956年に日ソ共同宣言を行ったのですけど、その中で国交を回復するけど平和条約は後で結びましょう、結ぶ時に2島を引き渡しましょうという約束をしたのです。その引き渡しと言うのは主権を返してくれる事だろうと日本は解釈したのですけど、いや主権はロシアのままだけど引き渡すという約束だったとロシアは言っています。あまり長い事やっているので、何も返ってこないよりもとりあえずまず2つ返してもらうかと考えて、日ソ共同宣言で引き渡すと決めた歯舞・色丹は返してもらおうと安倍さんはプーチンと交渉しました。とりあえず2島を返還してもらって、平和条約を結ぶかと考えていたようです。

しかし、あまり2島を返還しそうにないのです。ロシアにとっては、歯舞・色丹を返して、そこにアメリカの基地作られるというのは本当に嫌なのです。それに、国後と択捉の間にある国後水道をアメリカ軍が行ったり来たりするというのももちろん嫌です。さらに、アメリカだけではなくて、最近はロシアにとって中国もちょっと気を付けないといけない警戒相手です。もう中国はどんどん強くなってきています。世界の2大強国はアメリカとソ連だったのが、ソ連が崩壊してロシアになり、今はもう中国の方が全然強くなってきたという状況です。

ロシアはそもそも北極海を開発しようとしています。北極海は氷に閉ざされていたのが温暖化で氷が溶け始めて、北極海航路が今出来つつあります。そうすると、日本や中国からは南のシンガポールだとかインド洋を通って地中海に抜け出るルートよりも、北極海航路の方が近いのです。そのため、中国も北極海に出て来るかもしれません。ここでちょっと地図をお持ちであればご覧になって頂きたいのですが、北海道とサハリンの間に宗谷海峡があります。そのため、中国は日本海から宗谷海峡を通って、オホーツク海からカムチャッカ半島の先を回って、北極海航路の方へ行けるのです。そういう意味で、アメリカだけではなくて、最近は中国も北極海航路に来るのが嫌だ、北極海航路についての権益を独占したいというのがロシアの意図ですよね。通ってくる人に対してロシアが規制して、通行料を頂いたり色々な事をしようと思っているところです。日本に返してしまったらロシアの思い通りにならなくなるかもしれないので、返したくないという気持ちがちょっとあるわけです。そもそもアメリカに作られた問題ではあるわけだけど、今でもアメリカとの関係をどうするかという問題があるので簡単には返ってきそうにありません。

北極海で氷が溶けてきたので、LNGとか石油を開発しようという話も出てきています。どのくらい北極海に資源があるかというと、世界の天然ガスの30%とか、世界の石油の13%が北極海に眠っているだろうと考えられ、すごい量なわけです。ソ連とかロシアの経済は、エネルギーの値段が上がるとよくなるのだけど、値段が下がると悪化します。最近、西シベリアの石油ガスが枯渇してきたので、ロシアはちょっと焦っています。そうすると、北極海に眠っているLNGだとか石油を開発しなきゃいけない。だけど、自分だけでは資金不足なので、中国・インド・日本にお金も出させて、エネルギーを買ってもらうという作戦で復活を考えているのです。アメリカがシェールのおかげで輸出する国に変わってきました。カナダは今までかなりアメリカに売っていたのをアメリカが買ってくれなくなったので、他の国に輸出しなきゃいけないという事でカナダもまた出てきて、これから、エネルギーの次の戦いが起こってくるでしょう。そして、自動車もガソリン自動車ではなくて電気自動車に変わる中で、エネルギーの戦いはこれからどう変わってくるのかと問題になってきています。

今日のまとめです。安倍総理とプーチンの交渉で、日ソ共同宣言で引き渡しを約束した2島が返ってくるという風に一時見えたのですけど、どうも返ってくる気配がありません。プーチンは2024年まで大統領を勤める事になっています。しかし、最初の2期は結構経済が良かったのですが、最近はちょっと今一つ良くないので、北極海の開発で盛り返そうと考えているところです。冷戦はソ連が崩壊して終わりましたが、あまりアメリカの言う事を聞くつもりもありません。アメリカが手を引いていく中で、中東辺りでもちょっと影響力を拡大しているという状況です。

分野: その他 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ