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株主総会について(1)

平松拓 企業財務管理、国際金融

19/10/09

 例年6月には、上場企業の多くで株主総会が開催されますが、ニュースで採り上げられることも多いので、関心を持たれた方も少なくないと思います。今年の株主総会では、株主からの提案件数が過去最高となったり、会社側が提案する議案への反対票が多かったりと、これまでの株主総会からは少し変化が顕れています。そこで、今回と次回の2回、この企業の株主総会について採り上げてみます。

 「株主総会」と言ってもあまり身近なものと感じられないかもしれませんが、単位株数(100株が多い)以上の株式を購入(株価の安いところであれば10万円台でも)すれば召集通知が届くので、出席してその企業の経営に関しての説明を経営者から直接聞いたり、株主として発言することができます。私も、最近の株主総会の状況を把握する目的で、とある東証一部上場企業の総会に出席してみました。

 改めて株主総会とは、株主を構成員として経営上の重要な方針や舵取りを決める、いわば株式会社の「最高決議機関」です。株式会社では「所有と経営の分離」といって、所有者である株主が直接に経営を行うのではなくて、経営の専門家である代理人、即ち「経営者」に任せるのが基本です。そのため、代理人である「経営者」を選定し、その代理人に経営の報告をさせると共に、重要事項については株主が直接意思決定をすることになっており、そうしたことを行う場が株主総会です。

 開催が6月に集中するのは、「会社法」という法律で、決算後の一定の時期(実質的に3か月以内)に株主総会を開催しなければならないと規定されており、日本企業の場合3月決算の会社が多いためです。このような形で毎年1回開催されるのが「定時株主総会」ですが、その他に株主による決議が必要な事項が発生した時点で逐次招集される「臨時株主総会」というのもあります。

 株主総会で決議すべき事項については会社法等で規定されており、取締役や監査役の選任、会社運営に関する基本的決め事である定款の変更、会社の合併や解散、決算の承認や役員の報酬、配当金支払の決定等が含まれます。通常は株主が1株につき1票の投票権を持ち、多くの議案については多数決で、特別な議案については3分の2以上の賛成で決議されます。そのための提案は企業側から行われることが多いですが、株主の側から行うことも可能で、その場合、株主提案と呼ばれます。

 株主総会に出ても実質的な議論はほとんど無くて、あっても技術的・専門的な話ばかりで一般株主が出席しても面白くないと思っている人も多いかもしれません。しかし、必ずしもそうではなくなってきています。私が出席した総会の場合、出席者は300人ぐらいで、その多くが個人株主のように見受けられました。議事は議長を務める新任(4月に就任したばかり)の社長のやや緊張したトーンの挨拶から始まりましたが、その後の出席役員の紹介からは至って穏やかな雰囲気の中で進行しました。提出された議案も、前年度の事業・計算書類の報告や中期経営計画の説明、取締役と監査役の選任など、それ程多くはありませんでした。ここで、決算の「承認」ではなくて「報告」とされ、また、配当金や役員報酬についての決議が含まれていなかったのは、この会社が取締役会や会計監査人という機関を設置していることや、株主総会ではなくて取締役会の決議で足りる旨、定款に謳っていることによるものです。

 説明は専門家でなくとも解りやすいよう、比較的平易な言葉と最低限の数字を用いて行われ、会社側説明が一通り済んだ後、質疑の時間となりました。そこでは、「この時間以外には発言の機会はないので、会社に対する率直な質問、忌憚ない意見を遠慮無く述べて欲しい」という議長の説明に促される形で、10名前後の株主が質問に立ちました。一部、会社OBを名乗る株主からのやや技術的な質問があった他は、ほとんどが一般株主と思しき人による質問で、それ等に対して会社側は率直にして簡潔な回答で応じていました。会社を糾弾するような質問もなかった一方で、それ程専門的で高度な質問も出ませんでしたが、それは年金基金や生保・信託銀行などの機関投資家は、会社側と総会以外の場でも様々に対話を行っているためではないかと想像されました。

 私が出席した総会は一例に過ぎないかもしれませんが、経営者が株主に自社を理解してもらい、長期保有の株主になって欲しいと願いながら株主総会に臨んでいることが感じられました。以前の総会屋対策が前面に出て、ピリピリした雰囲気の株主総会も経験している身としては、大きな変化を感じました。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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