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新たなマーケティング対象としてのベビーシッター

岩下仁 マーケティング

19/09/11

今日はベビーシッター業界のマーケティングについてお話します。これまでマーケティングについて色々とお話をしてきました。その中で1950年代のマーケティングといえば、特に消費財メーカー、代表的には食品や家電企業などを中心にしてきた物が、時代が進むにつれてタイヤメーカーあるいは部品メーカーといった生産財メーカーへと広がり、更には銀行あるいは東京ディズニーリゾートなどの娯楽施設にまで広がってきた、というお話をしたと思います。時代のニーズに合わせて対象となる業界も広がっていったという事です。そんな中で今回ご紹介するベビーシッター業界は、マーケティングの関係者達が注目している業界の1つです。

ベビーシッターと聞くと、何となく富裕層が利用するものと思う方も多いかと思います。実は今そうでもなく、1時間2000円程度、中には30分1000円から利用可能という所もあって以前よりかなり利用しやすくなっているのです。背景には、共働き世帯の世帯数増加に伴って夫婦共に子供への対応が出来ないというシュチエーションも増える中、様々な場面でベビーシッターが利用され始めているのです。30代の私のある友人は昨年からベビーシッター仲介サービスであるスマートシッターを介して月に2回ほどシッターを利用しています。普段は夫婦2人で仕事を調整して子供の送り迎えをしているそうですが、2人共帰りが遅くなる時などにシッターに依頼をするそうです。

このスマートシッターですが、料金は1時間2000円からとなっています。自社でシッターを雇って給料を支払うのでなく、利用者とシッターを仲介して手数料をとるというシステムによって、このような低いコストを実現しています。シッターの報酬は経験によって変化していますので経験が浅いシッターを利用すればより安い料金でシッターを依頼出来ます。従来型のベビーシッターサービスですが、通常は自社でシッターを抱えていました。実際ある大手のベビーシッター会社は、入会金5万円で年会費が1万円、利用料金が1時間2500円と対応の手厚さを反映して敷居の高いサービスを提供してきました。これに比べて、スマートシッターの入会金と年会費が無料、利用料1時間2000円からというのは、かなり魅力的だと思います。

先程もお伝えしましたが1回30分からでも利用出来ますので、例えば保育園のお迎えだけなどの短時間の依頼も可能という点も利用し易さに繋がっていると思います。他のサービスでキッズラインという習い事をベビーシッターに依頼するものも登場しています。先程のスマートシッターとの違いは大学生から子育て経験者、更には保育士などの有資格者まで幅広い人材がシッターとして登録している点にあります。現在では47都道県全てに合計2800名ものシッターが登録しているそうです。子供の習い事で人気のある英語やピアノだけではなくて、駆けっこのシッターまでいるそうです。料金はシッターによって違いますが、最低1000円からで10%の手数料を上乗せした料金を支払います。僕も調べてみたところ、インターナショナルスクールの勤務経験者で時給1700円でした。子供を英会話スクールに通わせる事を考えると決して高いとは言えないでしょう。

スマートシッターにせよキッズラインにせよ、知らない人を家の中に入れるという事になりますのでシッターの安全性が一番親として気になる所ですよね。従って、どちらも厳しい審査基準を設けています。例えばスマートシッターでは、まず履歴書による身元確認や経歴の確認を行います。そして、社員との面接や預けるお客さんとも面談を行い、シッターの人柄や子供との相性を確認しているのです。更にはシッターに対して講習会も定期的に開催していて、子供に多い事故の予防や対応方法など命に関わる講座に特に力を入れているのです。

スマートシッターやキッズラインなどのベビーシッターの需要は急速に広がっています。全国保育サービス協会加盟事業者の家庭訪問保育(=ベビーシッターサービス)の合計売上高は、2009年から2018年でおよそ1割増加しています。加盟していない事業者も多く、合計すると市場規模はなんと300億円になると推計されているのです。このようなベビーシッター市場の拡大の背景にはやはり共働き世帯の増加があります。首都圏では小学生までの子供のいる世帯のうち、共働きの割合は61.5%でこの5年間で5.7ポイントほど増えています。その割に夕方5時までしか子供を預からない小規模保育園なども多く、子持ちの共働き世帯にとってベビーシッターのニーズは、益々高まっているわけです。更には社員のベビーシッター利用に手厚い補助をする企業も増え始めています。例えば、インターネット広告大手のセプテーニ・ホールディングスは会社が契約するシッターサービスを社員が利用する場合、料金のおよそ7割を補助する制度を導入しています。あるいはメルカリでは子供が病気になった際、ベビーシッターや幼児保育施設に預ける費用を一時間1500円まで支給する制度を導入しています。子供の事が気になって社員が仕事に集中出来ないといった状況は企業にとってもデメリットですので、最近では企業側も様々な支援策を講じているわけです。

今日のまとめです。今回はマーケティングの新たな対象としてベビーシッターに目を向けてきました。これまでは富裕層の物であったサービスですが、共働き世帯の増加に伴ってより利用しやすいサービスが登場してきていると言えるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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