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災害に備える!~近年の防災に関するトピックス~その1

平野琢 企業倫理、リスクマネジメント

19/09/03

災害に備えると題して、近年の防災に関するトピックをいくつかお話していきたいと思います。

9月1日はご存知の通り防災の日です。9月1日がなぜ防災の日になったかというと、関東大震災が発生した日ということもあります。その大惨事を忘れないためということ、9月は非常に台風被害が多い時期です。その戒めも込めてこの日が防災の日に定められたと言われています。また日本では9月1日を中心としたちょうど今の1週間を防災週間と定めています。防災週間では各地で防災訓練などの防災関連のイベントが行われています。防災週間ということでこのラジオでも数話にわたって防災をテーマに話していきたいと思います。

今日のトピックは防災と備蓄、防災用品です。防災のためだけに品々を買うというのはなかなか難しいと思います。「備えあれば憂いなし」言いますが、災害に対して食糧や日常品などを備蓄していく事は非常に重要です。ただし、様々な防災に関するアンケート調査を見てみると、日本において非常食などの何らかの防災用品を家に備えているという人は人口の約50%前後だと言われています。災害大国と呼ばれる日本において、およそ半数の人が防災用品を備えていないというこの状況は改善すべきではないかと思われます。

ではなぜこの備蓄率が低いのでしょうか。様々な要因が指摘されていますが、一番よく言われていることは、いつ起きるか分からないものに対する備えに積極的な出費が出来ない、あるいは出費の意欲が湧かないというのが正直なところだと思います。特に食品や水など、期限がある防災用品に関しては数年に1度必ず交換しなければならないということがあり、これらはやはり完全に必要な量を揃えるにはかなりコストがかかると言えると思います。

期限切れとなった非常食が大量にあったり、賞味期限が差し迫ったので家族総出で非常食を食べた、という思い出がある人も多いのではないかと思われます。このように様々な問題に対して近年実は新しい防災用品の備蓄の方法として「ローリングストック=回転備蓄」という考え方が提唱されはじめています。

この回転備蓄では特別な非常食は購入せず、普段の食事に利用する缶詰やレトルト食品などを防災用の備蓄食糧とします。そしてそれらの普段の食事に利用する缶詰やレトルト食品を常に数日分家に置いておいて、かつ製造日の古い物から定期的に生活の中で消費していきます。そして消費した分だけまた新しく買い足すというサイクルを回す備蓄方法です。この備蓄方法では日用品が非常食を兼ねるという事から、非常食の備蓄に関してまず特別な支出が要りません。そして短いサイクルで消費と備蓄を両立する為に、消費期限が短い、例えばフリーズドライタイプなどの食品など、幅広い食品を非常食に加えられるという利点があります。普段食卓で使う物を、例えば缶詰やフリーズドライにするという、使いながら貯めながらということです。

この回転備蓄にはいくつか注意すべき点が挙げられます。まず1つ目は回転備蓄ではその名の通り、消費と購入と備蓄のサイクルをかなり短い期間できっちりと回すことが求められます。食べてしまったが新しい購入をさぼってしまったり、購入したのはいいが押し入れの奥にしまって食べることを忘れてしまったり、などサイクルが途中で中断しないように常に気を付けなければいけないという点が挙げられます。

日用のレトルト食品を利用するというのは非常に良いアイデアですが、これらの食品の多くは食べるために水や加熱など何らかの簡単な調理を求めるものが少なくないです。食器を出すことを前提に作られている物も多くあります。したがってインフラが停止した状況でも食べられるように調理が出来るカセットコンロなどを揃えておかないといけないことも、もう1つの注意点であると指摘出来ます。

この回転備蓄の考え方の基本にある日用品と防災用品を兼ねるという発想は食品に限らず多く考えられています。例えば災害時に倒壊した建物や瓦礫を持ち上げる、これはなかなか人力だと難しいです。それに対して自家用車などによく装備されている車用のジャッキというものを応用しようとするアイデアや電動自動車のバッテリーを災害時の非常用電源にするというような発想もあります。

災害大国と呼ばれ災害に対する個人の備えが求められる一方で、防災用品のコスト問題が存在する事を考えると、日用品と防災用品を兼ねるという発想は今後も広がっていくものと考えられます。

今日のまとめ:
必要と思いながらもなかなか準備が整わない防災用品。日用品でありながら防災用品の機能を持つものを探して購入することによって、日常の生活の買い貯めや消費と防災用品の備蓄と更新を兼ねてみてはどうでしょうか。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー: 平野琢

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