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幸福・成功のための哲学18慈愛①

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/04/01

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。
 前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

1 慈愛の法則の意義
 人生の法則の第4は、「慈愛の法則」である。これは、「慈悲の法則」とも呼ばれ、自己を取り巻くすべてのものに対する接し方として最高の心の姿勢を示すものであり、無条件で無差別の大きな愛のことである。人生における思考や行動を行う場合に、真の精神性の高さの発現の一つとして、「慈愛を起点ないし動機」としてそれを行うことによって、当事者間に親密さや信頼が生まれ、平和で幸せになれる、というものである。しかも、これはあらゆるものに対する万能薬である。しかも、人間は生まれつきその本質として慈愛そのものである。それを曇らせているのは、恐れなどのエゴに基づくネガティブな感情である。
 なお、この慈愛は、特定の人やものを自己の好き嫌いによって愛するという狭く偏った愛ではなく、太陽がすべてのものにその光を降り注ぐように、分け隔ての無い無条件の大きな愛のことである。これを東洋的に表現すれば、慈悲と呼ぶことができる。ここでは、これらの東洋的な慈悲や西洋的な愛を含めて「慈愛」と呼んでいる。ここで「慈」とは、慈しみのことであり、「悲」とは、生きとし生きるものへの憐れみの心である。このような慈しみ・憐れみ・愛・柔和・同情という慈愛の心を日常生活の中心に据えることによって、親密さや調和が生まれ、皆が幸せになれる。このように、見返りを求めず、他に対して尽す無条件の慈愛は、自他一如という豊かな心が最も典型的に発現したものである。すなわち、慈愛は、物質的・経済的なものよりも上位にある真の精神的な「心の豊かさ」の現れであり、大自然の秩序と調和したものであり、この世で最も大きな力があり、不安を解消し、人々を平和で幸せにしてくれるものである。そして、慈愛は単なる心の状態ではなく、それが具体的な言葉や行為によって示されたときに、真の意味がある。

2 慈愛と自他一如
 この慈愛は、どこから生じるのであろうか。
 それは、人間が本来持っている同じや一体という感情や感覚からである。すなわち、同じ家族、同じ日本人、同じ人間、同じ動植物、同じ地球の構成物などというような感情からである。なお、幸せを考えるときに、人類だけの幸せを考えるのは、「人類至上主義」という人類のエゴの現れであり、全体的な真理からいえば、誤った考え方であろう。そうではなく、自他一如的な視点から万物を自分と同じように思いやる心が大切である。そして、例えば、すべての生き物は、それぞれの形態は異なっているけれども、皆つながり合い、相互に依存し、調和し合う一つの命であり、調和した理想の世界である、と感じられるようになりたいものである。

慈愛と自他一如の表裏関係
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 そして、この慈愛の広さによって、その人の器・人格・人間性(すなわち凡人・賢人)が決まり、より広い慈愛の方が、より広い範囲の当事者がお互いに幸せになれる。そして、本当に強い人であってこそ、他の人を許し、慈愛によって包み込むことができる。

慈愛の広さ
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3 慈愛と幸せ
 日常的な考え、言葉及び行動が、利他的な慈愛を起点ないし動機とし、この心境の下に行われる場合には、その行為が相手に理解され、当事者間に親密さや信頼が生まれ、良好な交友関係と調和が築け、その結果、お互いに幸せになれる。すなわち、慈愛は、人々を幸せな気持ちにしてくれる魔法の思考・言葉・行為であり、万能薬である。これとは反対に、日常的な思考や行動が利己的な恐れ、怒り、恨み、差別、競争、争いなどを起点として行われる場合には、その行為が相手に認識され、当事者間に不信感、対立、争いなどが生まれ、お互いに苦しみ、幸せになれない。特に過去の恨みに対しては、恨みをもって復讐するのではなく、一つ高い視点に立って、反対に許す心を持つことが最も大切である。これによって、過去志向ではなく、新たな未来志向で考え、行動していくことが、当事者にとっても良い影響を与えると同時に、将来にわたって良い人間関係や社会をつくるための出発点となりうる。このように、慈愛を考えや行動の起点ないし動機として、平和で、調和があり、幸せな社会の実現に貢献したいものである。なお、この未来志向に関して、我が国では伝統的に、現在の自己の幸せよりも将来の子孫の幸せ、すなわち子孫が将来において安定し、充実した生活が送れることを願うという長期的な未来志向的価値観を大切にしてきている。

4 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、成功し、幸福に生きるために、「慈愛」に従って生きることが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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