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自分をモチベートできる人

村尾佳子 リーダーシップ開発、倫理、価値観

19/03/20

今日は「聴く力」についてお話しします。
この「聴く」というのは、新聞の「聞く」とは違います。「傾聴する」という「聴く」です。

実は、私はカウンセリングの勉強をしたことがあります。カウンセリングを学ぶ時に最初にトレーニングするのがこの「傾聴」です。いわゆる「オウム返し」です。
例えば、「最近つらいんですよ」と言ったとしたら、「最近、おつらいんですね」と相手の言葉を少し変換して相槌を返します。これがオウム返しです。これを通じて何がしたいのかというと、受け止めた言葉をちゃんと理解したということを相手に伝えることで、寄り添っていく姿勢を作ることです。これを基本姿勢として、当たり前ですが、言葉で発していること以外も察しながら「聴き」ます。この「聴く」というのは、言葉になっていないことも含めて、いかに相手そのものを理解しようとしているか、そういったスタンス全般を指します。

例えば1対1の場合、「この人何を言っているか分からない」と思うことがあるかもしれません。しかしそこで、相手の説明がわかりにくいのではなく、「自分に聴く力がないから分からないんだ」と矢印を自分に向けながら、相手の立場に立って自分で聴き出していくというスタンスをいかに持てるかが鍵です。

「相手の声に耳を傾ける」というのは、何も相手から発せられているものだけが声ではありません。実は、人の気持ちの多くは言葉になっていない場合が多く、発せられていない部分をどれだけ多く汲み取れるかにかかっています。結果として、声以外のところに大きなサインがあるはずです。

例えば、相手の雰囲気や表情、その人に会った瞬間の服装や髪型からもその人の状況が読み取れる場合があります。あとは態度では、感情の把握も可能です。この人は自分のことが嫌いなんだなとか、逆にすごく気に入ってもらっているなど、何か感じられるものがあるかもしれません。
「感情把握」という意味では、相手の反応や癖を理解しながら読み取っていくことが可能です。いかにそういったスタンスを意識していけるかで、同じことを聴いても言葉になっていること以外の多くのものを理解出来る人とそうでない人に分かれるのではないかと思います。

では、「この人は聴く力がない」と思われる人のパターンはどうでしょう。どんな話も自分の話にすり替えていく人がいます。聴いていたはずなのに、気づいたらこの人が話している。全ての中心は自分で、相手の話そっちのけで自分のことを語ろうとしていることになってしまっている人がいます。耳を傾けることもなく、心を寄せることもなく、とりあえず自分が話したいことを話し続けるみたいなことになってしまいます。
私は普段いろんな方にインタビューをしています。インタビューはまず聴くことから始まります。しかし、新人でインタビューに慣れていないとどうなるかというと、間も怖いし、聴くことがなくなったら嫌なので質問事項をいっぱい考えます。そうすると、質問することに意識がいってしまい、相手の話を聴かないまま次の質問をしてしまいます。そうなると対話になりません。実は、相手の話をしっかりと聴くと、もっと深掘りしてもっと聴きたいポイントがあるのに、慣れないうちは「次は何を聞こう」ということで意識がいっぱいになっていまいます。こういったことが、私たちの日常で起きているのではないでしょうか。

特に営業マンなどは、地位の高い人と会う時は緊張してしまって相手の話を聴くというよりも、次に何を話そうかに意識が向いてしまっていることもあるかもしえません。
例えば、自分の意見を話している時に、相手の考えをききながら、「この人こうは言っているけれどこうだよね」と自分の中で相手の言葉への反論を考えてしまっていることはありませんか?
そういう自分が発見された時というのは、「相手の話を聴く」というモードが抜け落ちてしまっています。相手の話を聴くよりも、「いかに相手を説得するか」、自分の意見を押しつけるかモードに入ってしまっています。そうならない為にも、「自分の意見が間違っているかもしれないから、まず相手のことをちゃんと理解しよう」というスタンスを強く意識しておく必要があります。自分のスタンスは変えずに、相手から何も学ばず、「この人を打ち負かしてやろう」という発想になってしまっていないか、自分で意識しておくことは非常に大事です。

実は人間の感情は、無意識に非常にコントロールされてしまっています。
例えば、「この人好きだな/嫌いだな」と思った瞬間に、違うモードが発信されてしまいます。そうすると、「嫌い(苦手)」と思った瞬間に、ある意味シャットアウトモードになってしまい、否定的な立場で物事を聴こうとしてしまいます。そういう状態にならないように、客観的に自分を見る視点が大事になります。
さらに、「余裕」というのも重要なキーワードです。人間は、気持ちに余裕があるときは相手の意見を受け入れることができ、相手の話をしっかり聴くことができますが、余裕がないととりあえず自分の言いたいことを一方的に言って終わってしまうということがよくあります。自分に余裕が持てているかをきちんと自覚的にモニターしましょう。

それからよくあるのは、相手が話していることが一度に頭に入ると、事実と解釈が混ざってしまいわからなくなってしまいます。つまり、その人の感情が情報の中に入り交じってしまい、全く違う意味になってしまったりします。何が事実で、どこからがその人の感情が入っているのかを分けて聴く癖をつけていかないと、その人から聴いたことは全部事実だと思っていると全く違う方向に行ってしまうこともあります。相手の話を聴くときには、5W1Hのような枠組みを意識して聴くと良いでしょう。中には、ワーッと感情にまかせて言いたい放題言う方もいらっしゃるので、そういう時は、こちらから、「いつ」「誰と」と5W1Hをこちらが意識して質問しながら聴きだす工夫も必要です。そうすることでコミュニケーションエラーなく、聴き取れるようになります。

では、今日のまとめです。
一言でまとめるのは難しいですが、まずは相手にしっかりと寄り添って、本当の意味で関心を持つところから始めることが大事ではないかと思います。

分野: リーダーシップ開発/倫理/価値観 |スピーカー: 村尾佳子

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