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幸福・成功のための哲学17自他一如の法則③

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/03/29

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。
 前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

―自他一如の続きー

1 派生的な慈愛・利他・和・シナジーとの関係
 以下では、自他一如の考え方から自然に導かれる慈愛・利他・和・シナジーなどの考え方について、個別的に説明していくこととする。なお、慈愛については、後述の「慈愛」を参照されたい。

① 利他
 自他一如の考え方を日常生活やビジネスなどの社会貢献へ具体的に展開させたものが、利他の考え方であり、「利他行」と呼ばれることもある。ここで「利他」とは、他者を利すること、すなわち全体としての世のため人のために尽くし、他者を助け、喜んでもらうということであり、その結果が、そのまま部分としての自己を利し、幸せになることに繋がる、という考え方である。そこでは、自他一如の観点から自他の区別をせず、思いやりのある豊かな心で、まず他者に貢献すること、すなわち、相手に良くなってもらいたい、喜んでもらいたい、楽しんでもらいたいと考え、それを実行する。そして、相手の喜んでいる姿を、自己にとっての喜びや楽しみとする。そして、その結果が回り回って最終的に自己の幸せや利益にもなる。すなわち、取るのではなく、与えることによって満足と幸せが得られる、と考えるものである。また、一般に「幸せは伝染し」、周りの人が幸せであると自分も幸せになり、反対に自分が幸せであると周りも人も幸せになる、といわれている。このような全体が幸せになることによって、その一部である自己も幸せになるという考え方は、相手や社会のために、心を込めて考えかつ行動するので、大義名分のある行為である。これによって、幸せを感じて生きていけるという心の安寧が得られる。
 このように、世のため人のために尽くすことは、人間として最も尊い行為であり、人に役立ち、喜ばれるということを幸せと感じる心を誰でも生まれながらに持っており、伝統的に日本人はこの「功徳を積む」ことを慣習としてきた。
 また、別の表現をすれば、例えば、昔からいわれてきている近江商人的な考え方である「三方よし」や、現在の言い方をすれば、「ウイン・ウイン関係」、「共存共栄」や「共生」という他人も自分も生き、シナジー効果も発揮でき、社会も平和で、豊かで、安定したものになるという考え方とも繋がる。

② 和
 自他一如の考え方は、自他の区別がなく、温かい心に基づいて相手の気持ちになって、全体のバランスを常に考えるので、心が通じ合い、信頼関係のある和の状態をもたらす。この和の状態は、心の本源に帰った状態であり、人間が最も人間らしく、心が穏やかであり、幸せな理想郷の状態である。それゆえ、本当に幸せに成りたいと思う場合には、まず自他一如的な考えを持ち、相手を思いやる心で行動することが王道である。例えば、常に相手の良い点を見つけ出し、それを褒(ほ)めてやることなどがある。我が国には、昔から「和を以て貴しとなす」(聖徳太子)という考え方が伝統として存在し、チームワークを得意なものとしてきている。
 このように、普通の人は、自己の利害を主張して敵対し、苦しみ、反対に賢人は、無我や自他一如の観点から和合・調和し、共に幸せとなる。

③ シナジー
㋐ シナジーと共存共栄
 お互いの信頼関係を大前提として、自他一如の考え方に基づく密接なコミュニケーションを通じて、相互理解によって一体感を醸成し、結合する。そして、お互いの強みを生かすことによって、ウイン・ウインの新しい価値やより大きなパイを生みだし、個人の総和を超えるプラスの協働効果(「シナジー(相乗効果)」)を創出する。これは、自他一如的で、全体的な考えを基礎として、お互いに相手のことを知り、尊重し、「皆の力によって、皆の利益のために働くこと」という志気の向上や団結力を発揮することによって初めて生じるものである。なお、わが国の強さの一つとしてチームワークがあり、そこで必要とされる一体感や団結力を高める方法として、伝統的に、例えば、社員旅行、運動会や懇親会などが活用されてきている。

自他一如とシナジー
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 このように、この社会は、自分1人だけでは生きていけないので、自分と他人という二元論的な考え方を超えて、密接なコミュニケーションを通じて、お互いの強みを生かすようなチームワークによってウイン・ウイン関係となり、調和した共存共栄の社会を作り上げことが理想とされる究極の状態である。

相互信頼関係とシナジー
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㋑ 人間関係
 また、人間関係の最も基本にあるものは、お互いの信頼関係である。これがない場合には、ほとんど何も成立しない。すなわち、信頼関係が欠如している場合には、お互いに自己の利害だけを主張し、相手のことを全く考慮しないので、一層不信感が増し、争いが絶えないこととなる。

人間関係
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(注)○:勝、×:負、-:関わらない
*1:シナジーが発揮され、パイが大きくなり、共存共栄や共生が成り立ち、お互いが一緒に幸せになれ、最も望ましい関係である。  
*2:ウイン・ルーズ関係の場合には、ウイン・ウイン関係へ進化させた方が好ましい。 
*3:ルーズ・ウイン関係になりそうな場合には、無関係の関係の方を選択した方がよい。 
*4:ルーズ・ルーズ関係は、絶対に避けたい。 
*5:無関係の関係は、ルーズ・ウイン関係やルーズ・ルーズ関係が想定される場合には、取るべき方法となる。

 それゆえ、まず信頼関係の構築が人間関係の前提となる。このような人間関係については、図のように、様々なものが考えられるが、この中で、前述のように、本来、異なる考えや知識・技能などを持つ人が、お互いの強みを生かすことによって、シナジーが発揮され、調和・共生が成り立つ状態(ウイン・ウイン関係)が理想であり、完成形である。このように、世の中を勝ち負けや上下の図式ではなく、対等の図式で捉えるウイン・ウイン関係で、パイをより大きくしていく状態が最も理想とされる関係であり、日々、この状況をできるだけ多く創るように努力したいものである。
 なお、人間関係を考える場合に、自分が他人の思いとおりにならないのと全く同様に、他人も自分の思いどおりにならないのが普通である。それゆえ、他者を思いとおり操ろうと考えること自体が誤りであり、他者に影響を与えたければ、反対にまず自分が他者に影響されることが必要である。その第1歩が、自他という二元論的な考え方を超えた自他一如的な全体性の観点から、他者への思いやりのある利他の考え方と行動である。そして、それをウイン・ウイン関係まで育て上げることが大切である。すなわち、命令や指示ではなく、相手とのコミュニケーションを通しての相談や交渉によって、相手の納得を得つつ、自己の意図するものを相手に自主的にやってもらうことが、より良い結果につながる。

2 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、成功し、幸福に生きるために、「自他一如」に従って生きることが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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