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幸福・成功のための哲学16自他一如の法則②

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/03/08

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(Peace and Happiness through Prosperity=PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

―自他一如の続きー

1 二元論と一如論
 近代科学の基礎には、ロゴス(論理)に従って、この世界の現象を分類するという西洋的な考え方がある。すなわち、西洋的な最も基本的で科学的な考え方の特徴点は、できる限り、物事を分け、細分化・専門化し、もし可能なときには数値で検証することによって、出来るだけ多くの法則を発見し、科学知識や技術(テクノロジー)を発展させていこうとするものであり、それ自体悪いものではない。そこでは、例えば、自他、白黒、敵味方などというように、物事を明確に二つの対極に分けて考える「二元論」を使用することが多い。他方、東洋的な考え方の特徴点は、全体を一気に把握し、物事を明確に分けずに、全体としての関係性を重視するものである。そこでは、個我の観念を超越し、全体性の観点から分ける前の未分化の状況である「一如論」が採られることが多く、そこでは比べることもない。すなわち、例えば、人々は多くの点でそれぞれ能力や個性に差があるけれども、一人一人が同じように大切な人間である、と捉えられている。そして、西洋的な比較や比べるということがないので、例えば、勝ち組や負け組などという優劣や白黒というような差別や迫害に繋がることも少ない。人々は連帯意識や一体感を持ち、皆で支え合うという世界である。そこでは、すべての人間は平等で、階級、民族や宗教などによる特殊性よりも、共通なものとしての人間性(humanity)、すなわちその人の心と行いをより大切にしている。

二元論と一如論
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 なお、自己に関する比較には、「自他比較」の他に、「自自比較」があり、これらの比較及びそれに基づく評価を絶対に行わないことが、幸せになるための秘訣である。例えば、後者の自自比較の場合、現在の状態でたった今新たに生まれてきたものと考え、それを全面的に受け入れ、それを与えられた前提や環境として、今自分のできることに前向きにベストを尽くせばよいのである。

2 差別と無差別
 日常の生活では、一般に「自己(自我)の確立」とともに、個我の観念を捨てきらず、自己を起点とし、自他を区別し、他との差別化が行われている。これは、自己の利害を前提とした利己的なものである。しかし、もともと自我は、自己の生命保全のために機能する必須のものであり、これを完全に否定することはできない。しかし、集団的な社会生活を送る人間にあっては、社会に迷惑をかけず、反対に社会に貢献するように、自我を否定するのではなく、それを上手くコントロールしていくことが必要となる。なお、多くの失敗、過ち及び悪の根底には、自己の利害を中心とする「利己心」があり、それは本当の自己を知らないという「無知」から生じている。そして、この利己主義が自己及び社会に大きな害をもたらしている。
 これに関して我が国では、これと全く反対の考え方が古くから説かれている。それは、我の観念を超越し、自己の利害から離れ、自他を区別しないで、個と全体とが一体であるという同一性や共通性を見、心を一つにした一体感のある無差別の「無我」の考え方である。そこでは、区別・分離ではなく、結合・一体化がなされる。そもそも自我や私心という自己の利害が心にあるから自他の区別が生じてくるのである。典型的には、自然に見られるように、自我ないし私心という自己の利害のない自然には、自他の区別はない。太陽や雨は、自己の利害や私心を基礎として光や雨などを降らせていない。すべてのものに対して常に平等である。

3 調和という理想形
 このように、皆が一緒により良い社会的な共同生活を送るためには、精神文明的に自他一如的な豊かな心を持ち、相手の立場になって考え、一体感があり、すべてが生かされている調和のとれた平和な状態が理想形ないし完成形である。すなわち、これは相互に信頼し、心の交流を通じて、シナジーを発揮し、より良い共同生活をしている平和で幸せな状態である。
 反対に、当事者が、物質文明的にお互いに独善的な自己の利害だけを主張して、争いをしているようなバランスの取れていない不調和の状況は、相互に争い破壊し合うものであり、そこには平和や幸せは存在しない。
 このように、幸せになるためには、個人として1人だけでは幸せになれない。すなわち皆が全体として幸せになることが必要である。そして、全体が幸せになるためには、お互いに他の人のことも考え、違いを尊重して、協力しながら調和し、共存共栄の状況を実現するように努力することである。

4 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、成功し、幸福に生きるために、「自他一如」に従って生きることが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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