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幸福・成功のための哲学15自他一如の法則①

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/03/07

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(Peace and Happiness through Prosperity=PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

1 自他一如
 人生の法則の第3は、「自他一如」である。これは、これは、人間や物事との関係についての正しい状況を理解するために不可欠な考え方であり、すべてのものは、分離独立して別個に存在するものではなく、相互関係にあり、全体としては一体であり、それゆえ自己と他とは区別のない一如の関係にある、ということを意味している。すなわち、これは、例えば、自己の生命は、大自然の大生命と一体である、と考えるものでる。この「自他一如の考え方を起点」として行動すれば、社会や環境まで含めて、一体感があり、調和のとれた、平和で幸せな人生を過ごせる、ということである。そして、この心境から自然に湧き出てくるのが慈愛・利他・和・シナジーなどである。したがって、これは、幸せになるために、非常に重要なものである。

2 慈愛・利他・和・シナジーの考え方の源泉
 それでは、自他一如から派生する慈愛・利他・和・シナジーなどという考え方は、どこからやってくるのであろうか。これには、個別から出発する考え方と全体性から出発する考え方がある。すなわち、まず前者の個別から出発する考え方については、東洋哲学などにおいて深い瞑想を行い、それにより感覚として体得しうる真理のうち、自分と他のものとが一体であるという心境(一体感)から得られる自他一如がある。
 この感覚は、例えば、「辛(から)い」という感覚を言葉で正確に表現できないように、豊かなに用を持つ感覚を言葉で表現すると、言語化(物象化)のマイナスの側面として、その内容のかなりのものが失われてしまうけれども、ともかく何とか言葉で表現すれば、西洋的な二元性を超越した、身体で体得できる自他の区別のない「同じ」・「一如」・「一体」という感覚や心境である。そして、自己と他のものが一体であると感じられれば、他のものを自分と同じように取り扱うという慈愛などの感情が自然に湧いてくる。すなわち、この一体感について、狭くは、同じ家族、同じ会社、同じ国などという考え方から、より広くは同じ人間、同じ動植物、さらには同じ地球の構成物などどんどんと拡大していくこととなる。どこまで拡大できるかによって、その人の器・人格・人間性(すなわち凡人・賢人)が決まってくる。例えば、マザー・テレサのように、豊かな心で見返りを求めず、他に尽くすという無条件の慈愛などの最も根底にある考え方は、同じ人間であるという「同一性」や「一体感」である。それゆえ、そこには自他の区別や差別ではなく、むしろその反対に二元論を超えた一体感や共通性という心境が見いだされる。
 また、後者の全体性の観点からの考え方については、瞑想などによって、この世界の本質について深く洞察すると、この世界に存在するすべてのものは、それぞれが全く分離独立して存在しているのではなく、縁起の法則に基づいて、他のすべてのものと相互依存しながら存在しているという事実・真理が理解できる。そして、この観点からからすれば、すべてのものは密接不可分の全体の一部として存在し、相互に依存関係を持つものとして存在している。それゆえ、他人や他のものにしていることは、究極的には自分自身に対してしていることと同じになる。たとえて言えば、身体全体の健康を考えた場合、身体の一部が傷つけられると、全体の身体の調子が悪くなるのと同様に、その全体の一部でも傷つければ、他のあらゆる部分も苦しむこととなる。反対に、各部分のすべてが快適であれば、全体も良好である、ということである。このように、自己の他への影響は全体に影響を及ぼし、それがまた自己にも影響を及ぼしてくることとなる。このような相互依存関係の観点から自他一如であると見ることができる。
 それゆえ、例えば、国際問題を考える場合に、自国の国家エゴに基づく考え方ではなく、自国と他国は同じという自他一如の考え方に基づき、全体性の観点から共存共栄を図るような考え方をすることが大切であろう。また、地球環境問題などの地球規模の問題を考える場合にも、自国の国家エゴや人類エゴに基づく考え方ではなく、宇宙飛行士がしばしば口にするように、真に宇宙的な広い視野から、大気や水の大循環や食物連鎖などの生態的循環によって、環境としての地球が生きているからこそ、人間を含む多くの生命が生き続けられるという意味で、地球は非常に貴重な存在であり、二元論を超えた人類と環境は同じ船の搭乗員である、という自他一如の考え方に基づくことが重要である。
 このように、この自他一如という考え方は、大きな視点で、調和や平和をもたらす解決策を提示できるものである。

3 自己の確立と自他一如
 西洋的な思考では、自我の目覚めとともに、「個我」としての「自己(自我)の確立」ということが、家庭でも学校や社会でも、強く求められる。この考え方は、西洋化した我が国の教育制度や社会制度においても、全く同様である。そして、自我意識(エゴ)とそれに基づく我欲が人生における基本的な前提を構成し、それに基づく考え方や行動が取られることとなる。
 なお、この「我(自己)の単位」は、例えば、自己、家族、学校、会社、組織、宗教、地域、国、人類など様々なレベルのものがある。そして、各々が、一般に「全体」を考えることなく、狭い自己の属するものの我と非我を区別し、我(エゴ)を主張し合っている、というのが現実である。言い換えれば、自己を起点とし、自己と非自己を分離し、それを別個のものとして対象化し、自己が外部の対象をリアルな実体として捉える、という考え方をしている。
 しかし、この個我としての自己と他者とを明確に区別し、自己を起点とした自他分離の西洋的な二元論的な思考方法は、「自他の違い」を見て、それを強調するという特徴があり、社会において多くの問題を引き起こしている。そこでは、自己はあたかも他者や環境から独立した存在として考える、という誤った捉え方なされている。しかし、現実には、自己は他者や環境とつながり合い、お互いに大きく依存し、影響し、影響され、相互依存の関係にあるというのが真実の姿である。この真実の姿を見ないで、我の観念を捨てきらず、自己を他者や環境と全く独立分離したものとして区別する考え方は、利己的な自己本位のもので、自己の考え方だけを強力に主張し、例えば、自然は自己の外部に独立して存在し、征服すべきものと考えるような誤った考え方などを生んでいる。このような自己本位の利己的な考え方は、何物にも代えがたい人類の大切な生息環境である地球を破壊しつつあることなど、重大な問題を引き起こしている。このように、自然や宇宙は、自己の外部に別個に存在する対象と捉えるよりも、二元論を超越して、自己を含めて全体として一つの生命体であると一如的に考えることがより大切である。

4 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、成功し、幸福に生きるために、「自他一如」に従って生きることが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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