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イギリスEU離脱の行方

村藤功 企業財務 M&A

19/02/26

今日はイギリスのEU離脱の行方について話したいと思います。アイルランド問題が原因で、EUとイギリスの合意について議会で承認をもらえませんでした。アイルランド問題は1992年にアイルランドが独立したいというので、イギリスが自治領になればと言ったことが発端です。これに対して南の地域はそれでいいと言ったのですが、北は自治領になるぐらいだったらイギリスと一緒になるといって2つに分かれたのです。自治領になると言った方がその後に独立して、イギリス連邦からも離脱するといって完全にイギリスと別の国になりました。この結果、島が真っ二つに分かれたのですが、北と南の間で国境が500キロぐらいあります。しかし、これまでは両方ともEUに入っているので関税はありませんでした。500キロオープンで関税を取る仕組みがないというのが現状です。

ところが、EUからイギリスが離脱するということになると、北が離脱して南がアイルランドという国でEUに残るということになるため、関税をかけないといけません。500キロもあって一体どうやって関税を取るのかというので、イギリスもEUも方法が思いつかなかったのです。そこで、いいことを思いつくまでとりあえずイギリスは関税同盟に残るという話になって、去年の11月にイギリスとEUで色々揉めていた問題がやっと合意し、これでどうかと議会に案を差し出したのです。アイルランドでいい方法を思いつくまで関税同盟にイギリスが残るという提案を議会にしました。しかし、議会がそんなことではいつまで経ってもいい方法なんて思いつかないのだから、イギリスが関税同盟に永遠に残ることになってイギリスの主権を取り戻すことにならないから嫌だといって否決したのです。それでどうしようかということで、アイルランド問題でイギリスが関税同盟に残るのに期限を付けることにしようということにイギリスの議会でなりました。イギリスがEUに対して、こういうことなのですけど、と言ったのですが、その話は前にも出て嫌だと言ったでしょうとEUは再交渉に応じないため、メイ首相は帰ってきました。

メイ首相は板挟みです。メイ首相はEUに駄目と言われ、そうしたら議会が何と言ったかというと、EUがそんなことを言うのだったら再交渉するなと言って、完全に板挟み状況で、どっちも動けないままに3月末の無秩序離脱を今待っています。結局、合意できずに離脱すると、何が起こるかが問題です。合意の中では、2020年までの1年9か月位を色々な事の移行期間としようとしていたのですが、2020年末ではなくて2019年3月末ですぐ離脱する事になります。しかし、何も決まっていない。その結果、突然4月から関税がかかることになると、ドーバー海峡の関税事務所に100キロぐらい車が列を作って渋滞するということになってしまいかねません。これでは駄目だとみんなすごい勢いで逃げ始めました。

ホンダなんかもスウィンドンというところで10数万台車を作っていたのですけど、2021年までに撤退です。これは、本当はイギリスのEU離脱とはあまり関係がない出来事です。ほとんどアメリカで売っていたので次のシビックからアメリカで作ろうみたいな、必ずしもイギリスのEU離脱とは関係ないのですけど、このタイミングだったのでホンダも逃げるのかという話になっています。他にも、色んな人達が色んなことを言っていました。イギリスのジャガーという車があるでしょう。同社はインドのタタの子会社になっているのですけど、4500人削減だとか、それからフォードは1万3000人がイギリスで働いて頂いているけどひょっとするとなくすかもしれませんとか、エアバスが1万4000人の仕事をなくすかもしれませんとか色んなことを言い始めたのです。

これはイギリスにとっては大変な事です。イギリスの経済成長はここのところ2~3%成長だったのが、離脱問題が出てから1%台に落ちました。2016年、17年、18年と、1.8%、1.7%、1.4%とまだプラスだったのですが、合意無しで離脱すると1年で8%ぐらい落ちるかもしれないのです。イングランド銀行というイギリスの中央銀行がありますが、懸念を表明し、去年の11月の合意した案が成立しても15年で4%ぐらいマイナスになるだろうと言っていました。それであまりよくないねと言っていたのですけど、合意なき離脱ということになると怒涛のように崩れるということで、イギリスはやっていけるのかということになってきたのです。

では、例えばもう1回国民投票をしてやっぱり離脱をやめましょうということにはならないのでしょうか? そういう人達が結局EUの一部だった方が良かったのではないかと言っていて、労働党と保守党からバラバラやめて再度国民投票をしようと言い始めているのです。しかし、ものすごく少数で多数には簡単になりそうになく、3月末にはまったく間に合わないというのが今のところの見通しです。労働党も離脱反対とは言っていないのです。穏健離脱といって永遠に関税同盟に残りましょうと言っているだけで、離脱に反対するというのはイギリスのマジョリティではありません。国民がどうかは分かりませんが、議会は違うのです。

日本企業はイギリスからEUのマーケットを攻めるという形でやってきたのです。1~2年かけてこれからの対策を考えようという時間があると思っていたのが、その合意が議会で否決されて、無秩序離脱という方向に今進んでいます。もうみんなどうしたらいいか分からないのです。無秩序離脱だけは嫌だというのはみんな賛成しており、イギリスの保守党も労働党もEUも全員賛成です。しかし、無秩序離脱は駄目だとみんな分かっているのにその方向に向かっており、残念ながら止めようがない状況になっています。

今日のまとめです。去年の11月にイギリスとEUで一旦仮合意したのですが、今年の1月に議会で否決されてしまいました。これまでの合意が白紙となって、移行期間が全くない無秩序離脱になる可能性が高まっています。その後どうしようかという話になった時に、離脱を延期するとか2回目の国民投票をやって離脱を撤回するということが議会で反対されて、EUと再交渉しようという議会の結論でした。しかし、EUはそれは駄目と言ったでしょうということで結局再交渉に応じず、無秩序離脱しかないという状況になりつつあります。その結果、金融機関や事業法人はみんな慌ててイギリスから逃げ出し始めているという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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