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幸福・成功のための哲学⑪因果律3

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/01/23

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(Peace and Happiness through Prosperity=PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

―因果律の続きー

1 因果一如
 人生の法則の第1で、最も重要なものは、「因果律」である。これは、「因縁果の法則」や「縁起の法理」とも呼ばれ、ある原因(因)と何らかの条件や環境(縁)とが結びついて、一定の結果(果)が生じるという法則である。
 因果律は、通常、原因と結果が時間の経過を通して異なった時に生じるという「異時」を前提としたものである。
 これに対して、因果を時間の経過を経ずに、同時にしてしまおうとするのが「因果一如(同時)」という考え方である。これは、時間との関連において、因果の結果を将来に期待しないで、現在をワクワクしながら楽しんでしまう、ということをいう。すなわち、これは、前述の人生における重要な事実のうち「現在」と関連してくるものである。
 これは、将来の目標のための手段として現在を生きる、というような西洋的な考え方ではなく、非常に東洋的な考え方である。すなわち、これを諺的にいえば、「日々是好日」ということで、常に現在が最も魅力的であり、そこからワクワクするような喜びや満足を得るように、現在を最大限楽しむように心掛けることである。なお、ここで注意すべきことは、これは、「自分の好きな楽しいことをする」ということではなく、反対に、無頓着で、無邪気で、愉快な子供がしている遊びのように、「することを楽しむ」ということである。すなわち、自分に与えられた仕事や任務などの中に興味を見出して、それを楽しむのである。
 人生は、日々の積み重ねであり、西洋的な考え方に従って、ただ単に将来の目標のための手段として現在を生きていたのでは、人生は楽しくない。そうではなく、人生に恋し、人生で生じることやすべきことに成り切り、無心となり、日々の仕事を粛々と楽しみ、今という瞬間を味わいながら生きるのが、東洋的な智慧である。ここに人生を楽しむコツが隠されており、このように、考え方一つを変えるだけで自分の住む世界を明るいものへ変えることができる、という魔法の考え方である。

2 無位の真人
 このような仕事を楽しむことに関連して、禅などで一般によく言われる「無位の真人」がある。これは、行為の対象に関して、社会の常識、肩書や基準を超えて、何ものにも囚われないで、真の自由人として、三昧の境地で物事や仕事を楽しむ人のことである。
 私達は、通常の社会生活を営んでいるので、何らかの役割や役職が与えられている。そして、これらに従がって日々の生活がなされている。このことだけであれば、特段仕事を楽しむことと何の関係もない。
 このようなとき、与えられた仕事はすべて、たとえ自分の職位よりも低いようなものであったとしても、そのことに腹を立てず、それを楽しんでしまう、ということである。すなわち、本来丸裸の人間には何の職位もないはずである。そこで、職位を全く気にせずに、あらゆる状況に対してそれを楽しみながら柔軟に対処していくことが、東洋の智慧の一つである。例えば、会社から家に帰れば、会社の職位は、家では全く通用しないのと同様である。東洋的な発想に基づいて、仕事を生活の手段としてではなく、楽しむ対象として捉え直し、今という瞬間を、ワクワク感を持って味わいながら、そこに喜びや満足を得たいものである。日々の仕事に興味を見出し、生き甲斐とし、それを楽しまなければ、一生楽しむ時がない。

3 創造としての因果
 この因果律に関して、もう一つ重要なことがある。すなわち、それは、因果律的には、すべてのものは2度作られる、すなわち、人生は心を主として、その思いどおりに形成されていく(「一切唯心造」)、ということである。具体的には、まず第1に、心ないし思考の中で、例えば、志として作られる。これは、現実の現象が現れる原因を形づくる。そして、第2に、実際の行動で、例えば、人生として現実の姿あるものとして作られる。これは、心で思うという原因の結果として、実際の行為に伴って、現実の現象世界に具体的に現れたものである。この関係は、例えば、人生を創る時も、家を建てる時も、料理を作る時も、本を書くときも、全く同様であり、すべてのものは2度作られている。因果律的には、前者の抽象的で見えない内的な心や思考が原因となり、後者の具体的で見える外的な実際の現象が結果として現れるのである。それゆえ、善い結果を望むのであれば、善い原因をまず心の中で思うことが必要である。例えば、確固たる高い志を立てることは、生き甲斐のある幸せな人生の建設のためには、重要であるといえる。
 なお、別の観点からは、心で思い、エネルギーを与え続けていることが、それが原因となって、それに関連する良いないし悪い状況(結果)を引寄せてきて、思いが現実化してくる、ということをしばしば経験することがあろう。

4 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、成功し、幸福に生きるために、「因果律」に従って生きることが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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