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フィンテックについて②

平松拓 企業財務管理、国際金融

19/01/15

前回からフィンテック(FinTech)について話しています。フィンテック(FinTech)とは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせたファイナンステクノロジーの略語です。例えば、決済サービスや送金サービス、家計簿アプリというサービスを総称して、フィンテックと言います。デジタル通信技術の革命によって、金融サービスがどんどん新しいものができるようになってきたということと思っていいと思います。今日は、フィンテックに関わる規制について話したいと思います。

なぜ規制なのかと言えば、金融サービスはどこの国でも大体基本的に厳しく規制された業種です。新規参入も限定的な所が多いです。そのために他産業ではICTの進歩を背景として様々に進化したサービスの提供が行われる中で、取り残されてきた面があります。しかし、そもそもお金に関わる金融サービスは、ICT技術との適合性が本来高く、活用による進化の余地も大きい業種と思われます。したがって、フィンテックの進展によって今後金融サービスが一変する可能性もあります。そのような認識から各国とも自国においてこの分野のイノベーションを促進することで競争力のあるサービスを育成しようと規制のあり方を再検討して緩和の仕方にも工夫をこらしています。
その1つが金融機関にオープンAPIの受け入れを促すものです。つまり、金融機関に対してフィンテック業者が銀行等の持つ元帳上の顧客の口座情報やアクセスすることを許すように金融機関、銀行に働きかけを行っています。フィンテック事業者はそれにより顧客に提供できるサービスの内容の充実・向上が図れます。それ以前にも、顧客の口座情報にアクセスする方法がなかったわけではなく、お客さんからIDやPWを預かれば良かったですが、セキュリティー上やデータの正確性等の点で問題があってお客さんも警戒するので、フィンテックの進展を妨げてきた面があります。各国でこのAPIの積極導入が図られる中、我が国でも金融庁が銀行に対してこの導入のための努力義務を金融機関に課しています。
それからもう1つが、レギュレーション・サンドボックス、規制の砂場と言われるものですが、これは法改正をするまでもなく規制のハードルを低くして革新的技術に基づいて開発段階にある商品やサービスを試験的に導入できるようにして、それをイノベーションに繋げようという仕組みです。砂場で子供を遊ばせるように、限定した領域内で試験的に事業を行う事が可能となる仕組みです。これは2016年にイギリスで導入されて、その後シンガポール・香港・マレーシア・オーストラリア等が追随して、日本でも2018年に制度整備がなされました。また、そもそも新規事業をしようとした時に、何らかの規制に抵触するのかどうかがはっきりしないことが新規事業を計画するに当たって大きな障害になると思います。日本ではこれへの対策として2016年にグレーゾーン解消制度が設けられました。これはあらかじめ規制の適用の有無をその事業を所管する官庁に確認できる制度です。これはですね2001年に始められた、所謂ノーアクションレター制度です。正式には、法令適用事前確認手続です。これ対象を広げたものです。以前からあったノーアクションレター制度とは、新規事業をやろうとする人が紹介する先もそれぞれの規制の担当官庁でした。これに対してグレーゾーン解消制度では、法令だけではなくて制令やあと通達等も含めたより広い規制の有無について、それをやろうとする事業の担当官庁に紹介できます。いわばワンストップサービス的な対応が期待できる制度です。
更にもう少し大きな話として、基本的な法制の枠組みの変更も検討されています。これ従来金融分野においては、銀行・保険・証券、それから比較的新しい所で送金業者それぞれの業態毎に銀行法・保険業法・証券取引法・資金決済法などの法律が制定されてきています。これを業態毎ではなくて手がける金融サービスやそのリスクに応じた規制となるように見直すことで、そのイノベーションと利用者保護の両立を目指そうという動きです。例えば、送金という機能になる銀行とそれから送金業者に対して、従来は銀行法の様々な規定とそれから送金業者に課せられる条件は大きく異なっていましたが、その業態の違いに関わらず送金事業を行うための機能やリスクに応じた規制を横断的に適用しようというものです。これによって、規制の隙間を埋めるとともに新たなビジネスモデルを持つ企業が業態の壁に囚われずに参入しやすくなることを目指しています。
以上を見てきたように、フィンテックがもたらす新しいビジネスチャンス、イノベーションへの期待からフィンテック企業や金融機関のみならず、規制当局も積極的かつ柔軟に変化に応えようとしてきています。我が国のこれまでの金融サービスはATMの機能に象徴されるように、相対的には優れた面を持つ一方で、高止まりした現金決済比率など利便性の点では課題も多く抱えていました。今後ともフィンテックに対して官民が調和した取り組みを継続することで金融サービスにより多くの新しい付加価値を取り込んで経済への貢献を強めていこと事が期待されると思います。

今日のまとめです。フィンテック企業や既存の金融機関による新たな金融サービスのメニューが続々と生まれていますが、一方で規制当局による技術の変化と調和した規制への見直しの動きも見落とすことはできません。金融サービスのイノベーションのためには、両社の調和が欠かせないと言えるでしょう。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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