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少子化対策を最優先に

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/10/31


今回は、少子化対策を最優先という話です。本の中では、少子高齢化は人々が思っているほど深刻な問題ではなく、むしろ日本経済にとっては素晴らしいということが書いてありますが、それは今後何十年かの日本経済にとっての話です。数千年後に日本人がゼロになってしまうかも知れないということを考えれば、少子化は国難、国の災難なので、何としても止めなければなりません。それも急いで止めなければなりません。若い女性の数がどんどん減っているので、何十年かののちに少子化対策を始めても手遅れになってしまいます。

少子化対策というと、産みたく無い女性に無理に産ませようということを考える人もいるかも知れませんが、私が主張しているのはそうではありません。産みたくても理由があって埋めない女性を支援して、産めるようにしてあげようということです。具体的には子ども手当と保育園の充実です。
まずは、子供が欲しいけれども産み育てる経済的余裕が無いという人を助けるため、子育て中の若者に多額の手当を支給します。たとえば、子供手当を毎月10万円払うとすると、2人産めば毎月20万円の子供手当が入りるので、貧しい若者夫婦でも子供を産み育てることが出来ると思います。「政府は財政赤字なのに、そんな歳出をする余裕は無い」という人がいると思いますが、国が滅びるかどうかという時なので、細かい事は気にせず万難を排して少子化対策に全力を尽くすべきです。
極論を言えば、子ども手当の分は政府が借金をしておいて、生まれてくる子供達が将来支払う税金で借金を返せば良いと思っていますが、それでは財務省が納得しないと思うので、増税も仕方ないです。増税によって景気が悪くなるかも知れませんが、一方で子ども手当を受け取った若者が消費を増やすと思うので、景気の落ち込みは、それほど激しいものとはならないと思います。

保育園の待機児童問題が解消していませんので、それを是非解消したいです。「仕事を続けたいけれども保育園に入れないから仕事を辞めざるを得ない」という女性や、仕事を続けたいから出産を諦めている女性が大勢いると思います。そのような女性が仕事を続けながら子供を産み育てられるようにします。保育園の待機児童の問題は、簡単に解決できる問題ではないかも知れません。保育園を作るのが大変な上に、保育士さんが不足していることも問題です。待機児童の分だけ保育園を作ると、これまで保育園探しを諦めていた住民や近隣自治体の住民が保育園に申し込むからです。しかし、そのこと自体は良いことです。諦めていた人にも保育園に預けてもらえることは住民サービスの向上です。
具体的には、政府にも期待しますが、それ以上に各自治体に期待しています。自治体が競い合って保育園や補助金を充実させて欲しいです。日本の人口は長期的に減少を続け、多くの自治体が衰退していくと予想されています。そのような時に、自分の自治体だけ子供を持つ若い夫婦が増えたら、素晴らしいです。今住んでいる若者に「補助金と保育園を充実するから、子供を産みませんか」ということも良いですが、近くの自治体に住んでいる若者に「補助金と保育園が充実していますから、引っ越して来ませんか」という方が遥かに楽です。そうなると、近隣の自治体との競争になります。例えば、久留米市では、若者に住んでもらうためには、産業を起こしたり仕事を作り出したりすることも重要ですが、福岡のベットタウンとしての機能にも注目すべきだと思います。福岡で働く若者に、久留米から通勤してもらいます。そのために保育園を充実させます。補助金を出します。福岡市や近隣自治体に住むより久留米に住んだ方が得と宣伝します。近隣の自治体も対抗して保育園や補助金を充実してくれれば、素晴らしいです。

さて、少子化対策だと言うと、余計なお世話だという人がいます。子供を産むか産まないかは個人の問題であって、政府が口を出す問題ではありません。しかし、それは違うと思います。例えば、電気自動車を買うかどうかは個人の自由です。しかし、政府としては地球温暖化の事を考えたり排気ガスのことを考えたりすると、人々に電気自動車を買って欲しいと考えます。そこで、電気自動車を買った人には補助金を出します。「補助金がもらえるなら電気自動車を買う」という人も「補助金がもらえても電気自動車は買わない」という人もいると思いますが、それはもちろん各自の自由です。政府は口は出しませんが、補助金の制度を作れば電気自動車に乗る人は増えると思います。少子化対策の補助金も、これと同じだと考えれば良いです。

今日のまとめです。少子化は国難なので、全力で取り組むべきです。子ども手当を1人あたり毎月10万円支払うことや、保育園を大量に作って待機児童をなくすことなどの政策が必要です。自治体が若い家族を招き入れる競争をするように期待しています。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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