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部下の育成をできる人、できない人

村尾佳子 リーダーシップ開発、倫理、価値観

18/09/14

今日は、「部下/後輩の育成が出来る人、出来ない人」について考えていきます。
後輩や部下を持つと、当然「部下の育成」が大きな役割になります。しかし、実際には部下を「育てられる人」と「育てられない人」がいます。そこで今日は、部下を「育てられる人」とはどういう人なのか、一緒に考えていきましょう。

部下を育てるためには、「誰をどこまで育成したいのか」というイメージを明確に持てているかどうかがカギになります。そして何よりも、「部下(後輩)に対して関心を持っているかどうか」、「人を育てることが好きかどうか」というマインド面も重要なポイントです。

自分ができる人ほど人を育てるのが苦手ということがあります。よく、「出来る上司は出来る部下を育てられない」と言いますが、まさにそうで、出来る上司が出来る部下を育てられるとは限りません。なぜかというと、出来る上司は「なぜ自分が出来たのか」ということをかみ砕いて理解することが難しいためです。出来ない人の気持ちがわからないのです。それは、スポーツなど各界の名選手が名監督になれるとは限らないということと通じます。何をやっても「何で出来ないの?」というところから入ってしまうわけです。人を育てる際には、自分と比較してはいけません。育成しようとしている本人そのものの過去、つまり、「昨日よりも今日出来たらいい」というように、過去よりも成長しているかどうかに注目し、そこに軸足を置いていく必要があります。人は、ひとりひとり違うため、個人にしっかりと関心を寄せ、それぞれ良い面、悪い面、強み、弱みをしっかりと見分けて、適切な役割を与えて育成していくことが基本となります。

また、人をサポートするのが上手な人というのは、部下が「どのステップで躓いているのか」ということを具体的にイメージすることが出来ます。そうすると、成果に結びつけるためには、どういう道筋を辿ったら良いのかなど具体的な手立てを考えることができます。
例えば、「まずAをやって、これが出来たら次はBをやる。でもおそらくこの辺でひっかかるかもしれない。ひっかかる理由は、おそらくこの辺にありそうだな」というように部下が辿る道筋が具体的にイメージ出来ていると、横から伴走しながらサポートすることができます。このように、具体的にイメージするためには、上司自身も自分がどうやって成長してきたのか、新入社員時代どういうステップを踏んできたのか、どこで躓いていたのかということをしっかりと思い出す必要があります。これをせずに部下を見てしまうと、「なぜ出来ないの?」というマインドになってしまいます。自分が2年目、3年目の時に後輩が出来れば、できなかった時の自分のことをすぐに思い出せますが、入社から5年も10年も経ち、仕事がある程度できるようになったころに後輩が出来ると、できなかった頃の自分を思い出すことが難しくなります。やはり丁寧に当時の自分とちゃんと対峙しながら向き合ってあげることが非常に大事ではないかと思います。

部下によっては、一から十まで言われたくない人もいれば、最初は事細かにズバズバと言って欲しいという人もいます。まず、失敗や躓きががどこから来るものなのかを理解した上で、最初は一から十まで細かく指示をして、慣れてきたら徐々に指示を減らし、ポイントを指摘するだけにしてみる、最後は必要だったら声をかけるというように、うまく手離れしていくといいのではないでしょうか。

さらに、「正しく権限委譲をすること」も非常に大事です。仕事をする上で「人脈」は非常に重要ですが、あらかじめ「これはどこどこに行って聞いてきて」など、仕事で重要となるキーマンを伝えておくなど、仕事をする上で必要なものを揃えておいてあげるという意識を持つことも大切です。すべてゼロからさせるというのは「丸投げ」になってしまうため、その人が成功できるようにある程度自分ができいる範囲の中で準備をしておいてあげるという認識も必要です。

その他には「姿勢」も重要なポイントです。部下が思ったように動いてくれないと、つい「これも出来てない、あれも出来てない、なんで出来てないんだろう」と部下の出来てないところにばかり目が行きがちですが、ここは上司側も意識的に「出来ているところ」に目を向けてあげる必要があります。
部下は上司がイラッとしたら萎縮してしまい、聞きたいことも聞けなくなってしまいます。やはり新入社員に話を聞くと、「こんなこと聞いていいのかな?」と思って聞けないことがあると言います。私は、自分の部下に「最初の内はなんでも聞いていいけれど、3回目同じことを聞いたらちょっとだけイラッとするかもよ(笑)」と伝えるなど、基準を示して伝えています。

最後に、やはり何よりも重要なのは「心から成長を信じる気持ち」です。私は子供がいないのでわかりませんが、よく「自分の子どものことを思い出して、子どもに接するのと同じように接しましょう」と言われます。自分の子どもが相手であれば、愛情を持ってその成長を待つのではないでしょうか。頑張ろうとさえしていれば、きっといつかそれは花開くということをしっかりと待ってあげて、信じる気持ちを強く持っておくということは上司の姿勢としては非常に大事ですし、部下の育成が出来る人はそういう姿勢で接している方が多いと感じます。もし年代が10歳以上離れている部下や後輩の育成をする場合には、自分の世代の常識はもはや彼らの非常識かもしれないというマインドセットが最近特に大事になってきているように感じます。

そうはいってもいつまでも待っていればいいというわけではありません。自分の中で「半年あるいは1年でここまで持っていきたい」という区切りを決めて、自分がベストな状態で部下や後輩と対峙しても残念ながらそこにミートしないこともあると思います。そういうときには、私は「適材適所」があると考えて、この仕事には向いていないかもしれないという判断をすべきだと思います。もちろん自分との相性の問題もあるとも思います。自分の中でベストを尽くして向き合っても自分の思っていたとおりにならなかった場合には、自分のもとでは育たない、と割り切って異動させていくというのも一つの考え方だと思います。

では、今日のまとめです。
部下(後輩)も人間でそれぞれ個性があるので、まずは「その人らしさ」がどこにあるのかという個性をきちんと理解して、自分と比較することなく、部下に寄り添って部下育成を頑張っていただきたいと思います。

分野: リーダーシップ開発/倫理/価値観 |スピーカー: 村尾佳子

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