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VRIOフレームワーク

目代武史 企業戦略、生産管理

18/07/11

 今日は、企業の強みを分析する際の考え方とモデルについて紹介します。孫氏の言葉にもあるように、企業戦略策定の要は、敵を知り己を知るということです。今回は己を知る為の分析モデルとして、VRIOフレームワークをご紹介したいと思います。

 自社の事を知る、特に自社の強みを知るのはとても重要な事です。では、どのようなものが強みになるかという事ですが、会社の規模や人材の質、技術力、特許、顧客からの評判など、色々な要素が考えられます。個人の場合でいえば、学歴、専門知識、語学力、人柄、経験、人脈、様々なものがあげられると思います。実のところ、どのようなものが強みになるのかは、業界や時代によって違ってくるものです。そこで視点を変えて、どのような条件を満たせば強みと言えるかということを考えてみたいと思います。その為の枠組みがVRIOフレームワークというものです。

 まず簡単な例から説明します。これから就職をする学生がいるとします。この学生さんは英語の試験TOEICで900点の高い英語力があるとします。この英語力は強みといえるでしょうか。これを段階的に見ていこうとのがVRIOフレームワークです。
 第1段階は、そもそも英語力に価値があるかということです。今や英語力は必須のビジネススキルになっているので価値はあると言えると思います。
 第2ステップは、英語力は希少性がある力かということです。つまりレアかということです。日本人が皆英語が出来るとはなかなか言えませんが、アラビア語やヘブライ語を話せる人よりも圧倒的に英語を話せる方の数は多いと思います。希少性という点でいうと、英語力というのはやや怪しいと言えます。
 第3ステップは、その強みを獲得することがどれだけ難しいかということです。もし仮に誰も持っていないようなスキルや知識を持っていたとしても、その気になればすぐに習得できたり代わりを見つけることが出来たりすれば、その希少性は早晩無くなってしまいます。語学の習得には、累積でおよそ2000時間必要だと言われています。そのような意味ではかなりの時間の訓練が必要です。一度高い語学力を身に着ければ、その優位性には一定の持続性はあるかもしれません。一方で、例えば今後、AIなどで自動翻訳、通訳のアプリが出てきたりすると、別に英語力を身に付けなくてもいいということになりかねません。このような模倣困難性、あるいは代替困難性がどれくらいあるかというのが3つ目のテストです。
 4つ目のポイントは、その強みが他の強みやスキルとうまく整合的に結び付いているかということです。例えば、英語は分かるが業界の専門用語やビジネス用語、業界の色々な慣行が全く分かっていない場合にはせっかくの英語力が活きません。さらに、英語が使いこなせる人を雇ったけど、その人が語学力と関係のない部署に配属されていても、やはり宝の持ち腐れという事になってしまいます。このようにある能力が上手く活きるように、他のスキルや仕事と有機的に結びついているかということが4つ目のポイントです。
 これら4つの条件を英語で表現すると、価値があるかどうか(value)、希少性があるか(Rarity)か、模倣困難か(Inimitability)、組織性があるか(Organization)ですから、これの頭文字をとるとVRIOとなるわけです。
 ちなみに、VRIOフレームワークを使って、英語力は強みと言えるだろうかということに答えるとすれば、英語力自体には価値がありますが、希少性という点でやや怪しいということになります。模倣困難性については、獲得には時間がかかりますが、今後AIなど代替的な手段が出て来ると、英語力は無くても困らないという状態が来てしまう可能性があります。VRIOは掛け算で考えていきますので、どれか1つが弱いと全体的にも弱いということになってしまいます。
 これはある強みに関する必要条件と十分条件を検証するための枠組みと言えます。VRIOフレームワークに照らし合わせて考えれば、簡単に取得できて一生食べていける資格は存在しないことが分かります。資格自体には価値はあると思いますが、簡単に取得できる資格は他の人も沢山取得している可能性があります。仮に一番乗りで取得したとしても、他の人もおそらくすぐ取得できるという意味では、その優位性は長続きしません。上手い話はそうそう無いというわけです。

 今日のまとめ:効果的な戦略を策定する為には、自らの強みを知ることが重要です。強みを分析する枠組みとしては、VRIOフレームワークがあります。VRIOは、価値、希少性、模倣困難性、組織性のそれぞれの頭文字をとったものです。企業にとって持続性のある強みは、価値があって希少性があり、模倣が困難で、他の強みや事業システムと上手く組み合わさった資源や能力の事です。逆にこれらの条件を満たさない強みは、まったく優位性が無いか、あっても短期間しか持続しないと言えると思います。

分野: 企業戦略 |スピーカー: 目代武史

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