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SDGs

永田晃也 技術経営、科学技術政策

18/05/24

 今回は、近年、政府の政策目標や企業の活動方針などが議論される場で非常に頻繁に聞かれるようになったSDGsという略号について解説します。SDGsとは、「持続可能な開発目標」を意味するSustainable Development Goalsの略号です。大文字のSDGに目標が複数形であることを示す小文字のsを加えて、エス・ディー・ジーズと発音しています。これは2015年9月に開催された国連サミットにおいて全会一致で採択された開発目標です。
 開発目標と言うと、通常、途上国の課題が想起されます。実際、SDGsの前には、MDGsという開発目標が2001年に国連で採択されており、こちらの方は発展途上国向けの開発目標を設定したものでした。因にMDGsは「ミレニアム開発目標」を意味するMillennium Development Goalsの略号です。2015年を期限として8つの目標カテゴリーを掲げたMDGsは、極度の貧困やHIV・マラリアへの対策において一定の成果を達成したと評価される一方、乳幼児や妊産婦の死亡率を削減するといった目標などは未達成に終わったとされ、またこの目標期間には、環境問題や気候変動の深刻化をはじめとする新たな課題も認識されるようになりました。
 これを受けて新たに設定されたSDGsは、先進国を含む国際社会全体の開発目標とされたわけです。また、国だけではなく、企業、NGO等を含む全ての関係者の役割が重視されています。その目標期限は2030年とされており、SDGsの開発目標は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とも呼ばれています。そこには17の目標カテゴリーが設定されています。少し長くなりますが、重要な点なので、詳細を紹介しておきます。なお、ここで私が参照したのは、外務省ホームページに記載された資料ですが、文言は部分的に省略しています。
目標1は、あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせること。
目標2は、飢餓を終わらせ、持続可能な農業を促進すること。
目標3は、あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保すること。
目標4は、全ての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保すること。
目標5は、ジェンダー平等を達成し全ての女性及び女児の能力を強化すること。
目標6は、全ての人々の水と衛生の利用可能性を確保すること。
目標7は、全ての人々に近代的エネルギーへのアクセスを加納にすること。
目標8は、持続可能な経済成長と全ての人々の人間らしい雇用を促進すること。
目標9は、強靭なインフラ構築、持続可能なイノベーションを促進すること。
目標10は、各国内及び各国間の不平等を是正すること。
目標11は、安全かつ強靭で持続可能な都市を実現すること。
目標12は、持続可能な生産と消費の形態を確保すること。
目標13は、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じること。
目標14は、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用すること。
目標15は、陸域生態系の持続可能性を推進し、生物性多様性の損失を阻止する。
目標16は、平和な社会を促進し全ての人々に司法へのアクセスを提供すること。
目標17は、持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化すること。

 こうして見ると、SDGsが先進国の目標でもあることが良く分かります。実際、我が国でも政府の施策については、それぞれ17の目標のどれに寄与するものであるのかを明示していることがあります。大学でも、政府からの委託事業などではSDGsとの関連が問われることがありますし、進んでSDGsへのコミットメントを方針として掲げる大学も現れるようになりました。
 また、企業の中にも、進んでSDGsに自社の事業活動を関連づける取組みが見られるようになってきました。これは、従来のCSR活動-企業の社会的責任を果たすための活動、あるいは戦略的CSRと言われるCSV(共通価値の創造)の延長で行われるケースが多いようです。なお、近年の企業によるCSR活動には、やはり国連が関与したESGというコンセプトも影響を及ぼしています。これは、Environment(環境)、Social(社会)、Governanceの頭文字を取ったもので、この3つの観点が企業の持続的な成長にとって必要だという見方を表しています。
 このように企業のCSR活動では、外来のコンセプトが流行語のように使われる傾向が見られるのですが、その実質的な効果について私はどうも懐疑的です。本業の社会的責任に自覚的な活動がしっかりと推進されていれば、それは自ずと国際社会に共通の課題を解決することに結び付いていく筈です。

今回のまとめ: SDGsとは国連サミットで採択された持続可能な開発目標です。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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