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論理思考力

村尾佳子 リーダーシップ開発、倫理、価値観

18/05/25

前回は、ビジネスに必要な基礎的な能力と言っても様々な能力があるということについてお話しました。今日は、その「ビジネス基礎力」の1つである「論理思考力」のお話です。

この言葉の響きだけで毛嫌いされる方も多く、理屈っぽい上司で面倒くさいな、というような認識を日本では持たれることが多いと思います。しかし、ビジネスは様々な物が複雑に絡み合っているため、その複雑なものを整理する力が必要です。そのベースにあるのが「論理思考力」です。
ビジネスの現場における課題への取り組みの流れは、そもそも問題があるかないかから始まり、問題があるとすると一体何が問題で何が課題なのか、それをどうするのか、どういう方向で進めていくのかを考えていくというシンプルなものです。しかし、実際に取り組んでいくと、様々なことが複雑に絡み合っているため、頭の中に全体像を描くことが難しい場合が多々あります。私たちは自分で認識できていないことを他人にわかり易く伝えることはできません。そのため、まずは自分の頭をクリアに整理していくことが必要となります。「論理思考力」は、そういった際に「整理していく力」です。

「論理思考力」を鍛えるポイントは大きく3つあります。
一つ目のポイントは、「本質的な問いを押さえ続ける」です。『本質的な問い(issue)』とは、「そもそも一番自分がフォーカスすべき課題は何か」ということですが、人間はこれを押さえ続けることが非常に不得意です。話をしているうちと、次々と新しい情報が入ってきて、気がついたら本来の目的とは全く違うところに話が行ってしまっているということがあります。「議題の目的は何だったのか」ということにしっかりとフォーカスして忘れないことが大切です。これは意識の問題でもあります。簡単なテクニックとしては、会議を始める前に「今日の議題は〇〇」と書いた紙を目の前に置き、話がそれそうな時には「話題が違うから戻ろうよ」と軌道修正する役割を担うファシリテーターを決める方法があります。そうすることで、適宜課題を思い出して軌道修正することができ、何を解決したかったのかを常に意識することができます。「本質的な問いを押さえ続ける」というのは、言葉にすると簡単ですが実は非常に難しいポイントです。

次のポイントは、「主張と根拠を明確にする」です。
人は何かを主張する際、「こういうふうにすべきです。なぜならば...」という言い方を用います。「~すべき」という部分が主張で「なぜならば」が根拠です。ここには因果関係があることが非常に重要です。「なぜ~すべきなのですか?」と質問されたときに、別の話をされると主張の理由が相手に伝わらず、理解されません。何かを主張する際には、常に自分の中で「なぜならば...」という部分をしっかりと意識し、主張と根拠が明確にする必要があります。
しかし、ここには主張した根拠が本当に適切かという問題があります。自分では主張と根拠が繋がっているように思えても、他の人からみると繋がっていないということが多々あります。この判断力は、一定のトレーニングをしないとなかなか身に付きません。そのため、自分が正しいか正しくないかも判断できないという時は、一人で悶々とせず、誰か信頼できる人から指摘してもらうことが大切です。

最後のポイントは「言葉を具体的にする」、「分かり易く伝えていく」です。人と人とを繋げていく大切なコミュニケーションツールの1つに「言葉」がありますが、実はこの言葉は非常に厄介です。なぜなら、言葉は抽象が高く、必ずしも自分の伝えたいことが全員に正しく伝わっているとは限らないからです。
ビジネスの現場では、「競合と差別化すべき」という考え方があります。皆さんその意見には賛同されると思いますが、「差別化」とだけ言われると、そのことを聞いた人たちは、それぞれ思い思いの差別化のイメージを頭の中に思い浮かべる可能性があります。これでは、何か一つの目標に向かって取り組んでいこうという時に、足並みが乱れてしまいます。「競合と差別化すべき」という表現は非常に抽象的な言葉であり、10人がこの言葉を聞いたとしてぴたっと10人の人の頭の中に同じイメージが浮かぶとは限りません。全ての人が同じイメージができるように伝えるためには、抽象的な表現ではなく、より具体的に、しっかりと言葉を定義する必要があります。グロービスには「クリティカルシンキング」という科目があり、こうした「思考の罠」について教えています。「クリティカル」は「批判的な」という意味がありますが、ここで言う「批判的」というのは、他者に対して向けられたものではなく、自分に対して向けられた言葉です。これにはいくつかのポイントがあり、先ほどご紹介したように、ビッグワードと呼ばれる抽象度の高い言葉「尤もらしい事を言っているんだけど中身は何もない」ということにならないように、まず「本当にその言葉でいいのか」など自分を問い直すという意味を持っています。なかなか話が噛み合わない時には、前提があっていない場合が多々あります。そうした場合にも、自分自身が隠れた前提を持っていないか、自分の前提で話を進めていないかということを問い直す必要があります。自分自身の前提をきちんとチェックしながら、相手はどのような前提を持っているのかをチェックしながら話すということが非常に大事です。その他にも、因果関係を取り違えてしまったり、視野狭窄になって目の前のことに必死になって逆サイドを考えられなかったりといった思考の罠もあります。そういった部分に関して、自分自身で気付いていくことが大切です。常に自分で意識をして、自分に批判的にみる癖をつけておくと、改善していくことが可能です。それぞれ自分が持っている癖が何なのかに自覚的になり、それに陥らないように常に意識をし続けるところからスタートしてみるといいのではないかと思います。

では、今日のまとめです。
まずは自分に対して常に批判的にということで、クリティカルな意識の目をしっかりともって、見落としているところはないか、考えるべきポイントはないかを意識し続けることから始めていただくといいのではないかと思います。

分野: リーダーシップ開発/倫理/価値観 |スピーカー: 村尾佳子

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