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ビジネス基礎力とは?

村尾佳子 リーダーシップ開発、倫理、価値観

18/05/18

今日は、「ビジネス基礎力」についてお話します。
「ビジネス基礎力」とは、ポータブルスキルと呼ばれます。一般的にどこの会社でも汎用的に使える持ち運びできるスキル、どの会社に行っても、どの部署においても、重要な基礎的な能力のことです。ある特定の会社でしか使えないスキルではなく、他のどの会社に行っても常に戦力になるポータブルスキルには様々なものがあります。例えば、論理思考力、プレゼンテーション・コミュニケーションスキル、あるいは仮説構築能力などです。そういったスキルを持った人は、どの会社でも求められます。

また、こういうビジネス基礎力というは、若い時の方が身につきやすいため、いかに早い段階から意識していくかということも非常に大事です。さらに言うと、小学校・中学校・高校・大学の中で、身につけられたらいいと思います。日本の教育は、(日本の教育批判をしたいわけではありませんが)、教科書を覚えてその知識を、○×形式で回答する問題が多いですが、今はもうGoogle先生に聞いたらすぐに教えてくれる時代です。知識を知っていること自体には何ら意味がなくなり、「なぜそう考えたのか」といった「思考の深さ・広さ」が需要視されるようになっています。教育の世界でよく言われるのは、海外で子供に問うのは、「その車はどうして走ると思う?」といったようなその構造を問う質問ですが、日本では、「これはなんていう名前?」など名称を答えさせる質問をします。そういったところから実は世界の教育と日本の教育は全く異なっています。本当は、幼少期の頃から「何で?」ということをしっかり考える癖をつけていけるといいのではないかなと思います。子供が好奇心をもって「何で?」と思うことをしっかりと思考力を培わせるように、「こんなことを調べてみたら?」とか、「こっちと関連あるんじゃない?」などと導いていけると日常生活の中でそういった思考力が磨かれていくと思います。

子供の教育の話になりましたけれども、大人で考えてみた時、やはり若手のビジネスマンほどビジネスの基礎能力は身につきやすいです。

例えば、上司から2週間後に部門長会議で新製品について30分程度でプレゼンして欲しいという依頼をされた若者が2人いるとします。若者Aさんは、前使用された製品説明資料を参考に、30分以内にプレゼンが収められるようにスライドカットをしながら、プレゼンの練習を始めました。もう1人のBさんは、そもそもその部門長会議の関心事、部門長の1番の関心事は何なんだろうか、どういう部門長が出席するのかなどをしっかりと考えて、恐らくこういう内容を追加した方がいいのではないかと考え、具体的に新しいものを入れ込んだプレゼンを作成しています。この二人を比べたときにどちらが良いかと言われると、やはりBさんが優れています。「プレゼンをして」と頼まれると、内容そのものに関心がいくというよりも、いかに上手にプレゼンするかというテクニカルな部分に意識が向きやすくなります。そのため、意外とAさんのパターンになる人が多いです。

この「プレゼンテーションを考える」ということ一つを例にとっても、様々なビジネスの基礎力が含まれています。まず、そもそもこのプレゼンの目的は一体何だろうか。このプレゼンをした後の最終ゴールとして、プレゼンが終わった後、どういう状態になっていると成功といえるのか。まず、そこをきちんと定義することから始めなければなりません。次に、聞き手・出席者がどういう関心をもっていて、どういう状態で行われる会議なのか、集中力をもって聞いてくれるのかどうなのかも実はとても大事なところです。また、どういうことを好む人達が出席しているのか。動画や画像で紹介されることが好きな人達なのか、むしろロジカルに説明されるのが好きな人なのかによってもプレゼンの方法は全く変わります。その他にも「制約条件」によっても何が使えるのか、スライドが必要なのか必要ではないのか、最終的には手段として、どういう風なスライドでどういう風なシーンでやっていくのかについて考えていくことが非常に大事です。この中には、プレゼンの全体像をおさえるための基礎力として「論理思考力」が当然大事になってきますし、必要な情報を集めるための「情報収集力」、集めた情報を分析するデータとか情報の「分析力」。さらに、分析した情報から仮説をたてる「仮説構築力」。その仮説から次のアクションを考えていくような「思考力」。最終的に相手に、データから分析して導き出した考えを相手にわかりやすく伝える「コミュニケーション力」というように、これだけみても様々な基礎力がここにあるわけです。

何となく「プレゼンを上手くやりたい。プレゼンの講座を受けよう」と考えるわけですが、プレゼンはどういう要素で構成されているのか、プレゼン構成を考えるためには思考力が必要だということをきちんと考えていかないと、表面的なものしか見ないということになりがちです。

では、今日のまとめです。
「ビジネス基礎力」とは一体何なのか。全容が見えないという部分も非常に多いと思います。これは、相対比較の中で決まってくる汎用的なポータブルスキルのため、自社の中にだけいては、自分の能力を的確に分析できません。そのため、しっかりと社外・社内含め同世代の人と比較する癖をつけて、まずは一体自分の力がどれ位の立ち位置にあるのかということを考えて、足らなかったら早めにトレーニングしていただきたいと思います。

分野: リーダーシップ開発/倫理/価値観 |スピーカー: 村尾佳子

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