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ロシア

村藤功 企業財務 M&A

18/05/17

今日はロシアの話をしたいと思います。プーチン大統領は今回で4期目ですが、いつから大統領に就任しているか知っていますか? まだ47歳だった2000年からずっとロシアのナンバーワンなのです。最初は大統領の任期が4年だったので、4年を2期やりました。それで合計8年です。憲法で2期までということだったので、次にメドベーチェフに大統領が変わりました。ところが、その後にプーチンが6年やり、5月に2回目の6年が始まったところです。

途中で憲法を改正して、任期を4年から6年に延ばしました。でもまだ6年なので習近平国家主席の様に制限を外したのとは違うのですが、なんだか世界中で独裁者が多くなってきているという感じはしますよね。そういう意味では、メドベーチェフに大統領をやらせている間も自分が首相だったので、実質トップはプーチンじゃないかという疑惑があり、最初の4年かける2期とメドベーチェフが大統領の時とそれから6年かける2期で延々と大統領をやり続けているのです。2000年から2024年までプーチンがナンバーワンです。

ただし、メドベーチェフ大統領後の最初の6年の間にウクライナ問題があり、2014年にウクライナからクリミア半島が独立しロシアに併合したので欧米が怒り制裁をするという状況になって、とても苦しい状態に追い込まれてしましました。ウクライナ問題による欧米の制裁に加えて、元々ロシアは原油やガスに依存している経済ですが、アメリカがシェールガスを作り始めて原油価格が下がると、ロシアとしては相当苦しい状況になりました。初めの4年かける2期の間に経済は83%ぐらい拡大したのに対して、メドベーチェフ大統領後の6年の間では5%位しか伸びなかったのです。

そういう意味では国民はかなり不安を持っていて、本当にずっとプーチン大統領なのかと言っている人もけっこういたのですけど、他に大統領に相応しい人はいません。特にウクライナからクリミア半島を併合した時、国内ではプーチン大統領はすごいとヒーローになり、8割方がプーチン大統領を支持しました。しかし、その後経済がなかなか成長しないので段々文句は出てきているのですけど、基本的にプーチンが大統領として支持されている状況です。

プーチン大統領からすると、最初は欧米とそれなりに仲良くやろうと考えていた節があるのですが、ウクライナ問題で国内の支持を得る為にクリミア半島を併合したため、欧米の制裁を受けて思うようにいかないという中で、これからどうするのかと。プーチンの支持者の中には孤立主義でいいという人とか、中国と組んでアメリカと冷戦だとか、そういう話が出てきているのです。

昔、アメリカとソ連の冷戦時代があり、ベルリンの壁が崩れて冷戦が終わったと思っていたのです。ロシアも冷戦をするつもりは必ずしもなかったのですけど、クリミア半島を併合して制裁をされて、ウクライナ東部のドネツク・ルガンスクあたりで約束を守らないとヨーロッパは制裁を解除しないと言っています。恐らく制裁は簡単には解除出来ないでしょう。だからもういい、アメリカやヨーロッパは放っておいて、ロシア独自の路線を行こう、あるいは、中国と仲良くしようみたいな話で、段々世界の政治が動いてきています。

一方で日本ではどうかというと、一時、日ソ共同宣言があったのです。1956年の話ですけど、ロシアのブルガーニン首相と鳩山首相が平和条約を締結する時に歯舞と色丹を引き渡すと約束しました。ただし、まだ平和条約は結んでいません。実は、2島を返還してもらおうかと思った時に、これに反対したのがアメリカです。当時、アメリカは冷戦だったので、日本とロシアが仲良くするのが嫌だったのです。

ロシアも2島返還するのはいいのだけど返還する時にアメリカの影響力を排除したいので、歯舞と色丹にアメリカの基地を作るのは駄目だとか、それから、国後と択捉の間に国後水道があるのですけど、そこをロシアの太平洋艦隊が抜ける事を認めろとか要求しました。しかし、日本はその約束がロシアと出来なかったのです。アメリカが怒って安全保障条約に反するということになると困るので、この約束が出来ないのです。

そもそも、日本はアメリカに怒られずに返還をしてもらう可能性はあるのかという疑惑も実はあります。そういう意味では、安倍首相とプーチン大統領が色々仲良くお話をしても、結局この問題が残っているので簡単には進まないでしょう。プーチン大統領が2年くらい前に来日した時もいけるのではないかと一瞬盛り上がりましたけど、その後ほとんど何も進んでいないという状況なのは、実はアメリカが引っかかっているからなのです。

今日のまとめです。第二次世界大戦時に日本がロシアに対して失った北方4島は相変わらず返ってきそうにありません。これは元々、アメリカがソ連に参戦を要請した時に、参戦してくれるのだったら千島列島をあげると約束して、あげたものだからです。一昨年の12月にプーチン大統領が来日して、安倍首相が共同経済活動をきっかけにして返還してもらおうと考えていたのですけれど、事実上何も動いていません。プーチンは2期連続、通算4期目の大統領として再選されて2024年までまた6年間も大統領を務めることになりました。中国の様には経済成長していないのですけど、ロシア単独か、あるいは、ロシアと中国を合わせての新しい形の冷戦が始まりそうな気配が見えてきたという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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