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松下幸之助の経営哲学27社会観⑦富の本質

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

18/05/14

⑴概論①②、(2)宇宙観:①繁栄の基、②生成発展、③大義、④調和の本質、⑤自然の恵み、⑥素直な心、(2)人間観:①人間の目的、②人間性、③理性と本能、④善と悪、⑤欲望と善悪、⑥信と解、(3)人生観:①人生の意義、②天分の自覚、③人間としての成功、④礼の本義、(3)人生観:①人生の意義、②天分の自覚、③人間としての成功、④礼の本義、⑤信仰のあり方、⑥礼としつけ、⑦悩みの本質、⑧健康の原理、(4)社会観:①、繁栄の社会、②国家と世界、③国民生活の意義、④調和の思想、⑤経済の目的、⑥生産と消費、⑦富の本質


1.はじめに
 松下幸之助の経営哲学をシリーズでお話しています。
【松下幸之助の哲学の内容】
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 宇宙観から始まる松下幸之助の経営哲学のうち第四の側面である「社会観」について解説していますが、これはさらに次のような項目に分けられます。今回は前回の続きで、「富の本質」についてお話します。
【社会観の内容】
201710252.png

2.富の本質
・経済の目的は、すべての人の消費に不自由なからしめるところにあります。しかしこれを達成する営みは、時代とともに変化いたします。
・蓄積された物財だけが富ではありません。その物財を生産し消費する力が真の富であります。
・生産力だけが進んでも、また消費力だけが増えても、それは富の増大にはなりません。双方が調和しつつ高まっていくところに富の増大があり、繁栄があります。

 「富の本質」に関しまして、次の三点を述べております。第一に、経済の目的は、すべての人の消費を不自由なからしめるところにあります。しかしこれを達成する営みは、時代とともに変化します。第二に、蓄積された物財だけが富ではありません。普通の人は蓄積された物財だけを富と考えますが、物財を生産し消費する力が真の富です。第三に、生産力だけが進んでも、また反対の消費力だけが進んでも、真の富の増加にはなりません。生産力と消費力が調和しつつ高まっていくところに、真の富の増大があり、それによって繁栄がもたらされます。

3.生産力と消費の調和、向上が経済の要諦
 生産力と消費の調和、あるいはその向上が経済の要諦です。彼の人生哲学において、人生の意義は生産と消費の営みにあります。物心両面にわたる良き生産と消費を送ることが良い人生を創る、という哲学です。このためには物質文化を発展させ、同時に精神文化も向上させなくてはいけません。
 この場合、経済とは物質的により良き生産と消費を営むためのものです。すなわち、経済の目的は何かと言うと、生産を高めて分配を豊かにし、全ての人が消費を不自由なく出来ることです。貧困は罪悪であり、貧困にならないように社会が発展していくことが非常に重要です。そのために、生産と消費を経済生活の車の両輪として双方調和させながら発展させていかなくてはならなりません。

4.生産力こそ真の富
 富の意義や富の本質について、普通は、富とは、現在所有している物財ですが、彼の考えはそうではありません。すなわち、一般的に富とは、現在において家があるとか、これだけお金を持っているといった蓄積されたものを、富と呼びますが、そうではなく、生産力のことと考えます。単なる蓄積ではなくて、将来において生産し得る能力が真の富です。したがって、普通の我々について何が富かというと、将来における稼ぐ力、年収を稼ぎ出す力が富ということになります。

5.消費力も富
 つまり、現在のストックではなく、将来においてフローを生み出す力が真の富です。さらにまた、消費も富である、ともいっています。例えば、鉄鉱製品を中国が過剰に生産し、世界に安売りしていました。そうすると、アメリカや日本の鉄鋼産業は、特殊な物を除いて、多くが倒産してしまいます。このような状況において、世界で鉄鋼を消費する能力が高まっていかないと、生産能力も高まらないのです。つまり、生産力を高めると共に消費力も高めないといけません。消費することによって生産が刺激され、うまく生産と消費がうまく回っていくので、消費力も富です。

6.貯蓄経済観から生産・消費経済観へ
 経済観に関して、通常は蓄積された物が富であるという蓄積経済観を取りますが、国の富を増やすために生産力・消費力を共に調和させながらこれを発展させていくことが重要です。すなわち、蓄積経済観から生産・消費経済観への経済観の転換が必要です。単なる蓄積ではなくて、生産と消費をうまく調和させながら拡大していくことが、国の富の増強には必要です。
 このように、一般的な富の考え方と異なった、松下電器(現パナソニック)を創業したという、独特の経済観を持っております。しかも、消費に関して、ただ単に大量生産・大量消費ではなく、より良いところに消費していくということ、すなわち、物の使い方も大切で、無駄遣いでなく、有効活用していくことが非常に重要です。

7.むすび
 松下幸之助の哲学のうち社会観では「富の本質」に関して、物財を生産し消費する力が調和しつつ高まっていくところに真の富の増大があり、それが繁栄に繋がります。

〔参考〕松下幸之助『松下幸之助の哲学』PHP文庫

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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