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企業変革の難所を「社会心理学のサイエンス」で乗り切る⑥コミットメント

芹沢宗一郎 組織・リーダーシップ研究

17/10/27

「企業変革の難所を社会心理学のサイエンスで乗り越えよう」というシリーズでお話をしています。今日は、4つ目の「頭でやるべきことを理解していても、最後の一歩が踏み出せない」という難所についてです。

今回は、「コミットメントと一貫性」という原理を用いてのこの難所の乗り越えかたを考えていきたいと思います。
人間は、自分が「やります」と宣言したこと、あるいは、自分の考え方や価値観と一致している行動に対しては、「やろう」「継続しよう」という気持ちになる傾向があります。人から「やれ」と言われたことに対してはなかなか一歩を踏み出せないのですが、自らがやると言ったことや、これまでずっとやってきたことに対しては、はじめないと、あるいは続けないといけないと、何かしらそれを後押しする心理が働くといわれています。この人間の心理を企業変革の場でも応用していく方法をご紹介します。

その前に、一つ問題です。何か頭の中にイメージがある新しい行動をやるかやらないかを決める場合、「3日以内に決めろ」と相手から突きつけられるのと、「1週間時間を与えるので1週間経ったらやるかやらないかを決めろ」と言われる場合、どちらの方が最終的に「やる」と答える人が多くなるでしょう。

実は、前者の「3日以内に決めろ」と決断を迫られた方が「やる」と答える人の割合が多いと言われています。
時間を切った方が「やる」という決断をしやすくなるということです。では、「3日以内に決めろ」と迫られて「やる」と決断したとしましょう。では、どう一歩を踏み出しますか。新しい行動をとるわけですから、うまくいかないこともあるかもしれません。こういう風にしたらこういった反応があるのではないかという不安、怖さもあるでしょう。さて、どうしましょう。

ここで一つ証明されている有効策は、「初めからハードルを高くしない」ということです。どんなに小さなことでもいいので「まず一歩を踏みだす」ということをさせます。例えば、家計簿をつけようと決めたとします。そこで、はじめからあまりにもハードルを上げてきちんとやりすぎると、結局できないままになってしまうということがよくあります。はじめは、「ざっくり」でいいのです。ハードルを低く設定して、まずはやってみること、たとえ小さくても一歩を踏み出すことによって、継続しやすくなり、徐々に大きな行動へとつながり、結果を得られるということが実験で証明されています。まずは、小さくてもいいから一歩を踏み出させること、そこから継続させていくことです。

次に、必要なのは「具体化」です。「5W1H」の何のために・何時・何処で・誰が・何を・どうするということを明確にしておく必要があります。そうしないと何から手を付けたらいいのかがわからなくなります。一度、きちんと計画を立てて紙に書かせること、そしてそのプランが出来たら、何かきっかけを与えてあげること、最後に背中を押してあげることで人は動き出すと言われています。

もう一つは、やると決断したことを、言葉にして「見える化させる」という方法です。「書き出して貼る」。その場所も、なるべく他の人からも見えるようなところに貼ることにより、効果が増すと言われています。これは、人は他人の視線を気にするため、「できていない」と思われたくないという心理が働くためです。まさに「監視機能」が働くのです。人間は、監視されていることに対して「やらなければならない」「守らないといけない」という気持ちになるため、「見える化」は非常に効果的です。他に「見える化」効果として、自分の頭の中にあることをアウトプットし見える化することで、また自分にインプットされるため「刷り込み」になり、自分の中にきちんと刻まれます。やはり言葉にするというのは非常に大事です。

では、今日のまとめです。
「頭でやるべきことを理解していても、最後の一歩が踏み出せない」という企業変革の4つ目の難所を乗り越えるためには、人間の持つ「コミットメントと一貫性」という原理を使うといいというお話でした。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 芹沢宗一郎

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