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ビジネスパーソンの悩み相談⑨後輩の育て方

田久保 善彦 リーダーシップ領域

17/08/29

このシリーズでは、会社員の悩みについてお話ししていますが、今日は「後輩をどう育てていいか、上手な育て方が知りたい」という悩みについて考えていきましょう。

後輩をどうほめたら良いのか。そう叱ったらいいのか。言われたことしかやらない後輩をどうやったら成長させられるのか。どんな風に教えていったらいいのか。「今、言い過ぎたかな」など悩んでいる方、多いと思います。「後輩を育てる」とは一体どういうことでしょうか。どうしたら後輩を育てたことになるのでしょうか。どういう状態になることを育てるというのかという定義がないと、何をしていいかわからないですよね。

例えば、「言われたことしかやらない後輩がいて困る」という話があった場合、「言われたことだけをきっちりとやってくれればいい」という考え方の上司にとっては、それは悩みにはなりません。「言われたことしかやらないのでは困る」という前提があるから、悩みが発生しているわけです。そのため、「私はこの後輩をどういう状況にしてあげたいのか?」ということをイメージできているかということが、第一ステップとして大事になってきます。そのイメージがないと、結局行き当たりばったりの対応になってしまいます。まず、後輩を「いつまでにどういう状態にしてあげたい」と思っているかを整理することが第一ステップです。

その次に大事になってくるのが、「教えられる側のことをどれだけ理解しているか」です。相手のことを理解していないのに「何を教えればいいのか」ということをどうやって決めたらいいのでしょう。

例えば子供に何かを教える際に、初めて会う子供が何をわかっていて何をわかっていないのかということを全く知らないままで、その子に何かを教えることができるでしょうか。できませんよね。しかし、大人になるとそういうことが全部忘れ去られて「あれをやれ、これをやれ」みたいな話になりがちです。新入社員もみんな同じなわけではありません。何を勉強してきたのか、何を感じて生きてきたか、何が専門なのか、どんな部活に入っていたのか。全部違うわけです。そこに対して何の思いもはせずに、「あれをやれ、これをやれ」と言っても、受け止められるものもあれば、受け止められないものもあるのは当然です。

「配属されて2~3年の経験を持ってきた人を育てなければならない」としたら、やはりその後輩が今までどういう経験をしてきたのか。今どういう能力をもっているのか。そしてどんなモチベーションを持っている人なのかということは最低限抑えておかないといい教育は出来ません。そういうことが全く抜け落ちたままプログラムを組んでいくら「この子は出来るようにならない」と言っても、『それは出来るようになるようにしていないから、出来るようにならないよね』というだけのような気がします。

「この人はどんな経験をしてきたか」「この人はどんな能力をもっているか」「この人はどんなやる気(気持ち)があるのか」これら3つのポイントに分けて今育てようとしている後輩のことをイメージしてもらえるといいと思います。
仮に期待通りに育っていないとしたら、経験がないからうまくいっていない人に、「あなたはやる気がないよね」といくら怒ってみても、頓珍漢な指導になりますよね。経験がなくて出来ていないのだったら、経験をさせないと出来るようにはなりません。その分野の能力が欠けている人に、経験ばっかりさせていれば、出来るようになるのかといえば、出来ないかもしれません。経験させるよりも、その能力を伸ばすような研修に行かせてあげるとかそういうことが効果的かもしれないわけです。出来ない理由はやる気がないからだと明確に分かっている人に研修に行かせても単なる時間の無駄です。
そう考えると第2ステップは、繰り返しになりますが、相手のことをきちんとどこまで理解しているかということに尽きると思います。そこをすっ飛ばしてもうまくいきません。私もよく「良い怒り方」「ほめ方」を質問されますが、それもあるでしょうけれども、そういうテクニカルなことを言ったりやったり考えたりする前に、「育てなければならない人をどこまで深く理解しているだろうか」ということに思いをはせてみていただけるといいのではないかと思います。

では、今日のまとめです。
「部下や後輩、メンバーを育てる」時に最初にやらなければならないことは、「いつまでに、どういう状態にしたいのか」ということを、まずはリアリティをもってイメージすることです。第2ステップとしては、その人のことをちゃんと理解し、何を伝え、何を経験させるべきなのかということのプランを作ることです。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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