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QBSでの学びと新たな事業価値の創造(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/07/25

【今回のまとめ】
・QBS科目「産学連携マネジメント」は、MOT(技術経営)に必要な知識の獲得と、九大内外の関係機関との連携による実践的な演習を織り交ぜて、産学連携による新たな事業価値創造の方法を学べる点が特徴となっている。

・QBSは、2015年に「育成すべき人材像」を一部変更し、「経営や産業技術の知見をもって変革をリードし、アジアで新たな事業価値を創造する国際的なビジネスプロフェッショナル」の育成に向けて、日々の活動を行っている。
・今回は、QBSでの学びと新たな事業価値の創造に関する活動の一端を紹介したい。具体的には、今回は私が担当する「産学連携マネジメント」という科目に関連した活動について紹介したい。
・「産学連携マネジメント」では、社会の課題を解決し破壊的なイノベーションをもたらす可能性を秘めている大学の研究成果を、どのように商業化に結びつけるかに関し、理論・知識と実践力の両方を習得することを狙いとしている。
・大学発のイノベーションといえば、例えば名古屋大学の赤崎先生らによる青色発光ダイオードの発明に基づきLEDが実用化されて広く普及し、この10数年の間に私達の生活を劇的に変化させた。また、京都大学の山中先生によるiPS細胞の作成技術によって、近い将来、再生医療分野が大きく発展することも予想されるなど、社会に対して大きなインパクトを持ちうる。
・ただ、大学で生まれた研究成果を商業化へと結びつけるプロセスは簡単ではない。そのプロセスの全体像を理解したうえで、要所ごとに適切なマネジメントが不可欠となる。その手法を学ぶのが「産学連携マネジメント」だ。
・全15回の講義の半分は、座学による理論・知識の修得とケース・ディスカッションを中心に構成され、半分は「QuickLook」というツールを用いた技術アセスメントのグループ演習を行う。
・まず座学とケース・ディスカッションだが、多様な形態を持つ産学連携の代表的なパタンである「共同研究」「技術ライセンス」「大学発ベンチャー」について学び、それに必要な知識となる「知的財産」も併せて学ぶ。例えば「共同研究」では、大学と企業の連携にあたって、そもそもの目的意識の違いを正しく理解し、双方の利害が一致させるためのマネジメントの重要性を学ぶ。また、「技術ライセンス」については、遺伝子組み換え技術など社会に大きな影響をもたらしたライセンス事例の分析や、実際のライセンス交渉で何が争点となるのか、どこに留意するとより早く合意できるのかといったことについて学ぶ。「大学発ベンチャー」では、ベンチャーがイノベーションに果たす役割や、利益相反マネジメントなど大学との関係で注意すべき点を学ぶ。
・これらの座学と並行して、「QuickLook」という技術アセスメントツールを用いて、九州大学が実際に保有する技術を題材に、商業化に向けた市場参入戦略を描く演習を行う。
・この演習では、九大の学術研究・産学官連携本部の協力も得ながら、市場調査データベースなど二次情報に基づく分析や、発明者や企業の事業担当者などへのインタビューによる一次情報の収集・分析を重ねながら、「技術がもたらす便益」「対象市場」「市場の関心」「技術開発」「知財取得」「参入障壁」などを検証し、その技術の市場参入戦略を立案する。そして、最終発表会では、ベンチャーキャピタルやTLOなどの前でプレゼンテーションを行い、評価を受けるという実践的な構成となっている。
・まさに、QBSが掲げる「新たな事業価値の創造」を担う人材を育成しようとするものである。

・次回は、このような科目履修が、その後の学生たちの活動によって発展する様子を紹介したい。


分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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