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アクティブ・ラーニング②

星野裕志 国際経営、国際物流

17/05/09

昨日は、最近大学や高校などでも導入が進められているアクティブ・ラーニングという従来の講義形式の教育に代わって、受講者自身が能動的・主体的に学ぶ参加型の学習法について、説明をしました。

アクティブ・ラーニングとは受身のパッシブに対して、能動的=アクティブに学習するということです。国内の高校でのアクティブ・ラーニングの導入をリードされている東京大学大学総合教育研究センターの中原淳先生の研究室では、アクティブ・ラーニングの学習法を3つに分けて説明されていることをご紹介しました。

1番目が、「意見発表や意見交換型」として、ディベート、ディスカッション、プレゼンテーションなどの形式であり、2番目は、「理解進化型」として、グループワークや振り返りなどです。3番目が、「課題解決型」として、ケーススタディやプロジェクト型学習です。

私の授業では、この3つの方式をQBSの設立時からすべて取り入れられていますが、それには理由があります。2003年に九州で初めてのビジネス・スクールとしてQBSが始まったときに、専門職大学院としてどのようにプログラムの差別化ができるだろうかと考えました。

それは、ビジネス・スクールに入学してこられる30代なかばの学生であれば、学部生のように一方的に講義を聞くことに満足されないでしょうし、新しい専門職大学院では何か新しいプログラムが準備されているのではと期待してこられるだろうと考えました。

それが、今でいうアクティブ・ラーニングであり、アメリカのビジネス・スクールで行われている教育法を意識して取り入れました。

まず授業の中で、ケース・メソッドという特定のケースについてディスカッションをすること、企業の経営者などのゲストを招いて質疑を行うこと、グループ・ワークとしてプレゼンテーションを行って、それを受講者自身が評価をすることなど、常に双方向性で行われます。講義の中で、あるテーマで質問をして、近くの学生との意見交換をして、全体でディスカッションをすることなどが、日常的に行われます。

ディスカッションやグループワークに主体的に関わることで、やはり理解が深まり、当事者として考えることができるようになると考えています。わからないことがあれば、さらに自分で調べて深掘りすることなども期待できます。問題解決能力の向上は、まさにビジネス・スクールに期待されることですから。

ただ、アクティブ・ラーニングがすべて秀でているのではなく、やはり従来の講義形式と比べても、それぞれ長所も短所もあります。効率的に知識や理論を理解させるには、やはり講義形式の方が優れているかもしれません。ですから、担当するコースでは、ケース・メソッドなどのアクティブ・ラーニングと講義形式の複合の形態をとっています。

これは確かに新しい取り組みだと思いますが、なぜ今まで浸透してこなかったのでしょう。
それは、今年の2月に2週間集中講義をしたタイの国立大学の例を挙げると分かりやすいと思います。タイでは、小学生から大学まで、ずっと生徒は先生の一方的な講義を聞くことで、ほとんど発言を求められないと聞きました。つまり自ら考え、疑問を解くということがされていないようです。それは、少なからず日本でも言えることではないでしょうか。その問題点に気づいて、初等中等教育から変革を図ろうとしているのだと思います。

昨日と今日の話の中で引用させていただいた東大の中原先生のご依頼で、日本の高校へのアクティブ・ラーニングの導入のお手伝いをさせていただいています。QBSの教育での経験が、高校でも応用できるとすれば嬉しいです。

昨日に続いて、アクティブ・ラーニングに関して、その利点と弱点についてQBSの実際に行なっている教育の事例から説明し、今まで日本に定着しなかった要因についてお話をしました。自ら考えて、解決する能力を今後初等中等教育からでも身につける教育が浸透することを期待しています。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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