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生産管理(9):QC七つ道具―特性要因図

目代武史 企業戦略、生産管理

17/05/29

今日は、QCサークルで改善活動を行うための手段である「QC7つ道具」についてお話します。
「QCサークル」とは生産現場で改善活動をする小集団のことですが、その小集団活動において活用される分析のツールのことを「QC7つ道具」と言います。ある改善テーマについて、その件数を数えたり、問題を図表化して「見える化」したりすることで、改善活動に効果的に取り組むための分析ツールです。これまで「チェックシート」や「ヒストグラム」をご紹介してきましたが、今日は「特性要因図」についてです。

お部屋の片付けをする場合を例に「特性要因図」を考えていきましょう。今私たちの目の前には、まさに足の踏み場がないほどに乱雑にモノが置かれた部屋があるとします。この部屋を綺麗に片付けて、散らからないようにするにはどうしたら良いか考えてみましょう。

生産管理では「2S」という考え方があります。これは整理整頓の頭文字をとったものです。もう少し具体的にお話しすると、「整理」というのは「要るものと要らないものを分けて要らないものを捨てること」で、「整頓」とは「必要なものを必要なときに取り出せるようにすること」です。「整理整頓」と一括りにして捉えがちですが、実はこの2つは少し違います。この「2S」を実践するというのは、生産現場において効率を上げたり、品質を維持したりする上でも大変重要です。

では、この散らかった部屋の問題に戻りたいと思います。まず手を付けるべきは「整理」です。要らないものをどんどん捨てていきたいと思います。これはいわゆる「断捨離」です。いつか使うかもしれないと思って取っておいたものを実際に使うことは滅多にありませんので、どんどん捨てていかなければなりません。整理が出来ないと使わないものをため込んでしまい、結局必要な時にどこにあるかがわからなくなって新しく買ってしまうという悪循環にはまってしまいます。ですから、とにかく要らないものは思い切って処分することが大切になってきます。

皆さんも同じような経験をされたことがあるかと思いますが、私は時々思い立っては自宅やオフィスを整理するということがあります。問題は「整理された状態が続かない」ということです。そこで、整理された状態が続かない原因を考えてみたいと思います。その時に役立つのが「特性要因図」です。「特性要因図」とは、ある事象や特性(例えば片付けた部屋がすぐに散らかってしまうといった事柄)について、その原因となる要因を視覚的に記したものです。この図が魚の骨のように見えることから「フィッシュボーン・チャート」とも呼ばれます。

まず紙を1枚用意します。その紙の中央の右端の部分に問題となる事柄を書き込みます。キーワードでも結構です。この場合は、「部屋がすぐに散らかる」とか「片付かない」ということを書けばいいわけです。
そういったことを紙の右端に書いて下さい。そして、そこに向かって左から右に長い矢印を書き込みます。これが魚の背骨に当たります。次に、問題の事象を引き起こすと考えられる要因を列挙していきます。片付けた部屋がすぐに散らかってしまう理由を考えるわけです。
例えばどういうものがあるでしょう。「時間が無い」「とにかくもったいなくてものが捨てられない」「部屋が狭くて置く場所がない」「とりあえずモノを置いてしまう」など様々な要因が考えられます。「特性要因図」では、まずこうした大きな要因を先程の背骨の上下に配置をして、そこから背骨に向かって矢印を引いていきます。これが魚の大骨に当たります。これが書けてくると、大分魚の骨の全体像が見えてきます。更に、ある原因にはそれをもたらす原因があります。例えば、「ものが捨てられない」原因は何でしょう。「もったいないから」や「捨てる基準が定まってないから」など様々なことが考えられます。

例えば、「1週間経ったら捨てる」「3ヶ月経ったら捨てる」などルールがあると、判断に困りません。こうしたものは、ある原因の更に原因にあたりますので特性要因図では中骨にあたります。これまでと同様に、大骨の左右にそうした要因を書き入れていき、大骨に向かう矢印を引いていきます。このようにして背骨、大骨中骨小骨といった具合に、ある問題を引き起こす原因を列挙していき、魚の骨のように円にしていくと問題の全体像を目に見える形で整理することができます。

実際に、皆さんも紙を用意して書いていただければと思います。大きな「片付かない」という特性・事象に対して様々な要素が絡んでいるということが、魚の骨に見立てることで一目でわかるようになります。一本の大きな背骨に大骨が突き刺さっていて、大骨には更に中骨が突き刺さっていて、中骨に更に小骨が突き刺さっているというように、これだけ様々な要因が絡みあって一つの事象に向かっているということを一枚の紙に表すのです。これが「特性要因図」です。

 改善活動を進めるときには、これを一つ一つ解決していくことが大切なわけです。やはり問題の全体像を見据えた上で改善活動に取り組むための手段が「特性要因図」ということになるわけです。

 では今日のまとめです。
 改善活動を進めるためには、改善テーマについて原因を把握することが重要です。「特性要因図」は、原因の連鎖を魚の骨のように図表化することで、全体を視覚的に理解するのに役立つ分析ツールです。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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