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会社にはなぜ人事制度があるのか?

良田智雄 人材マネジメント

17/03/03

はじめに簡単に自己紹介をさせていただきます。
私は大学卒業後、「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」というTUTAYAを全国展開している会社に就職し、店長など現場での仕事を経て、人事部で人事全般の仕事をしておりました。その後、今のグロービスに転職して10数年が経ちます。グロービスでも「制度企画」から「採用育成」まで「人事全般」の講義を担当しています。人事の仕事をする傍ら、大学院で「人材マネジメント」の講師もさせていただいております。

今後は、私が長年携わってきた「人事制度」や「人材マネジメント」についてお話していきたいと思います。

人事制度は、守秘義務などの問題もあり、周りからはその内実が見えず、一体どのようなことを考えているのだろうとわからない部分が多いかと思います。実際は様々なことを考えて作り上げている仕組みなのですが、他の部署で働いている人達にとっては不明な点も多く、「自分自身の評価はどうかな」、「給料はどうか」と少し気にかけている程度でしょう。

今日は、そもそもなぜ人事制度があるのかというところから少しお話できればと思います。
経営の「3要素」として、「人・物・金」が挙げられますが、多くの経営者にどれが一番大切かと尋ねると、多くの人が「人」とおっしゃいます。

物や金というのは、優秀な人がいれば調達することが可能ですが、逆に物や金があっても、それをうまく使える人がいないと宝の持ち腐れになってしまいます。つまり、「人が鍵を握っている」ということから、経営の大きな要素の中でも「人」が要だと言われています。

その「人」がうまく機能するように配置し体系化していく仕組みが「人事制度」になります。
社員の方々は、自分に還元される細かな制度には非常に興味を持っておられます。例えば、最近評価されたけれど給料が上がらないとか、頑張っているのに評価されないという声をよく耳にします。しかし、それは単純に上司の評価の仕方がおかしいという話ではありません。そもそも評価制度は何を評価する仕組みなのか。それを評価されるとどれくらい給料が上がるようになっているのかというと、実は評価は給料だけではなく他の報酬、実は福利厚生に回っていたりと、トータルで設計されているようなこともあります。
細かいところばかりが気になってしまうけれども、全体で見ていく必要があります。そこがきちんと分かっていれば、実は「評価されていない」というところに対してもどういう理由でここは評価されていなかったのか、会社が考えていることはどういったことなのか、といったことに対して納得感が生まれてきます。しかし、普段の評価面談ではなかなかそういったところまで考えられていないように感じます。

では、自分の会社の人事制度をきちんと知りたいと思った時にはどうしたら良いのかというと、実際には人事部や総務部の方がその仕組みを司っていますので、そういった方に質問してください。
そうは言っても、なかなか質問しづらいのが現状でしょう。そういった抵抗感を少しでも軽くするために、そもそも人事制度はどういうふうに構成されているのかという大枠を理解しておく必要があります。
そこが分からずに単純に質問をしてしまうと、それはただの文句になってしまいます。「こんなに頑張っているのに給料上がらないのはどうしてか」というのは、質問ではなくただの文句です。しかし、人事の仕組みはこうなっている。そしてそれに対して自分はきちんとできているはずなのに評価されない、きちんと評価されているのに給料がついてきていないのはおかしいのではないか。どうしてそうなるのか、という形で質問するとそれは意見になります。この意見と文句には全く大きな差があります。そのあたりをしっかりと理解してコミュニケーションができると、それが本当の意味で改善の突破口になる可能性があります。逆にそれを前提にきちんと人事や経営から様々な話を聞くことによって、納得感が生まれるかもしれません。それが生まれるとやはり次の目標に向かってがんばろうという良い動きに繋がっていくと思います。

人事制度は、なんとなくその中で自分が働かされているという感じを受けやすいところがありますが、興味を持って知ってもらうと、自分の働き方やモチベーションに影響するようなものだと思っています。

では、今日のまとめです。
人事制度そのものは、会社がそこで働く人に対して、会社の思いを遂げてもらうべくきちんと働いてもらうための仕組みです。これはどんな給料を払うかという話ではなく、しっかりと会社が意図をもって考えて作っているものです。それによって会社が考えている目的を達成するというところに大きな影響を与えるような仕組みです。次回以降、しっかりとその中身を話していきたいと思います。

分野: 人材マネジメント |スピーカー: 良田智雄

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