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QCDESで考えよう!

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

17/02/13

今日はQCDESという考え方についてお話します。

はじめに、関連する用語としてQCDという言葉を紹介します。
Q:Quality  「品質」
C:Cost   「原価」
D:Delivery 「納期など」
つまり、QCDとは「品質」と「原価」と「納期」の関係を意味している用語になります。

ビジネスの様々な場面で、この「品質」と「原価」と「納期」の間の関係について考えることがあるのではないでしょうか。

例えば、この中の一つ、製品やサービスの「品質」を高めようと考えた場合、どのような対策が思いつきますか?
ゆっくりと時間をかけて製造したり、サービスを提供することで、不良品を出したりミスをしたりする可能性を低くすることができるかもしれません。しかし、それではその分だけ出荷が遅れ、お客さんを待たせてしまい、結果として顧客満足度が下がってしまうかもしれません。それでは商品が売れる可能性は低くなってしまいます。

では、出荷が遅れないようにしようと次の対策を考えてみることにしましょう。出来るだけ早く製造するために、途中の検査回数を増やしたり、検査を担当する人の数を増やしてはどうでしょう。たとえ製造工程で不良品が発生していても検査で不良品を発見することができ、不良品の出荷を防ぐ可能性を高めることができるかもしれません。
しかし、検査回数や検査担当者数を増やせば、その分だけコストがかかり、それらを回収するために価格を上げなければならなくなります。結局、この対策でも売れる可能性を高めることはできません。

つまり、品質を高めることが出来ても、納期が遅くなってしまったり、原価がかかりすぎて価格が高くなってしまえば、結局売れる可能性を高めることが出来ないわけです。
そのため、やはり「品質」「原価」「納期」のバランスをうまく保つ必要があります。

では、どのようにバランスをとればいいでしょうか。ポイントはお客さんがどのようなタイプであるかというところにあります。

例えば、お客さんの中には、納期が遅くても、原価がかかって価格が上がってしまってもいいから出来るだけ品質が良いものがほしいという人がいるでしょう。逆に、品質は良くなくてもいいから、出来るだけ早く手に入れたい、原価をかけずに安い価格にしてほしいというお客さんもいると思います。

つまり、お客さんを満足させることが出来る品質と原価と納期のバランスは、お客さんのタイプによって異なります。したがって、お客さんのタイプに応じて、品質と原価と納期を戦略的に使い分けていくことが可能です。自社の商品はどういう人たち向けのものなのか、ということを戦略的に考えるわけです。
ここまでは「品質」と「原価」と「納期」の関係、つまりQCDについてのお話でした。

今回は、これに"E"と"S"を加えた考え方を理解しましょう。
E:Ecology 「環境」を意味しています。つまり、環境に優しいということです。
S:Safety  「安全」を意味しています。つまり、その製品の生産やサービスの提供にあたって安全性に配慮がなされている、という意味になります。

従ってQCDESとは、「品質」と「原価」と「納期」のバランスに加えて、環境にも優しくて、安全性にも配慮がなされているという点で、環境と安全のバランスもとれているという考え方になります。

どうしてこのような考え方が必要なのでしょうか。
例えば、品質だけでなく納期も重視しており、そのためならコストがかかって価格が高くなってもよいというタイプのお客さんがいるとしましょう。そのタイプのお客さんを満足させるために、必要な時に必要な分だけ時間通りに配達するとか、急な注文にも対応できるようなサービスを提供したいと思うかもしれません。確かにこのようなサービスはお客さんのタイプにあっており、顧客満足度を高めることが出来るかもしれません。しかしそのサービスを実現するためには、頻繁にトラックを走らせる必要があり、それだけトラックがCO2を排出することになり、環境への負荷を高めてしまうことになるかもしれません。
また、急な注文に対応するために、従業員が毎日残業したり、十分な休息を取れないまま作業を続けなければならない状態になるかもしれません。その結果、作業現場で事故が起きて従業員が怪我をしたり、病気になったりすることがあるかもしれません。
つまり、お客さんのタイプに合わせることで顧客満足は得られるかもしれませんが、その代わりに「環境」や「安全」を犠牲にしてしまっているかもしれません。もしかしたら皆さんはそのサービスを求める消費者になってはいないでしょうか。我々はビジネスパーソンとしても、また消費者としても、「品質」と「原価」と「納期」、すなわち"QCD"のバランスがとれているだけでなく、「環境」と「安全」への配慮、"E"と"S"のバランスもとれている製品サービスを提供したり求めたりしなければならないのではないでしょうか。

では、今日のまとめです。
「品質」と「原価」と「納期」のバランスだけでなく、環境や安全への配慮というバランスもとれている製品やサービスを、ビジネスパーソンとしてお客さんに提供したり、消費者として高く評価するために"QCDESの"視点を身につけましょう。

分野: コストマネジメント 管理会計 |スピーカー: 丸田起大

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