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イギリスの歴史(32):産業革命:貨物輸送

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

17/02/22


イギリスの歴史というシリーズの中で産業革命の話をしていますが、今日は貨物輸送についてのお話です。イギリスで当時貨物の輸送を担ったものというと、水運と鉄道が一番大きいでしょう。水運と言うと川ですが、イギリスは特に当時のイングランドは地形がなだらかなため、比較的河川の流れが緩やかです。このことから、比較的水運に向いていたという事がありますが、もっといい事があり、運河を作り易かったという事が挙げられます。イギリスには色々な河川があり、トレント川、セバーン川、テムズ川の3つが三大河川ですが、これらを相互に結び付ける運河を掘る事が出来ました。これが日本のように峻険な地形の所だと、日本海側の川と太平洋側に出てくる川を運河で結び付けて船が繋がったという事は無いでしょう。

イギリスで運河が水運に使われたのはイギリスの地形によって来るものだということが分かるでしょう。何を運ぶかというのは、当然製品を運ぶこともあるし、製品を作る為の原材料を運ぶという事もあったし、そして燃料としての石炭を運ぶという事もありました。一番初めに作られた運河は、産業革命を担ったマンチェスターとリヴァプールの間を結んでいます。前述の三大河川を結ぶようなものとしては、恐らく規模が一番大きいものですが、今は運河で本格的に物流を担っているという訳ではありません。ただ当時の名残として、河川にあるナローボートというのはご存知でしょうか。幅が多分1m50㎝程です。どんな運河でも入っていけるように非常に狭い幅のボートがあり、現在は観光用でそれを借り切って小さなエンジンで楽しむというような事もあっているようです。運河という事になると、当然最後は港に着くことになりますが、国際的な貿易を行うので積出港が重要になってきます。イギリスで国際交易を担った港といえば、普通はいくつあるか、人によって勘定は違うと思いますが、今回は7つ挙げたいと思います。

ロンドンは当然あるとして、一つはリヴァプール、これは海の港、海港都市という事で有名で、その意味で世界遺産になっている所です。三角貿易などというのを担いました。そのほかドーヴァー海峡のドーヴァー。これはフランスのカレーとの間の連絡船の着き場でした。それからポーツマス。これは軍港で有名ですが、残念ながら貿易港としては、そうでもなかったかもしれませんが、一応挙げておきます。それからサウサンプトン。タイタニックの出た所ですが、ここも古くからの交易路でした。それからブリストルですね、これも三角貿易の拠点の一つでした。それから、もう一つ港を挙げます。知らない人が多いと思いますが、ハルHULLという所があります。漁港として非常に有名で、交易港としても使われた所です。これは少し東海岸寄りで知らない人が多い所です。以上は運河と港の話です。

もう一つ物を運ぶという事では鉄道が大変重要ですけが、鉄道が一番初めに開業したのはいつ頃かという話が出てくるのですが、旅客運転としては1825年というのを聞いた事はあるでしょうか。スティーブンソンという人が作ったロコモーション号という列車があるのですが、これが世界で初めての旅客列車です。ただあのこの頃は、ダイヤも無いうえに近代的な運営の方法ではなかったため、本当の意味で鉄道と言えるのは1829年のスティーブンソンの子供、この人も同じスティーブンソンですが、彼が設計したロケット号があります。これは有名で、これを使ったリヴァプール~マンチェスター間の鉄道が恐らく本格的なものとしては初めてと言っていいかと思います。

ただ、本当に一番初めに蒸気機関を使って機関車を走らせた人はスティーブンソンではなく、一般の方はあまり知らない名前かもしれませんが、トレビシックという人です。実はこの人が初めて作り、歴史的にはそういう風に確認されているのですが、残念ながらあまり注目を集めずに不遇でした。実際に鉄道開業にこぎつけた機関車でもなかったので、あまり知る人がいません。先程のスティーブンソンが1825年に最初に旅客列車を走らせた話をしましたが、実は試運転レベルまで含めて言うと1814年になります。その頃にスティーブンソンが試運転で最初に蒸気機関車を走らせています。さっきのトレビシックが最初に走らせたのが1804年ですから、鉄道の歴史は1804年からと言っても、或いは本格的な開業は1829年と言ってもいいし、その辺は色々考え方はあると思いますが、このころの時代に始まったということになります。そしてこれが貨物を大量に運ぶ、そして産業革命を担う、そして人も運ぶという事に繋がっていったという始まりに注目しておきたいと思います。

それでは今日のまとめです。
貨物の輸送を担った水運と陸運としての鉄道、この二つに注目して今日はお話をしました。加えてその積出港の港の話をさせていただきました。そして鉄道は貨物だけではなくて旅客も運びましたので、少し旅客の話もしました。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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