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努力を成果につなげるために

荒木博行 戦略思考

16/11/11

先日、論理思考力のトレーニングを受けるかどうかを悩んでいる人から、質問を受けました。それは、「私は全く論理思考力に自信がありません。職場でもセンスがない、とよく言われます。そんな私でも努力すれば成果が出るようになるのでしょうか?」というものでした。
「努力すれば成果が出るか・・・?」一般論として考えれば、その問いに対する答えは、YesでもありNoでもあります。

まず、一つの事実として、努力と成果は必ずしも比例するものではありません。特に求める成果が高ければ高いほど、努力との相関は無くなります。目指すべき成果が高ければ、努力だけでは片づけられません。「1の努力をしたら1の成果に繋がってほしい」、というのは私たちの期待値としてあるわけなのですが、ハードルが高ければ高いほど、「1の努力をしても成果は0。2の努力をしても成果は0」、もしくは大きな変化を伴うようなことであれば、「1の努力をして、成果はマイナス」というように、ある意味無駄のように思える瞬間は必ず訪れます。そういう意味では、「努力すれば成果が出る」というような甘い考えは捨てた方がいいでしょう。

しかし、その一方で努力は不要だということではありません。努力は必要条件の一つ。つまり、成果を得るための「入場チケット」のようなものなのです。努力だけで片付くものではありませんが、努力がなければその土俵にも立てないということ。まず土俵に立つ為に努力はしなくてはならないのです。そして、それと同時に、試合会場に入れって周りを見渡すと、みんな入場券を持った人達が集まっている、ということでもある。つまり戦いはその先にあるわけです。したがって、高いハードルを越えようとするならば、問われるのは努力の有無ではなく、努力の質であり、努力の継続です。きちんと意図を持ち、継続することを前提とした自分自身の「努力プログラム」を入念に設計する必要があります。ゴールを見据え、何をすべきかを逆算で考えてから、制約条件を踏まえてやるべきことを見定める。そのようにして考えられたプログラムをやり切って、初めて成果に近づく努力となりえるのだと思います。

そして、努力においてもう1つ大切な側面があります。努力が必要な理由というのは、入場券を得るためでもありますが、「本来想定しなかった別の成果を連れてくる」、ということも忘れてはなりません。甲子園を目指してずっと努力してきたものの、野球では全然成果が出せなかった。でも、そこで培った忍耐力が別の場面で役に立った、というようなストーリーは誰でも一つは覚えがあるのではないかと思います。
つまり、甲子園という成果は得られなかったけれども、形を変えて、時を超えて、別の成果を連れてくるのです。そういう意味では、「努力は裏切らない」という言葉は正しい。だからこそ私たちは、そういう「努力のパワー」を信じて励むのでしょう。

「努力は運を支配する」というのは、私が尊敬する人物の一人でもある元ラグビー日本代表選手である故宿澤広朗氏の言葉です。極限まで努力をした人のみが得ることができる視界なのかもしれません。その視界が得られることを信じて、ひたすら愚直に努力し続けるのみ。それ以外に選択肢はないのかもしれませんね。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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