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空中戦の会議に打ち勝つための「ホワイトボード」の力

荒木博行 戦略思考

16/10/28

「会議をどのように効果的に進めていくか?」・・・この悩みを抱える人はとても多くいるのではないかと思います。事実として、仕事時間の大半は会議で埋め尽くされている人も多いでしょう。「そもそも会議をやる必要があるのか」、という問いかけも必要ですが、それと同時に会議の運営方法そのものを学んでいく必要もあると思います。

そして、典型的に目にするイケてない会議というのは、ゴールが不明確のまま会議が進み、抽象的な発言やアイディア合戦が繰り広げられ、結局何も決まらずに終わってしまうパターン。こういう会議は、どこかフワフワしていることが多いので、私は「空中戦の会議」と呼んでいます。
この空中戦の会議では、声が大きい人が制空権を持ちます。物理的に声が大きい、ということもありますが、それ以上に影響力が大きいとか、立場が高い、はっきりと物を言う、といった人が該当します。空中戦の会議では、そのようないわゆる「声の大きい人」が制空権をもって勝負を決めていきます。そして、そういった声の大きい人が会議中に正しくものを決めてくれれば何の問題もないのですが、得てして「言いっぱなし」で会議を終わらせるので、決めるべきことが決まらずに無駄な会議ばかりが増える、という構図に陥ります。

そこで、もし自分自身がそのような「声の大きさ」を持ち合わせていないのであれば、「空中戦」の対極にある「地上戦」にもちこまないと会議が効率化していきません。ここでいう「地上戦」というのは何かというと、会議で議論すべき問いを押さえ、そしてその問いに対する具体的な策と、その策の裏側にある数字や事実、お客さまからの声を、きちんと整理して語る、という基本動作になります。時として声の大きい人が思いつきのようなことを語り始めて制空権を握りにかかるかもしれませんが、そこに引っ張られず、地に足付いた具体的な話を進めていく必要があります。
そして、その地上戦において基本動作を振る舞う際に大事になるのは、ホワイトボードです。相手の声の大きさに効果的に対抗するためには、前に立ちホワイトボードで論点や意見を可視化して整理していくことが非常に大事です。フワフワ抽象的に行われている議論を、明確に文字に落とすことにより、何が決まっているのか?何を決めなくてはならないのか?ということに意識を向けていくわけです。

ホワイトボードを単なるメモ書き程度に考えている人もいますが、使い方によってはホワイトボードは会議を間接的に支配できる強力な武器になる、ということを認識した方がいいと思います。会議の際に何か明確に見える文字やコンセプト図があると、何だかんだといってチラッ、チラッと見てしまいますよね。そして、いつの間にかみんなでホワイトボードに向き合って議論していることがある。つまり、ホワイトボードに書かれていることがいつの間にか思考の中心となり、議論が進んでいくという傾向があるのです。
何をホワイトボードに書くか、どこに書くかはホワイトボードの前に立つ人が自由に決められます。だとするならば、どんな意見でも丁寧に書ききる、というような「書記」の仕事をしてはいけません。意図を持って「どこに何を書くか」ということを決めた方がいい。たとえば、空中戦の論点から逸れた意見などは、敢えて無視する、もしくはホワイトボードの隅っこに目立たないように書いていく。そして、自分が主張したいことや議論したいことを中心に書いていけばいいわけです。先ほど、「間接的に会議を支配する」というのはまさにこのことであり、本当に力のある人は声が小さくてもこのようにして会議で主導権を握っていくのです。よく会議の時には、若手が書記としてホワイトボードに立ったりするわけですけれども、ホワイトボードの前に立った時に、自分が会議を支配できてラッキーだな、と認識した方が良いと思います。

ではどうしたらこういうスキルが身につくのでしょうか。これは一言で言うならば「場数」です。「私は下っ端だからホワイトボードの前に立つのは無理です」という人もいますが、下っ端の時にこそこれを率先してやっておかないと、いざという時に空中戦でしか戦えないリーダーになってしまいます。
私たちもビジネススクールの中でグループディスカッションを散々やるわけですが、とにかく慣れていない人ほどホワイトボードの前に立つように、と勧めています。前に立つと冷や汗かきます。「短時間でまとめなくてはいけないのにみんな好き勝手なことを言っている・・・どうしよう・・・」という心境になるわけです。こういった冷や汗を繰り返し経験しておくことによって、いざという時に前に立っても安心できるだけの心構えが身につくのです。
空中戦に負けてばかりの皆さん、是非地上戦での勝ち方を身につけていただければと思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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