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松下幸之助の経営哲学⑩人間性

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

16/08/18


これまで「人間観」について解説していますが、この人間観は次のような項目に分けられます。
【人間観の内容】
①人間の目的 ②人間性 ③理性と本能 ④善と悪 ⑤欲望と善悪 ⑥信と解
今日は、「人間観」の続きで、「人間性」についてお話しします。前回お話しした「人間の目的」とは、「人間を中心として宇宙の真理である生成発展の理法を万物の上に顕現し、もってお互いに繁栄し、平和で幸福を図ること」ということでした。これはPHP(研究所)という松下の研究所とまったく同じ考え方です。要するに、繁栄し、平和で、最終的には皆が幸福になれるためにはどうしたら良いかということを追求しています。これは、全世界の人が願っていることではないかと思います。これが最終的な彼の哲学であり、中心部分になります。

人間性について
それでは、一体人間性とは何かということですが、これに関して、次の三つのことを述べています。
・人間の本質は天与のものであり、永劫に変わらない。素直な心でその本質を究めなければならない。
・人間には、知情意の働きがあり、その調和と育成は人間性を高める。人間の本質に立脚し、人間性の向上に努めなければならない。
・人間性の発露として民族性、国民性があり、これを考慮して、政治、経済、教育を行えば、幸福が訪れる。

人間の本質と2面性 
まず、人間の本質である人間性とは何かということを考える場合、人間は二つの側面を持っていると言われています。その一つは、「動物的な側面」です。それは、本能のままに従う睡眠欲や食欲等です。人間も動物の一種ですから、動物性を一面では持っています。もう一つの側面は、「理知的(理性的)・神的な側面」です。前者の「動物的な」という言葉を言い換えると「感情的な(本能のままに)」という意味合いも含みます。このような本能的な部分と、そうではない自己抑制が働いた状態があり、それを「理性」とか「徳性」と言っています。このような「動物的な側面」は、動物に代表されるような側面で、「理性的な側面」というのは、神様に代表されるような側面です。このような動物的な側面と神様みたいな側面の両方持っているというのが人間の二面性です。
しかも、人間は、動物にも神様にもなれません。動物でも神様でもない、その両面を持った人間を、ありのままの人間として、その良い面を伸ばして、悪い面を抑制していく必要があります。それこそが人間性の見つめ方・伸ばし方です。

感情的側面と欲求5段階説
マズローの「欲求5段階説」によれば、一番初めに、「生理的な欲求」である睡眠とか食欲等というものがあります。その上に「安全性欲求」があり、「帰属欲求」があって、一番上に「自己を実現していく欲求(自己実現の欲求)」があり、これらの5段階になっています。このように、人間は、一番基礎的で動物的な側面の他に、その上部に理性的・神的な側面の欲求を持っています。

理性の2側面
私たちは、心の働きをよく「感情」と「理性」に分けますが、実は理性は二つに分けられます。すなわち、「感情」はすごく自我的で、我を通すというように、自分の感じるままに考え、行動するというものです。他方で「理性」には、「自我的な理性」と「無我的な理性」があります。通常は、「自我的な理性」、例えば一般的な社会生活をする上で自分の我・利益に従って、客観的に少し引いて考えたり行動したりする理性に従います。この典型的な例は「外交」です。外交を感情的に行うと、すぐに争いに発展してしまいますが、客観的で冷静に、しかも(国家のエゴとでもいえる国益を)自我的に考えています。あくまでも、理性的に話し合いをしているけれども、(国益という)自我があって、それを守るためにどうしたらいいかという駆け引きを行っているということです。

深い理性と無我
それが一般的な思考や行動原理なのですが、もう少し深くなると、「深い理性」というものがあり、それを仏教的には「無我(selflessness)」、ユング的には「集合的無意識(Collective unconscious)」と呼びます。真理というのは無我の状態のものです。要するに、組織とか個人ではなく、それよりもっと広い第三者的な宇宙的な考え方、それが深い理性・無我で、これこそが完成形であり、真理でもあります。この深い理性を普段発揮できるのかというと、ほとんど出せていないわけです。普通は2/3は感情論で考え、行動し、残りの1/3は自我的な理性で、自分にとって有利になるにはどうしたらいいかと考えています。本当の人間性というのは、そのもう一つ深い理性の部分です。そこには、神的な集合的無意識によって世界平和や皆で繁栄し、幸福になろうという思いがあります。

知情意と人間性
また、人間性の側面として、「知・情・意」(知識と感情と意志)というのがあります。これが先程言った動物的な側面と理性的・神的な側面に関連するのですが、自我をあまり出さないように、上手くコントロールしながらやっていく、そのバランスこそが非常に重要です。このような知情意の調和と育成は人間性を向上させます。

民族性・国民性
さらに、人間性について、各国や民族によって、長い歴史の下で形成されてきた民族性とか国民性を十分に考慮して、その人間性を活かしていかないといけません。要するに、今はもう世界を短時間で飛行機で行き来できる世の中ですけれども、それぞれの地域の文化はそれぞれの地域でベストなものが残っているので、それを大事に扱って、政治経済等を行っていけば、繁栄や平和や幸福な社会が実現できます。

まとめ 
松下幸之助の経営哲学のうち、「人間観」では、人間性に関して、動物的側面と理性的・神的側面の二面性や知情意の働きがあり、その調和と育成によって人間性を高めていくということ、そして、その人間性の発露として、「民族性」や「国民性」があり、これを考慮して政治経済等を行っていけば、繁栄や平和や幸福な社会が実現できるということです。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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