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仮説検証①

寺﨑新一郎 経営学/マーケティング

16/07/14

今回は仮説検証についてご説明させて頂きます。日々の業務では、例えば新製品のA案とB案ではどちらが成功する確率が高いだろうか、といった様々な問題に対して意思決定する必要があります。こうした問題に対して役立つのが仮説検証というプロセスです。今回は仮説検証の中でも最初のステップとなる仮説の設定について説明したいと思います。
まず、仮説検証のプロセスとしては、その仮説を構築している仮説が正しいかどうかをデータ等によって確かめます。仮説とは検証の対象となる母集団の性質について述べた文章のことです。例えば、「新製品は従来製品よりも満足度が高い」といった仮説が挙げられます。

それではまず、仮説の設定から始めてみたいと思います。統計的検定では帰無仮説と対立仮説という、2種類の仮説を設定する必要があります。

帰無仮説は英語ではNull Hypothesisと言います。Nullとは「無価値の」という意味で、仮説が棄却されることを期待して設定されるので帰無仮説と言います。先ほどの新製品の例でいえば、帰無仮説は「新製品と従来製品では満足度に差がない」となります。また、対立仮説は「新製品と従来製品では満足度に差がある」となります。なお、帰無仮説は棄却されることが期待されますが、棄却されないこともあります。

帰無仮説は大抵2つ以上のデータ間の差異を判断するため、それらのデータに差異はないという表現になります。先ほどの例でいえば、新製品の満足度は従来製品よりも高いかどうかは、統計的検定では判断できないため、とりあえず差異はないという表現にします。少し複雑かもしれませんが、統計的検定では、まず帰無仮説が正しいという前提に立ち、帰無仮説の正誤をサンプルデータで検証します。なお、統計的検定では、仮説が正しかった場合は「(仮説は)支持された」、正しくなかった場合は「棄却された」という表現になります。帰無仮説が棄却されれば、その否定である対立仮説が支持されます。もちろん、帰無仮説がそのまま支持されることもあります。

なぜ帰無仮説と対立仮説という、2種類の仮説を設定するか疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、初学者の方はあまり考えなくて結構です。実際に統計分析を行っていく中で、これら2つの仮説の必要性が分かるようになりますのでご安心ください。

それでは、これから実際に1つ仮説を立ててみましょう。日本人男性の平均身長とオランダ人男性の平均身長に差がある、ということを検定します(実際には日本人の平均身長は170cm程度、オランダ人の場合は182cm程度あります)。まず、帰無仮説は「オランダ人と日本人の平均身長に差はない」となります。対立仮説は「オランダ人と日本人の平均身長に差がある」となり、この対立仮説が本当に言いたいことです。

実際に統計的検定、この場合は(スチューデントの)t検定を行うと「差がある」という結果になります。そこで、帰無仮説は棄却され、対立仮説「オランダ人と日本人の平均身長に差がある」が採択されるというプロセスになります。

一見すると対立仮説だけでも良いのではないかと思われるかもしれません。しかし、これから様々な統計的検定を実施する中で、困惑する場面が出てくるはずです。まずは、オーソドックスな流れを習得することがお奨めです。

それでは今日のまとめです。今回は仮説検証の中でも最初のステップである仮説の設定についてご説明させて頂きました。仮説検証とはまず、仮説を構築してそれが正しいかどうかをデータ等によって確かめるという一連の手続きになります。統計的な検定において設定すべき仮説は帰無仮説と対立仮説の2種類あります。帰無仮説と対立仮説の考え方は独特で馴染みのない方も多いかと思いますが、実際に統計的検定を行う中で徐々に慣れますので、ご安心下さい。

分野: ビジネス統計 |スピーカー: 寺﨑新一郎

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