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イギリスの歴史(30):産業革命②:動力源

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

16/07/05

「イギリスの歴史」では、前回から「産業革命」についてお話ししています。

前回は概要についてお話ししましたが、今日はより具体的にみていきましょう。まずは「動力源」についてお話しします。
「動力源」というと皆さん様々な発電方法とか内燃機関を思い出すと思いますが、産業革命当初使われた動力源は「水力」でした。具体的には川で、その流れる力を利用します。特にイングランドは地形がフラットなため、日本のように急流があり、その勢いで小さな水車が回転するというわけではありません。そのため、比較的大きな水車を使い、大がかりな工場が造られたところが多かったようです。そうした事情により、この時代には工場が大きな川の周りに集めて造られていました。その中でもマンチェスター南部にあるダーヴェント峡谷周辺の工場は有名で、その工場群はまとめて世界遺産に指定されています。この国は産業の遺産が非常に多いのです。ウェールズの方にも様々な石炭の採掘現場があります。今後も産業革命の話でそうした遺産がいくつか出てきますが、今日はその1つ目です。

水力を使って何を作っていたかというと、糸を紡ぎ衣食住の「衣」が作られていました。この時代には紡績機が色々と発達を遂げ、いわゆる衣類を作る産業が発達しました。その機械の発達についてはまた別の機会にお話ししますが、その動力源として「水力」が使われていました。

その次の動力源は「蒸気機関」です。川の水力を使う時代から蒸気機関に移ることによって大きく変わったことは、工場の立地条件です。

川の傍である必要がなくなったことで、原料を集めやすいところとか、労働力を集めやすいところに配置することができるようになり、効率が上がりました。ビジネスというと効率が良くなければ利潤が出ないわけですが、そういうことを象徴するような動きですね。

この蒸気機関に関係している人の名前を皆さんはご存知ですか。
機関車だと例えばスティーブンソンとか懐かしい名前ではないでしょうか。鉄道の話はまた別途しますけれど、おそらく蒸気機関で一番有名なのはジェームズ・ワットという方です。彼は蒸気機関を初めて発明した人ではありません。蒸気機関を初めて発明したのは、フランスの出身でイギリスに帰化したパパンさんという方で、1695年のことでした。もっとも蒸気を動力に応用するというアイデア自体は昔からあったようですが、この方が初めて応用して実用化しました。実用化といっても本当に商売になるほど実用化したわけではありませんが、この方が作ったのは真空減圧式というものでした。どういうことかというと、蒸気機関の力を使って空気を抜いていき、その引っ張る力でもってものを動かすということで、具体的にはポンプに使われています。ただこれは試作の段階で止まってしまったようで、実際にこれを実用化した人は、10年後の1705年、ニューコメンという人でした。

この方が商売に使えるように実用化したという意味で初めての人になります。この方がもたらした最大の功績は、鉱山で出てくる水をかき出すのに真空ポンプを使えるようにしたという点です。これをバケツでやったら大変でしょう。それを更に改良して、今度は引く力だけではなくて蒸気の押す力も使って、いわゆる私たちが想像する蒸気機関というものに近いものをつくったのがジェームス・ワットです。これは1769年のことです。ポンプで物を汲み上げるだけではなく、往復する運動を回転運動に変えるということも発明しました。これが後に鉄道に関係してくるのです。
ワットさんというと勿論蒸気機関で有名なわけですが、自動車のエンジンの出力を表す単位に使われる「馬力」の概念は彼から来ています。つまり、当時様々な動力源は馬を中心にした家畜に担わせていました。しかし、家畜を育てるための飼葉が高くなった時代があったようで蒸気機関の方が安くついたということで、馬の代り「馬力」という話になったらしいですね。

では、今日のまとめです。
産業革命の動力源の最初は「水力」、次は「蒸気機関」、そのようにして工場の立地条件が変わっていき、さらに発展することになりましたという話です。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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