QTnet モーニングビジネススクール

QTnet
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QTnet モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録

タグ

QTnetモーニングビジネススクール > タグ一覧 > タグネットビジネス戦略

ネットビジネス②

川上慎市郎 マーケティング、創造(アントレプレナーシップ)

16/06/24

前回から、インターネット上のプラットフォームビジネスについてお話をしています。前回は、アメリカの「Gang4」、すなわちAmazon、Google、Apple、Facebookが具体的な数字としてどれだけの利益を上げ、どれだけの規模を誇っている会社なのか、という話をしました。今回は、この4つの企業が、人々の生活にどれほど大きな影響を与えているのか、という話をしようと思います。これらの企業のすごさは業績にとどまりません。

「グローバル化」という言葉をよく聞くと思います。ただ、我々の生活を見回してみると、実際には何もかもが世界中を動き回っている、というわけではないでしょう。しかし、このプラットフォームの世界だけは、完全にグローバルな世界だと言えます。つまり、あらゆる情報がアメリカを通じて世界中に流れていっています。まるで国境が無くなり、地球が一つになったかのような世界が広がっている、というのが、ネット上のプラットフォームの世界の特徴です。たとえば、Googleのメールシステムも基本的にはサーバーはすべてアメリカにあるので、我々はアメリカのサーバーを通じてメールのやりとりをしていることになります。このグローバル化したプラットフォームですが、情報も世界中から集めて、どんどん進化していっていることが、そのすごさであり、恐ろしさでもあります。

具体的に例をみてみましょう。
私がFacebookを利用し始めたときの話です。私は2008年にスペインのビジネススクールに留学していました。そこで知り合った人たちと今後も連絡を取り合っていこう、ということになり、「でも、どうやって?」という話になったときに、誰かが「Facebookに登録すればいい」と言いました。そのときに私は初めてFacebookの存在を知ったのですが、登録した後、スイスに行き、山登りをして記念写真をFacebookにアップしました。すると、その1~2週間後、突然、私が20年以上前、高校生のときにタイに留学していたときのオーストラリア人やニュージーランド人の留学生仲間から、「久しぶり!」というメッセージが送られてきたのです。私は自分のプロフィールにタイに留学したことを書いていなかったので、どうして彼らが私のことをFacebookで見つけたのか不思議に思いました。そこでいろいろ調べてみたのですが、するとその友人の一人が、高校時代の記念写真をFacebookにアップしているのを見つけました。そこに写っている高校時代の私に、「この人は川上ですね」というタグが付けられていたのです。つまり、Facebookが、スイスで山登りをして撮った写真に写っている私と、ニュージーランドの友達がアップした20年前の写真に写る私とを見比べて、これは同じ人物だと認識したということなのです。
すごい話ですよね。今のFacebookは、知り合いかどうかを推測するときに、学校や会社、友達づきあいの繋がりから探しているのですが、かつてのFacebookは画像の顔認識で、写真から人物を全部特定していたのです。さすがに、ぱっとアップした写真によって、「この人は多分この人です」と特定してみせたら、みなさんはおそらくとても気持ち悪いと思うでしょうから、現在、Facebookはこの機能を使っていません。しかし、彼らはそうした技術を持ってはいるのです。

このように、プラットフォーム企業が持つコンピュータの能力というのは、我々が想像するよりもはるかに高いレベルに達しています。もう一つ、Amazonから例を引いてみましょう。
いま、Amazonはある特許を出願していますが、この特許というのが、ある人が、一日以内に注文する商品を予測して、その人の家の前までその商品を届けて待っておくというものなのです。あなたが注文のボタンを押した瞬間に、玄関で呼び鈴が鳴る、と。彼らはコンピュータのいろいろなデータを持って予測しているので、それくらいのことは出来るようになっています。また、世界中に飛ばす飛行機の中で、荷物の宛先を貼り換える技術――つまり、この商品はそろそろ誰が注文しそうだというので、その人の名前に、荷物の宛先を貼り換える技術――のようなものも作って、準備しています。

こうした技術は恐ろしくもありますが、我々の生活をすごく便利にしているのも事実です。前に挙げたFacebookの顔認識技術なども、アメリカでは実際に犯罪捜査に使われています。監視カメラで撮影された犯人の顔写真から、コンピュータが人物を特定するということが、出来るようになってきているのです。

それでは今日のまとめです。
プラットフォーム企業というのは、単に利益と売上がすごいだけではなく、その技術で、これからの世界の生活を変えていくような、強い影響力をもった存在なのです。

分野: ネットビジネス戦略 |スピーカー: 川上慎市郎

トップページに戻る

  • RADIKO.JP