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松下幸之助の経営哲学 イントロー①

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

16/02/15

【松下幸之助の経営哲学】
(1)①概論

1 はじめに
今回から「松下幸之助の経営哲学」という新シリーズを始めていきたいと思っています。皆さんご存知のように、松下幸之助(敬称略:以下同じ)は、よく「経営の神様」と呼ばれています。そこで、彼が経営を行う上で、どのような哲学を持って、それを行ってきたのかということを学び、私たちの人生やビジネスに活かしていこうということが、今回の新シリーズの趣旨になります。
松下幸之助の経営哲学は、様々な領域にまたがっています。経営哲学も「哲学」ですので、まず人間とは何か、人生とは何かという問いから始まり、次に何のために会社経営を行うのか、という基本的・根本的なことを考えることになります。今回は、特に松下幸之助の経営哲学の全体が、どのようなものとなっているのかについてお話したいと思います。

2 松下幸之助の哲学の根源:宇宙の真理
まず「松下幸之助の経営哲学」は、どこからその大本が出てきているのかというと、その一番の根本を宇宙や大自然(の真理・理法)に求めています。そこから何らかの真理を導き出して、それを人間の生活や経営活動に応用しています。例えば、自然科学的にはニュートンの「万有引力の法則」などがありますが、これらの自然の真理を社会科学的な側面から見て、経営哲学の基礎としています。従って、『松下幸之助の哲学』という本もまず「宇宙・自然」という項目から始まっています。
【松下幸之助の哲学の根本】 宇宙の真理→(人生・)経営の真理
この本を見ていただいてもわかりますが、松下幸之助の哲学は、大きく5つのテーマ、すなわち「自然・宇宙、人間、人生、社会、政治」という項目から成り立っています。これらの全てに共通していることは、宇宙や大自然の摂理・法則・真理をまず把握して、それから各々の項目の内容を導いてきているという点です。宇宙や大自然(天)から哲学を導くことで、考え方にブレがありません。ここに松下幸之助の哲学が普遍性を持ち、またそれに基づく経営が成功した秘訣があると思われます。

3 自然の理法に従うこと
先ほどご紹介した本の他に、『実践経営哲学』という本があります。この本で松下幸之助が経営哲学として20の項目を述べています。その内の1つに「自然の理法に従う」ということが書かれています。そこでは、宇宙や大自然(天)の動きやその法則に従って、人間の生活や経営を考えています。具体的には、経営では「自然の理法」あるいは「社会の理法」と言っているのですが、ごく当たり前のことを確実に行うということを言っています。それは、例えば、雨が降ったら傘をさすというようなものです。このような常識的なことを自然に従ってしっかりやるということです。
経営の側面では、例えば、良い商品(・サービス)を作って、適正な価格で販売して、販売したら必ず回収する。これが常識ですが、そういうごく自然なことを確実にやるということです。それが自然の理法に従うということなのです。宇宙・大自然(天)から種々のヒントを得て、経営哲学を確立しています。

4 生成発展とイノベーション
先程からお話ししている宇宙・大自然(天)から学ぶことの1つは、より深い宇宙・大自然の真理から見れば、それらが、ことごとく「生成発展」しているというように把握することができるということです。これを仏教的に表現すれば、「諸行無常」ということです。このように、生成発展的に諸行無常を捉えると、「ダイナミックに変化している」ということであり、しかも、「その変化は向上的な変化」ということになります。これが大自然の姿なのです。植物や動物は、何億年何十億年とかけて「進化」してきていますが、これは生成発展している過程であるというように考えられます。これを企業経営に適応させて考えると、「日々新たにイノベーションを起こして、物心両面で限りなく発展していくという考え方」が導き出されます。このように、単なる人間の社会的経済的な活動からではく、宇宙・大自然(天)から経営哲学を組み立てるというところに、彼の特徴があります。

5 まとめ
松下幸之助の哲学は、自然・宇宙、人間、人生、社会、政治という5項目から成り立っており、この経営哲学を考えていく上で、宇宙・大自然(天)から種々の真理を導き出して、それを人間の生活や経営における哲学に役立てるということであり、これが、ブレない考え方をする上で、非常に重要であるというお話でした。

〔参考〕松下幸之助『松下幸之助の哲学』『実践経営哲学』PHP文庫

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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