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グロービス流リーダー基礎力10-⑩ メンバーを育てる力 まとめ

田久保 善彦 リーダーシップ領域

16/02/29


拙著『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』(東洋経済新報社、2015)の中身について、話をしてきました。最終回となる今回は、メンバーを育てる力を取り上げます。リーダーの最も大事な要素として、チームの業績を上げることを念頭に置く人が多くいるかと思います。それと対をなして大切なのは、チームのパフォーマンスを上げるためにメンバーを育てることです。

一口にメンバーの育て方と言っても、相手がいることですから、非常に難しいです。だからこそ、まずメンバーの育成が大事であるという認識だけは、強く持っていただきたいのです。その理由の一つは、ともするとメンバーの育成そのものに真剣に取り組まないケースが散見されるためです。最近の会社では、チームリーダーであったとしても、体半分はプレイヤーであることが往々にしてあります。いわゆる、プレイングマネージャーという状態です。これはとても難しいポジションです。プレイヤーは、プレイヤーとして評価されたいわけです。営業のチームリーダーであった場合、「僕が培ってきたノウハウを後輩にわけて、後輩の成績の方がよくなったらどうしよう」などと考えてしまいます。そうなると、頭では育てなければならないと思っていても、ノウハウの出し惜しみが生じてしまいます。個人的には、人間である以上、ある意味仕方がないことだと思います。表向きには育成したいと思っているけれど、裏向きには育成したくないとも思っている。ここに、大きな心のハードルが存在します。

このような場合、まず、裏の自分(自分の本心)と向き合う必要があります。これについては踏み込みすぎるとあまりに難しい話となりますので、今日は言及するまでに留めます。次に、具体的なメンバーの育成においては、仕事を任せていくことがとても大切になります。もちろん、仕事を任せられる状態になるまでには、手取り足取り指導する期間もあるでしょう。子供が水に顔をつけられるようになったらプールに入れてみて泳がせるという状況と、近いかもしれません。そして仕事を任せたら、メンバー自身が考えて仕事を行うことができるように仕向けます。ここでよくありがちなのが、放置してしまうというものです。仕事を任せて自分で考えさせつつも、こちらが適切にサポートすることが大切です。表向きにはあまり口を出さず、後ろからきちんと見ていてあげるという按配です。そして、出てきた結果をフェアに評価し、次につながるようにフィードバックをした上で、さらなるチャレンジを課す。こうしたサイクルがうまく回った人は、成長のサイクルへ入って行くことができるでしょう。当然ですがここには、育てる側と育つ側双方の問題が関わっています。以上の内容は、育つ側に「育ちたい、成長したい」という意欲があることが前提です。

成長という観点からは、リーダー自身が成長することも極めて重要です。今回の拙著では、20代後半から30代前半をターゲットにしています。既に皆さんリーダーとして活躍しているかもしれませんが、さらに大きな責任を持つリーダーになるためには、自分自身を成長サイクルに入れることが大切です。チームリーダーを任せられた以上、チームリーダーとしての運営を自分で考えられるようにならなければなりません。一方で、上司からのサポートや評価を素直に受け止めて、さらなるチャレンジを自分からとりに行き、さらに任せてもらえるようになる。こうした成長のサイクルに自分を入れつつ、メンバーをもサイクルに入れてあげる。自分の成長のサイクルと自分が育成するサイクルの二つが同時に回っているイメージです。

今回まで10回にわたって、『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』の内容を話してきました。実はリーダーになることは、厳しいことでもあります。責任が重くなりますし、部下に対する責任も発生します。本当に自分はリーダーになりたいのだろうか、リーダーとして何を実現したいのだろうか、どういう貢献を会社や社会にしたいのだろうか。リーダーになるという厳しい道に踏み出すのであれば、これらの自問への自答を、心のどこかに持っておく必要があります。もっと言えば、自分の夢や志をきちんと考えておくことで、リーダーとしてのチャレンジ精神もエネルギーも湧いてくるのではないかと、私は考えます。

最終的にリーダーになりたいと思うか思わないかは、皆さん次第です。皆さんの人生が本当に良いかたちで回るためにこれまでの私の話が参考になれば、大変嬉しく思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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