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グロービス流リーダー基礎力10-⑤ 目標設定力

田久保 善彦 リーダーシップ領域

16/01/29


拙著『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』(東洋経済新報社、2015)の中身について、話をしています。今回は四つ目の基礎力として、目標設定力について説明します。

目標を決める能力は、チームリーダーなど、部下やメンバーを抱えている人にとっては、もっとも重要な能力のひとつです。彼らは皆、リーダーによって設定された目標に向かって動きます。その目標が間違っていると、間違えた目標に向かって一生懸命頑張ることになります。なぜ間違ったゴール設定をするようなことが起こるのかといえば、第一回で説明したように、競合やマーケットの状況をきちんと理解していないからです。極論を言えば、ゴールテープがない方向に向かって100m競争をしているようなものです。100mを完走する能力があり、目標設定の方向が正しければ、あとはタイムを競うという、ある意味で正しい競争の問題となります。

目標設定力は、以下の三要素から成っています。
第一は、何を目標にすべきか、目標項目を定める力です(What)。また第二に、なぜその目標にすべきか、目標の背景を統合する力(Why)も大切です。たとえば、「●●の顧客に対して今年は30%アップを営業目標にする」と話しても、なぜその顧客を対象にするのか、なぜ30%なのか納得できなければ、単なるやらされ仕事になってしまいます。これではもはや作業ですので、「やりゃあいいんだろう」という気持ちが生じ、どんどんどんどんパフォーマンスも落ちて行きます。第三は、いつの達成を目指すべきか、目標の期限を決める力です(When)。いつまでに頑張るのかという目標設定は、結構抜けがちかと思います。期限が定められていないと、いつまでもだらだらだらだらしてしまいます。このように、What、Why、Whenをはっきりさせることで、明確な目標設定が可能となります。

特にWhatを決める際には、メンバーの「1」を知ることが肝要です。たとえば、自分が抱えるメンバーに対して目標の設定について話すとします。その際には、当該メンバーの実力の「1」をきちんと知らない場合、能力と比して高すぎる目標や低すぎる目標を設定してしまう可能性が生じます。「1」の能力の人にいきなり「3」の目標を設定すると、うまくいかずに壊れてしまうことがあります。逆に「0.5」の目標を与えると、やりがいがなくなってしまいます。いずれにしても、その人の「1」を把握できていないことが原因です。ビジネスパーソンとしての能力や意欲、様々な細かいスキルが位置を司っているのですが、一方で、家庭状況も大切な一因です。能力も意欲もスキルもあっても、家庭でご両親の介護をしているなどの諸事情によって仕事に集中できないことはしばしばあります。家庭で大きな不安事を抱えた人に大きなプロジェクトのマネージャーを任せてうまくいかなった場合には、その人が悪いのか、任せた側が悪いのか、微妙な問題となります。

また、目標は、既に発生している問題をなくすという目標(発生型目標)と、まだ問題が顕在化していない状況において自分の意思で設定する目標(設定型目標)の二つに分類されます。前者は起きてしまったトラブルを解消するというもので、設定がしやすいです。後者は、自ら設定したあるべき姿を実現するというものです。いずれにおいても、メンバーの位置を把握し、意見をきちんと聞きながら設定して行くことが、やはり重要です。

今日の話をまとめます。
リーダーの仕事として、目標設定は非常に大切なものです。何をやるのか、どうしてそれをやるのか、いつまでにやるのか、これら三点をセットとして常に考えましょう。また部下に対して目標を設定する際には、部下の「1」を把握しておくことが不可欠です。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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